ちょっと怖い話(ちょっ怖)

第1怖 深夜のテレビ番組

なぜか全く眠くない夜があった。仕方ないので、テレビでもみるか、とテレビをつけたら、なにやら面白そうなバラエティ番組が放送されていた。しかも今の時代にそぐわない、体を張って危険なことに挑戦する企画だ。

「危ないやろー!」

「でも生きてるやんか。生きてたらええやん」

「そう言う問題ちゃうねん!死ぬとこだったでホンマ!」

企画に挑戦しているコンビの芸人が何やら揉めているようだ。しかもこの芸人、俺の高校の頃の同級生だ。あいつも頑張ってんなー、昔のバラエティはこうだったよな、と思っていたら、ふとあることを思い出した。

・・・あれ、これ見たことあるな。

・・・しかも、こいつ、この番組での事故がきっかけで亡くなったんじゃ。

そんなことに気づいた瞬間だった。

「これほんまに危なかってん、お前もそう思うよな?」

後ろから声がした。たった今、テレビから聞こえてきたものと全く同じ声が。

・・・なんで、なんでこの声が聞こえるんだ。亡くなったあいつの声だ。こんなことを考えながら緊張と恐怖でそのまま意識を失ってしまった。意識が薄れる中、最後にこんなセリフを聞いたのを憶えている。

「また見にくるわ!」


・・・二度とくんな。そんなことを思い出しながら、今年の墓参りを済ませた。

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