第27話 風の夜雨に

「ふー、あっぶねー」

 手に持っていたスタンガンを急いでしまい凌空を抱き上げ口元に手をかざした。

「…………」

 よかった、気絶してる…

 少し長く当てすぎたかと不安だったが体に異常は無さそうでちょっとほっとした。

「……こんなもんか」

 凌空をベンチに座らせてタオルで顔に付いた泥や雨水を拭き取って持ってきた折り畳み傘を固定した。多分起きるまでは大丈夫だろ、さて、

「、こっちか」

 左右を見て車が無いことを確認して走り出した。風が雨が冷たく突き刺さっても水溜まりに足を突っ込んでもフードがとれても気にせず走り続けた。

 「はぁっはっはっ」

 口から取り込んだ空気が喉に突き刺さった感じがして苦しい。けど、それよりも、激しい雨が辺りを冷やしたにも関わらず俺の体は燃えるように熱く感じていった。

 早く早く早く早く早く早く

 この先を左に曲がって、そのまま道なりに真っ直ぐ走れば――――――――――――――――――

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