雨に打たれ
ほら、またやってきた。
僕の血は時折
僕が汚した海のように
黒く、嫌な匂いをさせて
僕に思い知れと、全身を巡るんだ
もう生きれない
もう、生きていられない
って。
思い知るんだ。
こんなに汚れた海から、
美しい月が昇る日が来るの
陽が身を任せてくれると思うの
誰にも見られたくないのに
この海は大きくて、
汚さで誰かを脅かす。
そうやってでも
僕は
あり続けなくてはいけないの
新しい血をいくら創っても
いくら巡らしても
それは突然やってきて
優しく優しく包み込むように
真っ黒に染めていく
なのに、突然
何事もなかったかのように
消えて、
からっからの砂の上にひとり
僕は取り残されて。
なにもない。
だから雨が好きなんだ。
僕に降り注ぐ雨が、
好きなんだ。
けど、けれど、
おまえまで鯖ないでおくれよ、
寂れていかないでおくれよ
もう、
雨なんて降らなくて良いよ
からっからの砂の上で
枯れるまで僕は歌えるのだから
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童話『小さな鈴と吟遊詩人』より
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