第19話 降たりめ
次の日 放課後
俺は次の公園に足を運んだ。この公園、東雲公園は今まで起きた事件で最も大きな公園だ。ブランコや滑り台はもちろんシーソーや鉄棒もあって花の手入れもきちんとされている。
キレイ
いつ来てもそんな言葉が出てしまう。また昨日みたいにぐるりとまわった。やっぱ広いな
なんて思いながらとある場所で足を止めた。
「ここか、」
俺の前に見えたのは件の石階段。ここから落ちたら最悪助からないだろうな。1段1段がでこぼこしてて横幅はあるのに高さも奥行きも全然ない、古い寺にある石階段の方が手すりもあるしまだマシだろう。足元を見ると踏み外したときの恐怖がちらついてくる。
「…」
ざりっ トン ジャリッ サーッ
そんな恐怖を握りしめゆっくり1段1段降りていった。途中、くるりと降りてきた階段を見返した。下から見るとまるで神社やお寺に行く手前の階段みたいだ。途中から落ちるなら怪我で済みそうだけど1番上からなら間違いなくただじゃ済まないだろうなぁ
「…(…29…30…31)っと、」
31段、中途半端な階段だな
階段を降りて左右の道を見渡した。この一本道はこの石階段と違いとても整備されていてランニングや散歩コースによく使われるほどだ。この道を挟んだ向こう側の川にも落下防止のために柵が設置され柵と川の間にある花壇も頻繁に手入れされていて今紫陽花が咲き乱れていた。
「うーん、」
もし、ものを隠す、と考えても花壇くらいしかみられなかった。他にもトイレとか候補があったけど階段まで距離があって効率的ではないし…
普通の事故な気がしてきた。で、犯人はこの事故に関連があるように時間とか合わせてきた愉快犯だった、とか
「えー、まぁじでわからん」
正直、現場に行けば何か共通点とか見つかるかと思ったけどハズレか?だるーい
一旦持って帰るか……
家に足を向けため息がこぼれた。
深夜、俺はまたパソコンを開いた。連日で使ったのはこれが初めてじゃないか?多分そんなことはないんだろうけどそれほどパソコンなんて使わないから、
「お、あった」
画面に表示したのは昨日調べたマガジン掲載。
ぼんやりとした記憶に球技大会の近くでそれっぽい名前を見た。
「あっ、これだ」
俺はある記事を見つけカーソルを止めた。タイトルには「春季男子バスケットボール大会 準優勝 ~祝 12年ぶりのBEST4~」とあり男子バスケ部の集合写真が貼られていた。最前列の真ん中の男子が賞状とトロフィーを持っていた。文中に「旭西のエース 如月瑞希にインタビュー」と書かれていた。如月樹の名前に似ていたことを俺は憶えていた。新聞に貼られていた写真とかなり似ていた気がする。多分コイツが彼女の兄妹かなんかだろうか。
その後30分くらいマガジンを読み続けたが如月樹についての記事はどこにもなかった。
「...」
昨日調べたときより情報が無さすぎる…
これまさかとは思うが本当は如月瑞樹がターゲットだった説とかない、よな...?
「...」
いや、深く考えるのはやめようやめた。凌空と2人で考えようそうしようもう寝よう。パソコンの電源を切りベットに直行した。
めんどくさいことになったな…
目を閉じながらそんな呟きは雨音もしない部屋の静寂に溶け込んだ。
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