第4話 梅雨寒をも忘れる

『昨夜、西第1公園で男性の遺体が発見されました。男性は後頭部に打撲傷がみられ争った形跡はないとのことで警察は男子高校生連続殺人事件と同様の事件とみて捜査を進めているそうです。』


 はーーーーーーーー

 雨音とユニゾンするかのように長い深いため息を吐いて机に突っ伏している凌空。暇そうにボーッとテレビのニュース速報を眺めていた。今日は凌空の家で8月の夏祭りに出される出店の確認事項の手伝いに来た。何か凌空の父さんが先週骨折して人手が足りないらしい。夏祭りまで日があるから今はテントを張ったりしなくても大丈夫なんだと。今回は出店の配置の確認と出店することろに渡す書類に訂正前の書類が入っていないかの確認という事務的な内容だった。けっこう簡単に聞こえるけど大事なことだって話してたな。数年前、訂正前の書類を受け取った店があってちょっとドタバタしちゃったって話だ。できるだけトラブルを少なくして効率的よく祭りを楽しめるようにするため、手伝いをする人全員がこの確認をするようになった。正直PDFにまとめた方が効率いいのはいわずもがな。でもいちいちスマホの電源つけるのはめんどくさいし紙媒体の方がメモ書きしやすい。まぁこれだけでおじさんは小遣いくれるって言ってたから文句はない。金欠なんだよ。

「でっけぇため息w」

「終って暇なんだもん、寒いし」

「わかる。ちょっと冷えるな」

「いくつか毎年同じところで店出すからめっちゃ楽。あ、終わったらケーキ食お。母さんが買ってきてくれた。」

「うっし、あとちょい」

「ゆっくりでいいぞ。」

 見落としはないほうがいいから、と付け足し伸びをした。1つ1つ確認しなきゃいけないとかめんどくさくて匙を投げそうってよくいわれてるけど人は見た目によらないってこの事なんだろうな。凌空の家は神社だから毎年手伝わされて慣れもあるんだろうな。

 ……こっちも訂正前の書類は混じって無いな。トントントン、書類の束を整えた。

「…………なぁ」

「何?」

「俺らで犯人探してみん?」

 

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