新作掌編「痴女ソルジャー」


「なっ――なんで戦場で水着みたいな衣装なんですか!! 色仕掛けですか!? 肌の露出を、お、多めにして……っ、戦場をなめないでください!!」


「えー。そんなこと言われても、司令官の指示だしぃ……そもそもこの水着だって必要ないっちゃないんだけどねー」


「そんなわけないでしょう! 裸で戦場を歩くつもりですか!?」


「ニップレスくらい貼るけどさ。服なんて意味ないのよ――だって、あたしたちは皮膚の堅さが自慢の種族だから。服なんて着てたら邪魔でしかないし、無駄でしょ? 鎧なんて以ての外。あたしたち以外の兵士に渡してあげた方がいいのよ。

 ……裸で戦場を歩いていたら色仕掛けだって思うの? それとも客寄せパンダだと思った? あはっ、残念でしたっ。これがあたしたちの最硬戦力なのよ!」


 銃弾を弾き、


 刃を跳ね返す肌。


 絶対に傷がつかない肌こそ、表に出すべきなのだ。


「そっちは貧弱な肌みたいだけど? 鎧でカバーしなきゃ守れないような体なら戦場に出ないでほしいんだけど。

 ……なめてるの? ここ、油断してるとあっさりと死んじゃう戦場だからね?」


 銃声が聞こえた時には、十代の少女の後頭部に弾丸がめりこんでいたが、


「いったぁ……けど、致命傷じゃないわ」


 頑丈な少女たちが戦場に送り込まれる。

 彼女たちはひとり残らず、まともに服を着ていない痴女だった。



「さてと。早く終らせないとね……だって風邪引いちゃうし」



 衝撃には強くとも、ウイルスには弱いようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る