14話 術式、術の勉強と満載の課題

 をして分かったことが多々あった。

 正直もうやりたくない。

 一番の学びは相手がこちらに合わせてくれたから勝てただけで、あちらの理屈で言えば勝てそうになければ自爆しかない…となる。

 自爆をいかに無効化するか、もしくは超強力な結界術の構築が喫緊の課題となる。

 神官達としては殺さずに無力化出来る方法というのに興味津々なだけだから余計に…手札が増えるわけだからそりゃあ学びたいよな。


 午前中目一杯動き、昼食を取り午後は座学。

 さて、いよいよ儀式法についてだが…前回の実技がデフォのようで座学となるとふわっとした教え方になってしまった。

 2時間学んで「あっ、駄目だこれ感覚的すぎる」と諦めた。

 とりあえず分かったことはイメージと力の込め方が重要だという事。

 ───それを教えるのに2時間掛かったとか…辛い。

 やって見せた方が確かなのは分かる。百聞は一見に如かずと漢書にある。

 そして荀子では学習は実戦してこそだとも論じている。

 が…何も分からない状態でさあ実戦しようか!は駄目だろ。

 手探りでとんでもない方向に行ってしまったらどうするんだ。

 ある程度の道筋を示してくれ。


 論理的に教わるのは無理だと悟った俺は礼を言って部屋に戻り聖素先生に教わることにした。

「あの状況ではとても論理的に学ぶことは出来ません」

 聖素先生は困ったように前後に揺れている。

「まず一つ。回復術は想像力が必要ですか?」

 この質問には上下に揺れた。

「最悪想像力が無くても力でごり押し…オート処理されますか?」

 この質問には少し左右に揺れたものの上下に揺れた。

「オート寄りのセミオートと言うことか?あと力の消費が激しいんだろうな」

 あっ、激しく上下に揺れた。

 これってもしかして…

「部位欠損や消滅レベルの復元回復は運命値を消費して回復しますか?」

 上下に揺れた。

 これはマズいことを聞いたぞ…いや、まだだ。

「想像力で運命値の消費をセーブすることも可能ですか?」

 上下に揺れた。

「人体構造の詳細を理解しイメージすれば両方の消費を抑えられるという事か」

 成る程理解した。

「消失復元には2種類の復元方法がありますか?」

 やはり上下に揺れた。

 時間逆行と言うべきか、直前の状態に巻き戻すタイプと回復の延長線上にある復元法の2種類があるとみて良いんだろうな。

「回復、修復、解毒などの大まかなキーワードだけでも問題無いですか?」

 上下に揺れる。

 さて矛盾点が出て来た。

 他の術式では声に出さないといけなかった。そうしないと安定しないから。

 しかし回復系は想像が大事。より詳細な想像で双方とも消費を避けることが出来る…この矛盾点。

「貴方がたは意識を読み取れる?」

 その問いに3素は左右と上下に動く。

「表層的にしか読み取れない」

 これには聖素以外が上下に動く。

「深層意識も読み取れる」

 聖素が上下に揺れる。

 成る程、聖素だけは一つ上の権限を有していると。

 但し医療用途に限るとかついてそうだな…

 さて、続いては結界術だ。

「結界と結界壁は同じ物ですか?」

 それに対してお三方とも同時に左右に揺れた。

 別物か…

 ここからが大変だったが、2時間ほど質問をし続け分かった事。

 結界術は空間を隔離するもので結界壁は聖素を使った障壁である。

 結界術は全ての術法ででき、結界壁…もう障壁で良いか。障壁もそれぞれ程度の違いはあるができる。

 結界は空間隔離のため動かすことはできない。

 障壁は形状によって動かすこともできる。そして術者以外が動かすとなると干渉力が必要になるため障壁形成の3倍近くの力を使う。

 そして最後。

 自爆は通常の結界術では強度が足りず防げないし、障壁で止めようにも吹き飛ばされる。

 障壁を張り結界をその後ろに固定して行っても結界術の強度不足で負ける。

 ではどうすれば良いのか……答えはストレージだった。

 別の空間に預けるこの技術を使い影響を及ぼさない空間へと一時的に避難もしくは隔離する。

 そこで気付いた。

 この技術、使い方によっては別の世界作れるんじゃね?

 そこで聞くと…できないらしい。

 何でもこの避難もしくは隔離方法、空間を隔離して一定時間別の空間へ逃がしているだけなので長時間は居られないらしい。

 空間隔離し、更にその空間を結界で覆った上でストレージに入れるという事をした場合は時間停止状態になるが、この場合は強要及びその前に精神作用を受けていない状態での深層意識レベルの合意があれば可能とか。

 ただ、これは新しい世界を創るというよりも、コールドスリープだよなぁ…世界創造ではない。

 まあ、世界創造は神の御業と言うことで。

 お三方に感謝を述べ戻ってもらう。

 とりあえず学ぶべき所はしっかり学べた。

 ちょっと実践してこよう。

 訓練場には怪我人が多く居るし、流れ弾も多少なりともあるし。


 神官長に呼び出された。

 複数人数への同時回復術式は存在しなかったらしい。

 やり方を聞かれたので複数人数へのトリアージマーカーを付け、そこからそれにあった回復術法をまとめて起動させるだけだと説明したら頭を抱えられた。解せぬ。


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