炎と影の軌跡

第3話：影の痕跡を辿って

　エリオットとイザベラは、不審人物が何かを落としたカフェに向かっていた。カフェの入り口に立つと、エリオットは周囲を観察し、細かな手がかりを見逃さないように気を配った。

「ここが例のカフェだな。」エリオットはイザベラに言った。

「ええ、防犯カメラの映像では、この場所で何かを落としていたわ。」イザベラは同意し、カフェの内部に目を向けた。

　二人はカフェに入ると、エリオットは店員に話しかけた。「すみません、警察の者ですが、少しお時間をいただけますか？」

　店員は驚いた様子でエリオットを見つめたが、すぐにうなずいた。「もちろんです。何かお手伝いできることがあれば。」

「ありがとうございます。昨日の夜、このカフェで不審な行動をしていた人物についてお聞きしたいのですが。」エリオットは防犯カメラの映像を店員に見せた。

　店員は映像を見て、少し考え込んだ後に言った。「ああ、この人物ですね。確かに昨日の夜、ここに来ていました。なんだか落ち着かない様子でした。」

「彼が何かを落としたり、置いていったものはありませんか？」イザベラが尋ねた。

「ちょっと待ってください、見てみます。」店員はバックルームに向かい、数分後に小さなポーチを持って戻ってきた。「これがその人が落としていったものです。」

　エリオットはポーチを受け取り、中を確認した。「ありがとう。これは非常に助かります。」

「イザベラ、シャドウファングを使おう。このポーチには犯人の魔力の痕跡が残っているかもしれない。シャドウファングならその痕跡を辿ることができる。」エリオットはイザベラに告げ、シャドウファングを召喚した。黒い影のような狼が現れ、エリオットの指示を待っていた。

「シャドウファング、このポーチに残された魔力の痕跡を追ってくれ。」エリオットはポーチをシャドウファングに差し出した。シャドウファングはポーチの匂いを嗅ぎ、周囲を調べ始めた。

　シャドウファングが辿った道は、ビルの裏手に続いていた。これは犯人がカフェに来る前にビルの裏手で何かを仕掛けた証拠だった。

　火災現場に到着した彼らは、シャドウファングが地面を掘り起こして小さな魔法の石を発見した。石は地面に埋もれており、警察が見逃していたものだった。

「これは…魔法の石だな。」エリオットは石を拾い上げ、イザベラに見せた。「この石には魔力の痕跡が残っている。これを使って火災を引き起こしたに違いない。」

「この魔力の痕跡をたどって、犯人の行動をさらに追跡しましょう。」イザベラが提案した。

　二人は火災現場からカフェの防犯カメラの映像を再度確認するために警察署に戻った。映像を解析することで、犯人の動きや行動パターンを詳しく分析することができる。

「この映像を見て、犯人がどのようにして火災を引き起こしたのかを特定しよう。」エリオットは映像を再生しながら言った。

　映像には、犯人がカフェの一角で何かを取り出し、その後に火災が発生する様子が映っていた。犯人が何かを操作した直後、ビルの裏手で火災が発生していた。

「これが火災の原因ね。」イザベラは映像を指差して言った。「犯人はこの魔道具を使って火災を起こしている。」

「そうだ。この魔道具と同じ魔力の痕跡を探し、次の犯行場所を特定しよう。」エリオットは映像の詳細を確認し、シャドウファングに再度命令を出した。

「シャドウファング、この魔力の痕跡を追ってくれ。」エリオットは石をシャドウファングに差し出し、再度命令を出した。

　シャドウファングは石の匂いを嗅ぎ取り、再度動き始めた。エリオットとイザベラはその後を追い、犯人の次の行動を予測するための情報を収集した。

「次の犯行場所を予測するためには、犯人の行動パターンを分析する必要があるわね。」イザベラは言った。

「そうだな。この情報を元に、次の犯行を未然に防ぐための手を打とう。」エリオットはシャドウファングの動きを見守りながら答えた。

　シャドウファングが辿った痕跡は、次の火災が発生する可能性のある場所を示していた。それらの場所は、メトロポリスの中心部にある大型ショッピングモール、高層マンションの一角、そして市民広場に面したオフィスビルだった。エリオットとイザベラはその情報を元に、次の行動を計画し始めた。

「この場所で次の火災が起きる可能性が高い。それぞれの場所に先回りして、犯人を捕まえよう。」エリオットは決意を込めて言った。

「そうね。私たちの力を合わせて、次の犯行を阻止しましょう。」イザベラはエリオットに微笑みかけ、二人は次の手がかりを追い続けた。