第2話

学校が終わり、一人で家に帰り、制服をから部屋着に着替えて机に向かう。

決して勉強が好きだから机に向かっているわけではなくて、学校から帰ってのこの時間は何をしていいのかわからなくて勉強をしていたらいつの間にか習慣になっていた感じだ。

さっき昨年のテストで上位だったといったが、この毎日の勉強が意外に役に立っているんだと思う。

一応手ごたえを感じたからこそ継続できているのかもしれない。

いつもは1時間ぐらい勉強したら漫画を読んだりライトノベルを読んだり、アニメをみたりしていて、たまにランニングもしている。

中学3年生までサッカーをしていたこともあり、全く動かないのは気持ちが悪いから適度な運動はすりょうにしている。後は単純に太らないように。

オタクで陰キャで太っているはなんか自分の中でダメなような気がしているし、このまま陰キャ度合いだけ成長していくのも悲しいし。


「ピンポーン」


そうこう考えているとインターホンが鳴った。

松岡家は両親と妹と俺の4人家族で両親が帰ってくるのはだいたい8時ぐらいで妹も中学3年生で受験生で今日は塾にいっているから親が帰ってくるまでは一人のことが多い。

だからこの時間は誰もいないことが多いからインターホンが鳴ると自分が出ていかないといけない。


「どちら様ですか?」


「嶋野です」


「えっなんで?」


「さくらとの約束がなくなったので来ちゃいました」


「なるほど、突然くるからびっくりしたよ」


「ごめんなさい」


「いいよいいよ。とりあえず入って」


「ありがとう」


玄関に立っていたのは、さっき教室で心の中で話していたクラスでNO1人気の才色兼備の嶋野愛だった。

なんでクラスで一番人気の女の子が陰キャの家に来ているのかというと。

それは嶋野愛は松岡瑞樹の彼女だからである。

そう、俺と嶋野愛はお付き合いをしているんです。


「そんなに制服ポイってしたらしわがついちゃうよ。ほら貸して、ハンガーにかけるから。スカートはどうする?着替えるなら短パン貸すよ?」


「ありがとう。じゃぁ短パン借りる」


「わかった」


俺は部屋から彼女に合うサイズの洋服と短パンを持ってきて渡す。

それを手に取り彼女は脱衣所で着替える。


「着替えた」


「うん、コーヒーとお茶どっちがいい?」


「砂糖とミルクたっぷりのコーヒーでお願いします」


「了解」


そういって彼女はいつもの定位置のソファーに座ってテレビをみている。

テレビをみている女の子はまぎれもなくクラスで噂されるほどの美人な女の子だ。

でもみんなは知らない。

彼女には才色兼備で完璧なイメージがあるけど少しだけ残念なところがある。


「はい。砂糖とミルクたっぷりのコーヒー。淹れ立てだから熱いからね」


「うん、わかった」


といってノータイムでコーヒーを口に運ぶ


「あつい。。。。」


「でしょうね」


「ごめんこぼした」


「いいよ。またTシャツ持ってくるから」


「ごめんなさい」


「いいから。こっちは拭いておくから着替えておいで」


「はぁい」


熱いといった直後にそのまま口にコーヒーを運ぶところや着替えたばかりの洋服にこぼしてしまうところなど皆が思っている完璧とは違うと思う。


「ふぅ~」


「火傷していない?」


「ちょっと舌火傷した~」


「あついって言ったじゃん」


「ううううう。みっちゃんがいじわるいう」


「俺は愛に熱いからっていったからね」


「でも甘やかしてほしい」


「う~ん。おいで?」


「いいの?」


「いいよ」


「みっちゃんんんんん。よしよしして」


「はいはい。よしよし」


「今日も頑張った!!」


「うん。休み時間も勉強していたし偉いね」


「へへへへ」


今の彼女をもし学校の人がみていたら頭の上には無数の?が浮かんでいることだろう。

学校で才色兼備で完璧な女の子としてみられている嶋野愛は裏ではちょっとポンコツで甘えん坊さんで、実は学校でみんなが見ている愛は裏でこっちの愛が素なのである。

俺も付き合うまでは知らなかったのだが、俺だって表と裏はあるし、誰だって表裏は存在してると思う。

ただ、そのギャップが少し強めなのが嶋野愛なのだ。


「せっかく家に来たんだし、勉強でもしていく?」


「う~ん。勉強するのはいいけど、もう少しみっちゃんの膝の上で休憩」


そういってニコニコしている愛はすごく可愛くて、俺はこっちの愛が大好きである。

直接いうのは恥ずかしいけど。

多分、この可愛い愛を独占していることが世の中の男たちにバレたら刺されるかもしれない。

これも彼氏としての特権として。


「わかったわかった。じゃぁもう少し休憩しようね」


「みっちゃん大好き」


「そんな直球に言われたら恥ずかしいよ」


「いいの本当のことだから」


「でもありがとう」


「みっちゃんが照れた。可愛い」


「それは置いといて、春乃さんとの話し聞こえたけど自転車忘れたの?」


「うん。途中まで自転車押してたんだけど。どこかに忘れたみたい」


「うん???家に忘れたんじゃなくてとこかに忘れてきたの?」


「うん。でも思い出せないんだよね」


「愛ってバカだよね」


「それさくらにも言われた」


「どこまであったのか覚えている?」


「う~ん。コンビニ?」


「ならそのコンビニに忘れてきているんだよ馬鹿!!。今からとりにいってくるから愛はここで待っててね」


「え~みっちゃん一人で行っちゃうの?寂しい」


「一応言っておくけど、愛の自転車だからね。これからは徒歩で通学してください」


「みっちゃん怒っている?」


「怒っていないけど馬鹿だなとは思っている」


「ひどい」


「まぁ帰ってきたらよしよししてあげるから留守番よろしくね」


「はぁい」


そして愛が朝から寄ったコンビニに急いでいき、店員さんに事情を説明して愛の自転車を無事に回収した。

これで分かったと思う。嶋野愛は裏ではちょっと残念なポンコツちゃんなのである。

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