五月雨事件

牡丹

第1話 始まりは雨の中

しとしとと窓の外は雨が降っている。今は6月。梅雨真っ只中。今日の雨は穏やかだ。

 ぼーっと外の風景を眺める。変わらない、いつも見ている校庭、校門、道路、橋、信号の向こうに業務用スーパー。別に面白いわけではない。いつもの風景に雨がプラスしただけだし、雨だからスーパー辺りになると見えずらい。でも、今はこれは退屈しのぎになっている、気がする。俺の視点を反転するとほとんどのやつが机に伏せて眠りこけているだろ。まぁ昼食後の数学だもんな。これもよくある光景だけどどこか静かすぎる気がする。正面を見ると答えがある。正面にあるのは黒板、そこには大きく「自習」と書かれている。先生から配られたプリントを1枚やればいいだけの簡単なもの。だからこれを終わらせたやつから寝たり本を読んだりと各々やりたいことをやっている。先生たちはバタバタしていて授業の始め辺りに出席確認するくらい。

 ここ数日こんな感じの授業がちらほら。これはある事件が起きたからだ。

 突然だけど隣のクラス、3組の五橋っていうサッカー部のエースがいる。特別頭がいいとか、顔立ちが整っているとか、カリスマ性があるとか、、、漫画の主人公みたいなやつではなかった。でも誰よりも負けず嫌いで努力を怠らない一面があったらこそのおかげで1年生で3年生を抜いてレギュラー入りすることができたそうだ。そんな期待の新人五橋が先週部活帰りに殺されてしまった。この事が知らされてすぐ生徒の間ではサッカー部の誰かが犯人なのではないかと噂が燎原の火の如く広まった。だがそんな噂も75日経たずに途絶えた。そして、別の噂が広がり始めた。どうやら五橋は連続殺人事件に巻き込まれたそうだ。

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