見えるのは、米が栄える田んぼ。

恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界

見えるのは、米が栄える田んぼ

 今日も田んぼで一仕事。風に吹かれてかさかさざわざわいっているのはなんとも可愛らしいことだ。

 稲たちは段々と黄色くなってきた。ちょっとずつ匂いも変わってきて。

 日が落ちていって、山が赤く染め上げられては深く塗り重ねられる。

 一つ。川が見えた。否、川というよりも犯流だ。荒々しく、しかししっかりと流れているような。

 満天が、空を明るく照らしている。僅かな雲もその光たちに照らされて、夜の中でも白いと分かる。

 私は、ずっと前から立っている。そして、この犯流が落ち着くまで。

 

 夜風に吹かれる田んぼの真ん中で、案山子は思う。この星の人への愛を。

 つくられた案山子はこの星の人々を診る、見守る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

見えるのは、米が栄える田んぼ。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ