『神々』と紡ぎし物語 

NOみそ(漫画家志望の成れの果て)

第1話 貴族の長男、追い出される(追放サイド初登場)

 読者参加型です!


 どうぞ後書きまでお付き合いください・・・!




 ――――――――――


「クリス、お前の名を我が一族から抹消する。

 明日の朝までに屋敷ここを出ていけ」


 いきなりの父からの追放宣告にクリスは愕然がくぜんとしながらも、

 心のどこかでは(ああ、やっぱり・・・)と諦めの気持ちもあった。


「誇り高き我が家の系譜に《》の名を記すわけにはいかん」

 父の怒りすらこもらない声が、逆に心をえぐる。


 ここは屋敷でも一番大きな書斎。


 斜め前には彼を馬鹿にしたような薄笑いを浮かべる異母弟のアーモン。


 その肩を抱きながら、口元を扇で隠している化粧の濃い女性。

 言うまでもなくアーモンの母ビデル、すなわちクリスの継母である。


 そして目の前には、

 たった今クリスに追放を言い渡した父親、

 同時にここいら一帯をまとめる領主であるゴネル。

 その冷たい目からは、一片の親子の情も感じられない。


「・・・分かり・・・ました。

 今までお世話になりました・・・」

 クリスはしぼり出すように、何とかそれだけを言った。


「うむ。

 ではさっさと準備をしろ。

 お前の部屋にあるものだけはくれてやる」


「ありがとうございます・・・」

 そう言って退室しようとすると、


「せいぜい頑張れよ、平民の子」

「元々、あなたには分不相応の暮らしだったのです。

 これからは、せいぜい身の丈に合った生活をすることね」

 そう言ってあざ笑う異母弟アーモンと継母ビデル。


 クリスは悔しさに歯噛はがみしながらも、

 しっかりと二人に一礼してから書斎をあとにした。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「くっ・・・」

 自室に戻ると、クリスはがっくりと膝をつき、

 そのまま床にうずくまってしまった。


「くっ・・・うぅっ・・・」

 涙が止まらない。


 部屋とは言ってもそこは屋敷の一室ではなく、

 邸内の端にある日当たりの悪い物置だった小屋を整理したものであった。


 実母のマリアがいた頃は、

 まだ屋敷に二人の部屋があった。


 マリアはもともとゴネルの領内にある教会のシスターであったが、

 そこの司祭と取り交わされた教会への多額の寄付を条件に、

 ゴネルはなかば強引に彼女と関係を持ち、

 またマリアが子を成したことでやむを得ず側室として屋敷へ迎え入れたのであった。


 国教に属する教会への建前もあることから、

 ゴネルも、その正妻であるビデルも表面上はマリア達に対して横暴にふるまう事はそうそうなかった。


 少なくとも、幼いクリスの目からはそう見えた。

 屋敷にいた召使の数を減らし、その分の仕事を彼にやらせるようになったのも家計の節約なんだ、と信じて・・・。


 ビデルの子アーモンは、事あるごとにクリスを「平民の子」と馬鹿にし続けていたが。


 だが、マリアが若くして逝きクリスが独りになると、

 父の正妻であるビデルは、その態度を一変させた。


「平民には平民にふさわしい生活を!」

 と、クリスを屋敷の部屋から追い出し、

 物置小屋へと押しやったのである。


 勉学も廃棄された本を集めての独学、

 鍛錬も小屋の外で木剣を振り回し続けるという我流でやるしかない。


 邸内の労働も増やされた。

 手はマメがつぶれあかぎれを繰り返し、とても子供のものには見えなかった。


 食事だけは屋敷でとる事ができた。


 ただし、調理場で召使たちの仕事と食事が終わった後、

 ひとり余った食材をもらって火だけ通して食べる、というものであったが。


 父ゴネルは

「これも試練だ。耐えてみろ」

 と、クリスに言った。


 何とも都合の良いセリフであったが、

 少年であるクリスはその言葉を素直にそのまま受け取った。


 弟のアーモンに馬鹿にされても、

 継母のビデルに罵られ続けても、

 クリスは父の言葉を信じて努力し続けた。


 だが、


「全部・・・嘘だったんだな・・・」

 部屋でひとり、明日のために荷造りをしながら、

 クリスはつぶやいた。


 それはひと月前、

 屋敷から馬車で行った街の中心にある大聖堂、

 そこでのスキル洗礼での事であった。


 スキル洗礼・・・、

 貴族の子供たちは13の誕生日を迎えた時、

 大聖堂で自身の中に備わる能力、すなわちスキルを自覚する。


 洗礼とは、そのための儀式である。


 ちなみに、司教の行うこの「洗礼」もそんなスキルの一つである。


 他人の中に眠る潜在能力、スキルを引き出し本人に自覚させる。

 その「洗礼」を持つからこそ国教の司教の地位を得られるのである。


 高き天井の下、白磁の台座に立つ司教の前にクリスはひざまづく。


「始めます」

 司教はそう言うと、クリスの頭上にその手をかざす。


 と、同時にその手からまばゆい光が放たれ、

 たちまちクリスの全身を包む。


(どうか父さんの喜ぶようなスキルを・・・!)

 哀れな少年は、必死で祈った。



 ―――祈りは届かなかった・・・。


 司教からクリスのスキルを聞いた父ゴネルは、

 その瞬間いままで向けていた無表情から、

 奴隷を屋敷から追い出す時に見せた無表情それに変わっていた。


(ああ、そうか・・・)


 その時、クリスはようやく分かった。


 最初から、自分は家族とすら思われていなかった・・・。


 母マリアが逝った時から、

 ここには自分の居場所などなかったのだと・・・。


【つづく】




 _________________________


 ここまでお読み頂きありがとうございます!

 そして・・・、


「果たしてクリスが授かったスキルとは!?」


 どうか下のコメント欄にて読者・・・もとい、

 神様であるあなたの考えたスキルをお贈りください。


 スキル名が二字熟語で付けられるものだと助かります!

「剣聖」とか「聖女」とか「脱糞」とか・・・


 神様がいなければ、当然このは成立しません。


 どうか・・・、どうか神の御慈悲を・・・


 ――というお願いをなろうにてしておりました。


 アイデアをお贈りいただき、本当にありがとうございました!


 最新話では最新のお題を出しておりますので、

 そちらもどうぞよろしくお願いします!

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