大文字伝子が行く285

クライングフリーマン

『ドリフト・アイス』1号事件

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中。


 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。

 橋爪哲夫警部補・・・丸髷署生活安全課警部補。愛宕の相棒。EITOの『片づけ隊』も手伝う。

 西部才蔵警部補・・・高速エリア署生活安全課刑事。『片づけ隊』も手伝う。


 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。


 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

 西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO非正規隊員。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。

 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。

 筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。


 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 本郷隼人二尉・・・本郷弥生2等陸佐の弟。EITOシステム課所属。普段は秘密基地で勤務。

 大蔵太蔵(おおくらたいぞう)・・・EITOシステム課課長。普段は秘密基地で勤務。

 河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO秘密基地。

「それでは・・・。」用賀が、オスプレイに乗り込み、裏山からオスプレイは発進した。

「流石に手が込んでますね、大蔵さん。」と、本郷は通称ナイフガンを『矯めつ眇めつ』見て言った。

「やはり、手作業でないと無理かな?」「そうですね。少なくとも量産は不可能でしょう。しかし、船倉は天知から貰っただけで、どんなものかも知らなかったと言っている。まあ、ナイフが銃に刺さっているだけで、オモチャっぽいのも事実だが。」

 2人は揃って通信室に入って、EITO東京本部をメインスクリーンに出した。

「今、受け取ったばかりで、仕組みはまだよく分かりません。以前僕が作ったレプリカとは雲泥の差ですね、本物は。工場生産は出来ませんが、万一量産出来る時が来たら、かなり苦戦を強いられそうです。」と、本郷は、理事官に報告した。

「ああ。久保田管理官から聞きましたが、元のプロファイリング課は、跡形もないようですね。村越警視正の怒りの現れですか。」

 大蔵の言葉に、「ああ。その代わりと言ってはなんだが、隣室だったソタイ課のスペースが拡張されて、ソタイ課課長は終始ご機嫌だそうだ。残ったプロファイリング課メンバーは、サイバーセキュリティー課に正式に異動になった。」と、理事官は応えた。

 午前9時10分。EITO東京本部。会議室。

「待ってくれ。『新幹部』から告示が入ったようだ。河野君。秘密基地にも繋いでくれ。」と、理事官は言った。

 マルチディスプレイには、ダークレインボーの新『幹』の、Redに載せた『宣戦布告』が映っている。

[お見合いパーティー第一回

 日時:明日午後3時。

 場所:神宮球場。

 参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。

  EITO東京本部の女性。

 観覧者:EITO東京本部の男性。

 来賓:新官房長官の森田康誠氏。

 主宰:ドリフト・アイス

 ]


「舐めやがって。」と、あかりが思わず言った。

「あかり、下品よ。招待状は来ないのね。」と、なぎさは皮肉っぽく言った。

「いきなり答を出して来るとはな。偽枝山から、何か勝利のヒントになる情報を得たか。」と、夏目警視正が言うと、「脅しを含んでいますね。官房長官は誘拐してある、EITOガーディアンズは後方支援するな、ということですね。」と、伝子が言った。

「理事官。確かに、ドリフト・アイスの名前で神宮球場は予約が入っています。丁度、プロ野球の試合の無い日です。」と、草薙が言った。

「アイス屋さんのお見合い、と思ったんだろうな。」と、原田が呟き、口を押えたが遅かった。

「原田、よく言った。後で頭を撫でてやる。」と、伝子が言ったからだ。

 横で、筒井が、頭を振った。

 会議は本格的に始まった。伝子は、自宅の高遠と、秘密基地の本郷・大蔵とを参加させた。

 翌日。午後3時。神宮球場。

 なぎさ達がピッチャープレート近くに集まっていると、奴らはやって来た。

 一塁側ベンチに、森田官房長官が縛られ、転がされているのが見えた。

 トラックから降りた集団は黒いスーツに黒いマスク、黒い帽子を被っていた。

「暑くないのか、そんな恰好で。」と、なぎさは、リーダーらしき男に声をかけた。

「すぐ終わる。心配ない。」なぎさは頷き、「そうだな。」と、応えた。

 50人位いた集団には、ナイフガンを持った男が10人いた。

 予想通りだ。「流石、おねえさまだわ。全部読んでる。」大阪の事件は、ピスミラじゃない、ドリフト・アイスの『小手調べ』だったのだ。

 突如、空が曇った。いや、集団の真上にオスプレイが降りて来たのだ。

 オスプレイから、スパイダーシュートと名付けられたロープが降りて来て、逆さまの体にロープを括り付けて降りて来た田坂、安藤、浜田の3人は宙吊りのまま、下に向けて矢を放った。

 陸自、空自、海自。それぞれ出向の出身が違えども、天童師範に鍛えて貰ったのだ。

 思いは一つ。最も危険な敵の武器を封じるのだ。

 伝子からは外してもいい、と言われていた。ナイフガンのナイフは、50メートルは簡単に飛び、返り血も浴びない。

 しかし、欠点が幾つかある。それが、高遠や本郷が指摘した狙い所、いや。急所だ。その一つが、上からの攻撃に対応しにくいということだ。狙撃手は、真上を仰ぎ見て撃つことになるからだ。

 三本の矢は、真っ直ぐ下のナイフガンに当たり、叩き落とした。

 欠点の二つ目は、壊れたら修復出来ない。ということだ。工場生産で量産は出来ない。複雑な組み立て経路があるからだ。

 そして、三つ目は、連射出来ないことだ。一度撃つと壊れる。

 矢を放った直後、『見極めた』上で、財前、仁礼、大空、七尾、静音、結城が3人を引き揚げた。

 一方、グラウンドには、またも想定外の事が起った。検診車が2台到着したのだ。

 検診車とは、会社などに巡回健康診断を行う為の車両である。

 高木と青山は、小麦粉バズーカで小麦粉弾を車の出入り口から、ナイフガンを持っている者目がけて撃った。また、筒井と馬場は、同じく小麦粉バズーカで小麦粉弾を撃った。

 残念ながら、この銃は実験段階のものなので、ナイフガン同様一発勝負だ。彼らは、撃つとすぐ検診車の中に入った。

 集団は、呆気に取られる者が多かったが、態勢を取り直して、ナイフガンの射撃手が前に出た。

 向き直ったそこには、シールド(盾)で簡易バリケードを作った、増田、馬越、大町、稲森、日向がいた。集団の狙撃手は、構わずナイフガンでナイフを撃った。

 彼らが撃った瞬間、側面に退いていた、なぎさ、飯星、伊地知、江南、葉月、越後、そして、あつこがブーメランで叩いた。

 ナイフガンでナイフを撃ち尽くした集団は、今度は機関銃や銃に持ち替えた。

 しかし、あかり、小坂、下條がシューターで攻撃を開始した。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 シールドバリケードでナイフを交わした増田達も、シューターを撃ち始めた。

 オスプレイの井関がリモコンで送ったホバーバイクに筒井達は乗った。

 ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』で、民間が開発してEITOが採用、改造して戦闘や運搬に使っている。

 筒井達、EITOガーディアンズは、水流ガンやフリーズガンで銃や機関銃を使用不能にして行った。フリーズガンとは、文字通り冷凍銃で、水流ガンは、飛び出すとグミ状になる特殊な水を発射する。

 戦力を削がれた集団は、電磁警棒に持ち替えた。エマージェンシーガールズはバトルロッドとバトルスティックを持ち、向かって行った。

 午後4時。

 集団の男達は、皆、青空に顔を見せて気絶していた。

 早乙女が、なぎさに寄って来た。「副隊長。官房長官は、奇跡的に無傷だったわ。」

 なぎさがベンチを見ると、工藤と井関が官房長官を介抱していた。

 なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た笛だが、EITOでは、簡易な通信連絡手段として使っている。人間の耳では、聞こえない周波数の方が、都合がいいからである。

「飯星。救急車が到着したら、お連れして。」と、なぎさは飯星に指示した。

「了解しました。」

「総理のおっしゃっていた通りだ。あなたが、隊長ですか?」と、森田が言うので、「いえ。私は副隊長で、前線の指揮を執っています。隊長は本部で総合指揮です。」と、なぎさは応えた。

「成程。成程・・・。」と言いながら、森田は頭を下げた。

『片づけ隊』が到着した。

 あつこが、愛宕と橋爪警部補と西部警部補に「後はよろしく。」と言って去って行った。

 午後5時半。EITO東京本部。司令室。

「回収してきました。内容を確認しないと分かりませんが、4個回収しました。」

 原田の報告に、「4個も?どうやら、カメラを回収していることは伝わっていないようだな。」と理事官は言った。

「コンティニューの虫食い、の一つですかね。原田、明日報告してくれ。帰宅していいぞ。」と、夏目警視正は言った。

 伝子が黙っているので、「あのう、帰宅して・・・。」と原田が言いかけたが、「よしよし、よくやった。」と、伝子は原田の頭を撫でてやった。

「筒井に遠慮しなくていいぞ。パートナーと一緒になる時は、報告しろ。筒井も『焼けぼっくいに火』らしいし。」そうやって、伝子は笑った。

 釣られて、原田が、夏目が、理事官が笑った。

 入室しかけた筒井が、不思議そうな顔をした。

 ―完―



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