BLが嫌いな女子はいない?

崔 梨遙(再)

1話完結:1000字

「なあ、俺はどうしたらいいんや~?」


 武史は、もう何度目かの同じ質問をしてくる。


「告っちゃいなさいよ~」


 僕もさっきから同じことを言う。僕は谷十郎。武史とは高校の同じクラスだ。僕は喫茶店で武史の恋の相談に乗っていた。武史の恋のお相手は新田省吾、同じクラスの男子だ。そして、何故か僕はさっきから“お姉言葉”になっていた。


「でも、フラれたらどうするんだよ~」

「告ってみないとわからへんやん~」

「告って失敗したら、もう友達ではいられへんやんか~」

「そんなことないわよ~」

「友達のままなら、ずっと側にいられるやんか~」

「武史はそれで満足なの~?」

「満足ではないけど~」

「ほな、告っちゃいなさいよ~ 失敗しても、2人の仲に亀裂が入らないようにしてあげるから~」

「ほんんまに? ほんまにフォローしてくれる~?」

「する、する~」

「ほな、きっかけは何がええかなぁ~?」

「来週、省吾の誕生日やんか~ プレゼント渡して勢いで告白したら~?」

「あ、そうやな、そうするわ~」

「そうれがええよ~」

「プレゼント、何がいいかなぁ~?」

「省吾の好きなアニメグッズでええんとちゃう~」

「うん、そうするわ~」

「省吾の誕生日、校舎裏に呼び出せばええやんか~誕生日~もうすぐやろ~」

「うん、そうする~ 谷君、陰から見ててや~ 見届けてな~」



「用って何?」

「今日、省吾の誕生日やろ~」

「そうやけど」

「はい、プレゼント~」

「おお、サンキュ!」

「それでさあ~ 俺、省吾のことが好きやねん~」

「え! マジで?」

「俺と付き合ってくれへんかなぁ~?」

「友達から始めようって、もう友達か。ほな、徐々に距離を詰めていこう!」

「うん、それでええわ~ 次の日曜、テーマパークに行かへん~?」

「おう、ええよ~」

「やった~ これからよろしく~」



 翌週、武史と省吾はテーマパークに行った。2人きりで。


 休み時間、武史が僕の耳元で囁いた。


「俺達、観覧車でキスしたから~」

「グッジョブ!」


 それ以降、僕は何も聞かないようにした。ずいぶん仲良くなった2人を見ながら。



 これは、“男子校あるある”だー!




※ノンフィクションを書くことが多い僕ですが、さすがにこれはフィクションです。男同士から一線越えそうなヤバイ奴がいましたので、その人をモデルに書きました。







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