『薄明の中で』

 辺り未だ昏く、吐く息のいよよ白く、日を追うごとに張り詰めた気、いよいよ身に染む。家路を辿り、徐々に薄く光の射す空を眺め、ふと見下ろせば道のわきに生ふる若芽の白く、空より降りし冬の、地に満ちる息吹を結びし徴と見ゆ。

 しかして、あさまだき、他に歩くもの無し。この徴は如何なるものの結びし息吹か、と暫し立ち止まりて思案するに、其処彼処で間を置かず聞こえて来る小鳥の群れの囀る声。



        早朝の 囀り結ぶ 白地の符

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