第11話「勇者、ダンジョンへ行く」
さて翌日。
勇者ちゃん達は冒険者ギルドに泊まったみたいだね。
ギルドには宿泊施設もあるから便利だ。
場所によっては大浴場とかもあるしね。
もちろん俺はそこまで見ていない。
あれから溜まった家事をやっていたが、俺がわざわざやらなくてもいいんじゃないかと思い、スケルトンを召喚して城の家事をやらせている。これがけっこう役に立つ。
というかよく一人でメイドちゃん、城の家事やってたよな。
偉いと思う。
おっ、着替え終わった一行が一階の酒場に降りてきた。
依頼を探して掲示板を見ているけれど……。
どうやら大きな張り紙が気になっているみたいだ。
「ダンジョンね……面白そうだし、行ってみましょうよ!」
「でも地下墓地なんてきっとまたアンデッドが出るんじゃ……」
「その時はアンタが倒せばいいでしょ!」
「ふぇぇ……」
「仮にも勇者なのだから、勇気を持ってください」
どうやら一行は街にある地下墓地ダンジョンに挑むことにしたようだ。
ダンジョンとは……どうやって出来るだろう。
メイドちゃん教えて。
『はい、ダンジョンは魔力が濁りきった場所に形成される自然現象です。空間が歪に構成され、何処か別の世界とつながり、金銀財宝が転がっている……。解除するためには最奥のダンジョンコアを破壊するしかありませんね』
『へぇ、色々大変そうだなぁ』
『一応、魔王様の城も人工的なダンジョンなのですが……』
『そうなの!?』
俺は今までダンジョンに住んでいたのか。
知らなかった。
閑話休題。
というわけで一行は町の郊外にある墓地から地下墓地ダンジョンへと入っていくことに。
へぇ、けっこうおどろおどろしい感じだ。
壁や天井は煉瓦作りで早々壊れそうにないけど。
「オバケとかでなきゃいいけど……」
「出るに決まってるじゃない。勇気出しなさいよ」
「では私が先頭で探索しますね」
「お、任せたわよ!」
松明を手に先頭を進んでいくメイドちゃん。
別段特に気になるものはないけれど……。
おっ、扉だ。
三人は頷いて確認を取り、メイドちゃんが勢いよく扉を蹴破ると……。
そこには四体ほどのスケルトンがいた。
俺も今使役しているやつだね。
流石にこれぐらいは倒してほしいけれど。
そう思っていたら、パパパーッとメイドちゃんがスケルトンを砕き、剣士ちゃんが氷魔法で凍らせ、勇者ちゃんが怯えながらも聖剣で叩き切ってしまった。
よしよし、そこそこ成長してきているみたいだ。
おっ、どうやら奥に宝箱があるみたいだな。
どうするのかな。
「宝箱ね! 開けてみましょう!」
「お待ちください。こういうのには大抵罠が仕掛けられてます」
「誰が仕掛けてるのかしら……」
「それを言ったら誰が宝箱なんて置いているのかという話に……」
「あれじゃない? 何処かから流れ着いてるんだよ、きっと!」
別の世界とつながってるって言ってたもんね。
さて、宝箱の解錠に挑戦するのはメイドちゃん。
そういうこと出来るのかな。でもメイドちゃんだから出来るよね。
……失敗して宝箱からガスが漏れ出してきた。
どうやら睡眠ガスだったようで、みんな眠りこけてしまった。
おい!!
仕方ないのでしばらく待ってから、治癒魔法を掛けるため転移した。
俺には睡眠ガスなど通用しない。……なんで効かないんだろ。
種族特徴的なやつなのかな。
まぁ、睡眠の状態異常が効く魔王なんて簡単に倒せそうだけど。
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