〜中村敬都との出会い〜
第6話
「みっちゃん、デートしよう」
「えっデート?」
「うん。私はみっちゃんとデートしたい」
「デートって公園いったりお散歩したり?」
「違う違う。お買い物いったり、映画に行ったり」
「流石にそれって俺たちが付き合っているのがバレたりしない?」
「大丈夫じゃないかな。ちゃんと変装していけば。まぁ私的にはばれても全然大丈夫なんだけどね」
「いやいや、俺がいろんな意味で死んでしまう」
クラスで1番人気の嶋野愛と付き合っているのが俺みたいな陰キャとわかったら、陽キャ男子から放課後呼び出されたりするかもしれないだろ。しかし...
「確かに俺も愛とデートしてみたいかも」
「ほんと?」
「うんうん。最近は一緒に勉強とかしかしてなかったからたまにはお出かけもしたいなと思って」
「やったぁ。みっちゃん好き~~~」
「はいはい」
「チューして」
「はいはい」
「ぎゅーして」
「はいはい」
学校にいる嶋野愛と今目の前にいる嶋野愛は同一人物ではあるけど全くの別人だ。今の愛を学校の飢えている男子生徒たちがみたら確実に襲うかもしれない。
その点俺はまだ偉い方だと思います。
もちろん性的な目でみていないといわれれば嘘になるが、今のところキス以上のことはしていない。
ただ、甘えてくる愛の足とか胸とかをちょっとだけみてしまうことはあるけど。
だって男の子だもん。。。。
まぁいろいろな煩悩と戦いながらも愛からのおねだりは基本的にウェルカムなのでついつい甘やかしてしまう。
「でもデートにいくならいくつか決めごとをしよう」
「何?」
「俺もいつもよりは違う雰囲気にするけど、もしものことがあるから外ではいつもみたいに甘えたりしないこと。せっかく今の嶋野愛というイメージがあるから、甘えん坊の愛をみたら学校の人たちがすごくびっくりしちゃうだろうから」
「う~~~ん。みっちゃんがそういうならわかった」
これは俺が個人的に甘えん坊の愛を他の人にみせたくない独占心というわけでは決してなくて。
今まで周りの期待に応えてきた愛のイメージを守るためだ。
別に学校の嶋野愛も今俺の前にいるちょっとぽんこつな愛もどちらも愛には変わりないんだけど
それでも守って損はないイメージだから。
もう一度言うけど、決して甘えん坊の愛は俺だけのものみたいな独占心はないよ...
「よし、決まりだ。なら次の週末にでもいこうか」
「わかった」
「え~何々?お兄ちゃんと愛ちゃんデートいくの?」
「真紀聞いていたのかよ?てか帰ってきてのか」
「さっき帰ってきたところ。部屋に入ろうとしたらお兄ちゃんと愛ちゃんの話声が聞こえたからこそっと聞いていたのだよ」
「こそっと聞くんじゃありません」
「真紀ちゃんおかえり~~」
「愛ちゃんただいま~~~」
「ぎゅ~~」
「ぎゅ~~」
これはいつものことである。こいつは俺の2つ下の妹の松岡真紀。
松岡家は両親とも共働きで帰ってくるのは遅めだから、普段は真紀と一緒にご飯を食べたりしている。
ちなみに家事全般は真紀が担っている。もちろん俺も手伝うよ??
真紀と愛は最初こそどちらも緊張していたけど、すぐに打ち解けて今ではこんな感じである。
愛も真紀には自分の素を出せるみたいで仲良しな姉妹のような感じだ。
真紀の方は最初愛の美人さに驚きを隠せていなかったのと、俺みたいな陰キャの兄にこんな美人の彼女ができるわけがないと思って、本気で「レンタル彼女」かと思ったらしい。
まぁこれに関しては真紀の方が正しいわけで、確かに俺みたいな陰キャに愛みたいな彼女がいたら、お金を出していると思うかもしれない。
愛の方も一人っ子らしく、真紀のことを本当の妹のように可愛がってくれるから兄として彼氏としても嬉しい。
「二人ともいつまでくっついんてるんだ」
「何、お兄ちゃん私に嫉妬しているの?キモいんだけど」
「ふふ、みっちゃんにもぎゅーするね」
「今は大丈夫」
「むむむ、真紀ちゃん、みっちゃんが私を避ける~~」
「お兄ちゃん最低~~~」
「わかったからそんな目でみるな。愛おいで」
「ぎゅ~~~」
「やっぱキモイなお兄ちゃん」
「いやなんでだよ」
これが今の松岡兄妹と愛の通常運転である。
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