異世界でスローライフのつもりが活躍しすぎて有名になりすぎていた
宵崎楓介
第一部 普通の生活とはなんだ?
第一章 人生の再スタート
第1話 「新しい生活」
「来世は…ゆっくりとした生活を送りたいもんだぜ」
「なぁに変なこと言うとるんや」
目を覚ませば病院のベッドにいた、一体何があったのか思い出せない。
「お前、車にはねられてって言われたから急いでここに来たらさっきの発言をしてたわけ」
「え?俺車にはねられたのか?よく生きてたな」
でも他の見舞いに来ている人たちの顔を見るに何か良くない知らせを聞いたのかもしれない。
「ぐすっ、もう生きられないなんて…そんなの悲惨です…」
「まだ若いのにな、本当に残念だ」
それを聞いて滅茶苦茶ショックを受けてしまった。
「でもこうしてお前らに看取られて死ぬなら中々に悪くない人生だったぜ…来世は小説で言うスローライフとやらを送ってみたいもんだぜ」
「まぁたそんな事言うとる、本の読みすぎやってそんなもんあるわけ無いやろ」
普通に突っ込まれてしまった。だがさっきの発言は本当だ、むしろ今の人生がいろいろな意味で慌ただしすぎたのだ。
「もう…眠いから寝るわ」
「そんなあまだ貴方と話していたかったのに…」
段々と意識が朦朧となっていき最終的には意識がなくなった、苦しまずに死ねたことが何よりの幸せだと感じ取れた。
「ん?ここはどこだ…それに…怪我も治ってる!?どういうことだ??」
辺りを見渡しても平地が続いていた。
「おいおいこれは家とか建てるのに最適じゃないか。だが建て方を知らない」
建設系とかにはかなり
「あれ~お兄さんどうやってここに来たんですか?」
「(ん?俺のことか。)さまよってたらたまたまここについたんだ」
「あっ!まずは自己紹介からですね、私はカリンって言います!お兄さんはなんていうんですか?」
かなり元気な子なのかハキハキとしゃべっている、そんでもって両手に木材を持っている。
見た感じだと拠点を作ろうとしてる感じがする。
「名乗るのが遅くなってしまったな、俺は下山カイトだ」
「かなり珍しい名前ですね!」
「まあそうだろうな、シモヤマと呼んでくれ」
「出会って早々申し訳ないんですが作業の手伝いをしてほしいんです」
かなり困ったような顔をしており、一人だと何かと不便なんだとか。
「俺にできることがあれば手伝おう」
ここは協力しておくのが大事だという考えだ、信頼関係っていうのはとても大切なのだ。
「ほんとですか!?私は家を建てますので、シモヤマさんは辺りを見張っててほしいです」
「見張りか、いいぞ。街以外はモンスターであふれかえってるって聞いたしな」
危険が迫りまくってるのかと思っていたがあふれかえってるという程ではなかった、だが見張りは大事なのでずっとやっていた。
「うーん、これといった脅威はないな。そういやこの世界でも使えるんかな」
過去いた場所では使えていたものがここでも使えるのか試そうとしたが大部分の技を忘れていた。
「だめだ何度やっても思い出せない」
「シモヤマさーん!家、できましたよー!」
カリンが大きな声でこちらを呼んできたのでさっそく向かうことにした。
「おい、テントじゃねえか!」
「ごめんなさい!私の持ってきた素材だけだと足りなかったんです」
自前の材料だけでは家を建てるのに足りなかったそう、だがそれに関して起こる必要は何もない。
人は間違えたりするからである。
「まあそれなら仕方がないか、ただもったいないな。何かに使えたりしないだろうか」
思考を凝らしてみるもなかなかいい案が思い浮かばない。
「使い道はそのうち出てくるだろう、寝床ができただけかなりいいぞ」
「えへへ、ありがとうございます」
いい笑顔をしながら言っていた、その顔を見ただけでこっちも自然と笑顔になる。
中を見るとかなり広かった。
だが問題は布団が二人別々ではなく二人一緒用のものだ。
「ん?これは一緒に寝るということでいいのか?」
「そうですよー、私は誰かと一緒じゃないと寂しくて眠れないんです」
「お前がそれでいいなら断る理由もないな」
押しにかなり弱い。
カイトは何かやることはないかと探してみる事にした。
「そうだ、食べるもの集めてくるよ。今見てみたけど食べれそうなものがなかったしな」
「じゃあ私もついていきます!」
「まあ2人でやった方が早いし一緒に行くか」
カイトとカリンは食料を集めるべく浜辺へと歩いて行った。
「浜辺に来てみたはいいが何もないな、そりゃそうか」
「というか私食べ物一応持ってるんですよ?」
なんだと!?それを早く言わんかと言わんばかりの顔をしていた、ただの無駄足になってしまったと思っているようだ。
「カリン、一ついいか?」
「はいなんでしょう」
いつも通り目を輝かせながらこちらを見てくる。ずっと見てたらまぶしすぎて目がくらむくらいだ。
「俺がかつて使えていた技の大部分を忘れてしまってな、どうにかして取り戻したいと思ってるんだ」
「うーん、私が協力して取り戻せるかはわかりませんが手伝いますよ!」
深いことまで聞かずただ協力してくれると言ってくれた。
「まずはコンビネーション攻撃からだな、これを思い出さないと」
「私の考えなんですが、お腹がすいてるから思い出せないんじゃないかなって思ったんですよ」
そういわれると確かにずっとお腹がすいていた。
「じゃあ飯でも食うか」
「やっと誰かに私の料理がふるまえます」
自分と真逆だと内心思ってしまったがそれは口には出さなかった。
カイトは料理ができるまで座って待っていた。
今考えていることはなんかいいにおいがするなぐらいだった。食事の時ぐらい何も考えないのが一番だと思っているからだ。
「完成しました!」
「お!これは……」
ダークマターのようにも見えるがいったいこれは何なんだろうか。
「火が強すぎて失敗しちゃいました」
てへぺろみたいな顔をしていたが、特に文句を言う理由もないので何も言わないことにした。
「これは結構うまいぞ。味付けが完璧だ」
「ほ、ほんとう…ですか?」
若干怪しまれてはいるが普通に食べてみた感想を述べただけである。
食べ終わったので皿を持ちながら立ち上がり、皿を洗った。
今までの生活がおかしかったからかこういう普通の生活もいいなと思ってしまっていた。
「もうだいぶ日も沈んできたな、そろそろモンスターとかがたくさん現れるんじゃないか?」
「そうですね今までは安全な地域にいたので心配する必要はなかったんですが」
あの女の人の言う通り街以外はほぼ危険地帯となっているみたいだ、だがそっちの方が体がなまらなくなる。
「もう寝たほうがいいな、俺は見回りでもしとく」
「嫌です!私は誰かと一緒じゃないとダメなんです…」
今にも泣きそうな顔をしながら強く訴えかけてこられてしまった、そして今になって思いだした。
誰かと一緒じゃないと眠ることができないと。
「すまん完全に忘れていたすまなかった。だが何かあれば俺はすぐさま起きるからな」
「グスッ、はい」
かなり広いテントの中に入り布団が置いてある場所へと向かった、眠いと思った時が寝る時だからだ。
「すー、すー…」
とてもかわいらしい寝息を立てていた。
「今のところは何もないし寝るか」
眠りについてしばらしたとき外で大きな物音がしたので目が覚めてしまった。
「カリン、すぐ戻るからな…」
外に出てみると暗くて見えないが五体くらいのモンスターがいた。
「こんな時間に来るとはいい度胸してるじゃねえか」
ウガァ!ウガァ!といいながらこちらを
「ほう、もう戦えるのか」
ただあまりにも弱すぎて一瞬で倒してしまった。
「ウォーミングアップにもならなかったぜ、ただかつて使えていたコンボができるようになったぞ」
もしかしたらあのダークマターのおかげなのかもしれないと感じたこのころだ。
「もう何もないだろうから俺もさっさと寝るか」
少しだけかつての技が取り戻せて内心かなりテンションが上がっている。
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