第8話 10年ぶりに再会した幼馴染、戻ってきた本当の理由を告白する。
キーンコーンカーンコーン……。
終礼のチャイムがなる。
幻術師ゾーネの襲撃のあと、俺はヒヤヒヤしながら午後の授業を受けていた。
「
「
「なあ、このあと
「えええ!? それってアタシの家にお泊まりするってこと!?
「い、いやそういう意味じゃなくって!!」
……ざわざわ
「
「ウラヤマ!!」
「くー、見せつけてくれるぜ!!」
「ほ、ほら、
「はーい♪」
俺は逃げるように教室を飛び出した。
・
・
・
「せっかく、
ヒナは、高層マンションのエントランスでカードキーを出しながら、ぽっぺたをぷっくりとさせている。
「お、俺様は、アニキに呼び出しを受けただけっす!!」
「ええ!? じゃあひょっとして……いや~ん! アタシ、そんな趣味ないんだけど?」
「な、何考えてるんだよ!! そんなんじゃない。
「相談??」
ポーン
ほどなくして、エレベーターは最上階に到着した。
広々としたリビングは、家具もカーテンすらもなく、中央にほんの少量の荷物と寝袋がおいているだけだ。とても、年頃の女の子が住んでいる家には思えない。
「何突っ立ってんのよ。ほら、
「ああ。
「変なこと? ああ、アタシと
「な! アニキとヒーナ、そんな大胆な事をしたんでやんすか!?」
「そうなの。
しまった。完全に説明の手順をまちがえた。このままでは、番長にまた果し状を突きつけられてしまう。
俺は、改めて時系列を追って説明する。
「ええ!? ゾーネちゃんが、アタシをクロノス王国に連れ戻しに!?」
「そう。教室にいる全員に催眠術をかけてね。俺は
「ちょっとちょっと、アニキ、ヒーナ、俺様には何が何やらさっぱりでやんす。一体誰です? その幻術師ゾーネって女は!」
そっか、番長は物語序盤で時空のはざまに吸い込まれたから、ゾーネのことは知らないのか。彼女が仲間になるのって物語中盤だもんな。
「アタシも、ちょっと引っかかることがあるの、
「それなんだけど……実は俺、クロノス王国のことについては、かなり詳しいんだ。少なくとも番長よりは、圧倒的に詳しいはずだよ」
「?? どういうことでやんす?」
口で説明するより、自分の目で、直接確認してもらったほうがいいだろう。俺はスマホを取り出して『クロノスの聖女』を検索すると、一番先頭に表示されたゲームパッケージをふたりに見せる。
「ホラ、これが証拠さ」
「アタシがいる!! ゾーネちゃんも!!」
「俺様は……いないでやんすね」
「実は、
「なにそれ? それってプライバシーの侵害じゃない!? 失礼しちゃうわ!!」
リアクションとるとこそこなんだ。
でもまあ、『クロノスの聖女』って、水着イベントとかシャワーシーンのイベントとか、サービスシーンがめっちゃあったし、視点をうまく調整すれば、スカートの中とか覗けちゃうもんな。
っと、脱線している場合じゃない! 本題本題っと。
「で、このゲームのエンディングなんだけどさ、
「!!!!!!」
俺は、動揺する
「
「そうなんでやんすか? ヒーナ!!」
「…………………………」
「図星のようだな。どうして、そんなことを?」
(……………に……………だもん)
「? なに??」
なんだ? なんだ??
「だって!
「
「精霊になったら、二度と人間に戻れない!! 二度と
■次回予告
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