分析~

推敲続きです!


『肝試し離れて父と初火球』


なんとか句としては形になりましたね!

出来たぁ!……で終わりではありません!


最後に、句の分析をもう一度してみましょう。


上五『肝試し』

中七『離れて父と』

下五『初火球』


意味の切れ目としては

『肝試し離れて 父と初火球』と読むのが読みやすいかと思います。



テレビの解説では語順はカメラワークに相当すると仰っていました。

どういう感じかというと


『肝試し』

肝試しをやっている場面が出てきます


『離れて』

肝試しからカメラが離れていきます

離れていく人物が出てきそうです


『父と(私)』

人物が父子だというのがわかります。

手を繋いでいるような感じ。


『初火球』

夜空、そして火球とそれを見て驚いたような父子の様子


という感じになるでしょうか。


この語順で与えたい句への印象は


①肝試しの怖いような賑やかなような様子から離れていく人物。なぜ離れていくのかな?


②父子とわかったことで、肝試しが怖かったのかな?という不安だけど、どこかホットした様子も。父の手か裾を掴んでいるような。


また父子という登場人物により、肝試しが親子イベントのようなものであると補完される。


③初めて火球を見た感動が肝試しで感じていたマイナスの感情を取り払い、興奮や嬉しさのプラスの感情に。


という狙いがあります。

いかがでしょうか!?


ここで語順を入れ換えてみましょう。


『初火球父と離れて肝試し』×

『初火球離れて父と肝試し』×



初火球を上五に持ってきました。

この語順だと離れて に違和感がありますし、火球から離れていくように読めてしまいます。

同じ意味にするには

『初火球父と 肝試し離れて』△

になりますね。

意味的には最初の

『肝試し離れて父と初火球』と同じに見えますが

語順をカメラワークとしたなら

初火球を見て 肝試しから離れていきます

意味がわからない気がします。


『初火球 父と離れる肝試し』△

離れて、を離れるに変えました。

意味的にはかなり通るのですが、

印象の比重が初火球に寄っていますし

初火球が出たあとに、肝試しを離れている様子となるので、好意的に解釈しても『肝試しを離れている途中で初火球を見た』……でしょうか?

句としては成立していますが、私の伝えたい印象とはややずれます。



もう一つ前の推敲で出ていた『遠く』を使ってみましょう。

『初火球遠くに父と肝試し』×

これも初火球が遠くなります

たしかに流れ星は遠くにありますが、分かりきっていますし感動も小さくなります。


『初火球父と遠くの肝試し』○

これは結構良いのでは?

初火球を父と見た時、遠くでは肝試しをやっていた。と読めます。

火球を見たわずかな時間を切り出した句になるかと思います。




①『肝試し離れて父と初火球』


②『初火球父と遠くの肝試し』


この2句に絞ります。



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