御一新

アラビアータ

 薩摩・長州による革命戦争によって江戸幕府が倒れてから、大久保利通率いる新政府は「御一新」の名の下、急進的な改革を進めていった。

 廃刀令、秩禄処分、そして徴兵令によって、力と家柄が物を言う武士の時代は終焉を迎え、日本は近代国家へ生まれ変わろうとしていた。士族の鬱憤を反らす目的もあった征韓論が敗れ、それに反発する者達は、政府の圧倒的な兵力と近代兵器によって鏖殺され、最早、戦いは武士のものではなくなっていた。

 そして明治十(1877)年、九州を震撼させた西南の役は、私学校の生徒を率いて挙兵した総帥、西郷隆盛の城山での自刃という形で幕を閉じ、不平士族の反乱は終わりを告げた。


 各県には、元藩主である知藩事とは全く関係の無い県令が置かれ、彼らは政府の軍事力と命令を背景にし、酷薄にも見える電撃的な改革を進めた。

 各地に残っていた少数の不平士族も、警察との情報力と人員の差は顕著であった。刀による反乱の時代は、とうの昔に過ぎ去っていた。

 反乱分子とみなされ、新たな就職口もなく、商売も出来ない者達は、家名も誇りも忘れ、いつしか、盗賊に身を窶していた。彼らは次々に追い詰められ、滅ぼされていった。

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