【書籍化&コミカライズ決定】何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった二人をガチ惚れさせてしまった件【リメイク版】
水島紗鳥@2作品商業化決定
前編
プロローグ
第1話 拾ってくれてありがとう
人は生まれながらに平等とはよく言うが正直俺はそれについてかなり懐疑的だ。容姿のように人生に大きな影響を与える重要ステータスがこの世に初期スポーンした時点で変更不可なのは流石に不平等過ぎやしないだろうか。
例えば身長百八十センチあってイケメンなクラスメイトと身長百六十七センチしかなく容姿も平凡的な
クラスのトップカーストに所属しているイケメンはきっとこれからどこへ行ったとしても今と同じようなリア充メインキャラで居続けるに違いない。
それに対して俺は多分これからもずっとあまりパッとしないメインキャラの陰に隠れたモブキャラBくらいのポジションのまま過ごす事になるだろう。
そんな諦めの気持ちを持っているせいか人生にあまりやる気が起きない。だから朝起きて朝食を食べてギリギリに学校へ行き、放課後になるまで適当に授業を受けて家に帰るような中身のない空虚な毎日を過ごしている。
クラスに誰も友達もいない上に部活にも所属していないため学校に自分の居場所というものがない事も俺の捻くれ具合に拍車をかけている要因だと思う。勿論言うまでもなく彼女なんているわけがなかった。
「……俺も友達とか彼女がいたらちょっとは人生が楽しくなるのかな?」
帰りのホームルームが終わった後、靴箱に向かいながらそんな事をつぶやいてみたものの、友達や彼女なんてどうやって作ればいいのか分からない。小学生の頃までは友達なんていつの間にか出来ていたが、中学生になってからは出来なくなったのだ。
他人と普通に会話はできるためコミュニケーション能力が決して低い訳ではないのだろうが、とにかく友達ができない。周りは普通に友達を作っているというのに、その普通ができない俺はとにかく自分自身が本当に惨めだった。
友達すら作れない俺に彼女を作ることはもっと無理で、好きな相手ができたとしても一方的な片想いで終わる事しか無かったのだ。
アニメや漫画のように突然女の子からモテるようにならないかなどと時々妄想しているが、世界がそんなに甘くない事を俺は知っている。
そんな事を考えながら廊下を歩いていると、目の前を歩いていた女子がリュックサックの隙間から何かを落とした。
落としたのは筆箱のようだったが気付かずにそのまま歩いて行こうとしていたため、俺はそれを拾って慌てて声をかける。
「なあ、ちょっと待ってくれ。カバンから何か落としたぞ」
「……もしかして私?」
俺の声に気付いた女子は立ち止まってこちらをゆっくりと振り返った。その顔を見て俺は学内の有名人に声をかけてしまった事に気付く。その女子とは日英クォーターの美人双子姉妹の片割れとして名を馳せている
剣城さんは一卵性の双子の妹であり、全く同じ顔をした姉がいる。姉である
ちなみに剣城姉妹は髪型と性格が正反対であり、姉は明るい性格でロングヘア、妹はクールな性格でショートヘアとなっているようだ。
「ほら、これ。剣城さんのだろ?」
「拾ってくれてありがとう」
剣城さんは無表情のままお礼の言葉を口にするとそのまま筆箱を受け取り背負っていたリュックサックを床に下ろす。
アニメや漫画であればこれをきっかけに青春ラブコメが始まりそうな場面だったが、残念ながらこれは現実だ。カバンの中に筆箱をしまい終わった剣城さんは、もう一度俺にお礼を言うとそのまま歩き去っていく。
「……普段起きないイベントが起きたし、今日はそういう日なのかも」
もしかすると今日は神様が俺に与えてくれた幸運な日なのかもしれない。それなら前から狙っていたSSRキャラだって引けるかも。
そう思った俺はポケットからスマホを取り出してソシャゲを起動すると貯めていた石を全部注ぎ込んでガチャを回す。
その結果は見事に大爆死だったためせっかく上がっていたテンションが一気に落ちた事は言うまでもない。萎えた気持ちのまま学校を出た俺はショッピングモールへと向かい始める。
その目的は本屋でライトノベルを買うためだ。今日発売の五重人格の許嫁という大人気学園ラブコメの最新巻が欲しかった。ショッピングモールに到着した俺は早速ラノベコーナーに直行し物色を開始する。
「あっ、これって前に作家になろうで読んでた奴じゃん。へー、いつの間にか書籍化してたのか」
ラノベが好きな俺は作家になろうというネット小説投稿サイトをよく読み漁っているわけだが、そこでランキング上位を取ったような作品は出版社からオファーの声がかかって書籍化する事があるらしい。
俺も書籍化を夢見て一度だけ作品を投稿した事もあったがほとんど読まれなかったため一週間で打ち切った記憶がある。
「書籍化する基準が3万ポイントって無理ゲー過ぎなんだよな……」
ちなみに俺が書いた作品は一週間で4ポイントしか入らなかったため絶対に無理だ。そんな事を思いながら以前読んでいた”どうやら俺は今どきヤンキーな歳下幼馴染から歪な愛情を向けられているらしい”という作品を手に取る。
せっかくだからついでにこれも買おう。その後レジで会計を済ませた俺は適当にショッピングモール内をぶらぶら歩く。明日は待ちに待った土曜日であり学校も休みなので多少帰りが遅くなっても大丈夫だ。
「まあ、どうせ家に帰ってもラノベ読んだりアニメ見たりするしか用事はないけど」
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