GIANT KILLERS

神渡楓(カワタリ・カエデ)

prologue

日本中が熱狂したJリーグの開幕から30年を超える時が流れた。たったの10チームから始まったリーグは、今や三つのカテゴリーに分かれて60チームにまで増えた。J1をトップにしてJ2、J3というカテゴリーのリーグがある。各リーグ優秀なチームは上のカテゴリーに昇格し、その逆に結果が残せなかった場合は降格する。

世界のトップリーグで活躍している数多くの日本人選手がプロとしての最初の一歩を踏み出し、世界で揉まれた歴戦の猛者が慣れしたんだ故郷で躍動し、日夜苛烈な戦いが繰り広げられるJリーグ。しかし、日本のサッカー界にはJリーグ、正確にいうならJ3の下にもリーグカテゴリーが存在する。

日本フットボールリーグ(JFL)、地域リーグ、都道県リーグだ。都道県リーグで優秀な成績を収めたら地域リーグに昇格、そこでも優秀ならJFLに昇格できる。ただ、JFLからJリーグへ昇格するのは難しい。規定で定められた観客などの項目もクリアしなければならないからだ。しかし、裏を返せば成績がある程度良くて条件をクリアしていればJリーグへ参入でき、成績が良くても観客が少ないチームなどは参入できないという歪な形のリーグになっていた。

しかし、Jリーグに各カテゴリー20チームという制度が生まれたことにより、この条件が少し変わった。

JFLの優勝チームとJ3リーグの最下位チームでの入れ替え戦が実施される事になったのだ。

その情報はJFLで戦う選手、応援するサポーターらを大きく沸かせた。

リーグのルールが至極簡単で最も熱いものになったからだ。


「勝てば良い」


自らの力を信じて、その力を存分に発揮する。相手のチームを倒し続けて己の強さを証明すれば、夢を掴み取れる。

 

これは、サッカーに携わる人間の熱い人生を描いた物語である。

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