心、失す
恋人だったはずの君に触れることすらできなくなって、話しかけても楽しそうじゃなくて、やっぱりだめなのかなって思った。
振られた。やっぱりだめだった。現実だから、理想なんて望むだけ無駄だよね。
でも振られた日の夜、最後にせめてもの救いで見せてくれた夢があった。
夢の中でも関係はぎくしゃくしていて、夢だったけどしんどかった。居心地が悪くて変な場所でまたねって、してしまった。
別にそれでいいと思っていた。きっと自分がいない方が疲れないだろう、嫌な思いをさせないだろうって。…でも、なんでだったんだろう、わからないけど、途中まで進めていた足を止めて、解散した道に向かって戻り出した。そんなことしてたら、会った。会ってしまった。
さっきぎくしゃくしていたばかりなのに、でも好きな気持ちはコントロールできなくて。君の顔を見た途端にああ、好きだな。って。
気づいたら抱きしめていた。夢の中の君は抵抗することも、嫌な顔をするでもなく、ただただ優しく、頭を撫でてくれた。
まるでこれで最後のハグだからいっぱい充電しなと言っているように。
その胸の中で思いっきり泣いた。抱きしめた。抱きしめ返してくれた。最後に神様は幸せをくれたのか。ただの夢、現実じゃないのに朝起きた時、いつも酷い倦怠感を感じることなく起きられた。
本当にすっきりと。
夢だったけど、抱きしめられた感覚がある。不思議だ。本当に安心した。神様が安心感を与えてくれた。運命なんて信じられないけれど、でも、
この世界も捨てたもんじゃないなって。小さな幸せによって自分の心は救われた。
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