姫甘草日記

白井なみ

June


6/1(Sat)

親友のMと海遊館へ行く。梅田で待ち合わせをしてパスタを食べ、その後二人で大阪港駅へと向かった。

Mとは高校時代のバイト先で知り合ってから10年近く経つ。優しくてほわほわ〜とした雰囲気は昔から全く変わらない。

唯一の親友と言えるMのことが私は大好きだけど、私が変わったのか、それともMが変わったのか、はたまたその両方なのか……最近はMとの会話の中で心から共感できる部分が昔と比べて随分と少なくなった。

社会生活が苦しいから結婚に逃げ、それも難しいから行きずりの恋愛ごっこに興じる。これが自分の話だけなら何も問題はないが、「結婚」やこの年(20大半ば)での恋愛は、相手やその家族の今後の人生をも左右する。

それを簡単なことのように捉えているMの考えには、賛同しかねるのだ。

とは言え、Mとの仲は良好だし、これからも一緒にいたい。

この日も私が水族館へ行きたいと言ったから、Mが喜んで付き合ってくれた。

数年ぶりにスタバへ言って抹茶ラテを飲み、サンタマリア号にも乗った。そういえば、今年初めて海を見た。

海遊館に来たも恐らく中学生以来。人は多いが、夕方に入館したこともあってか割とゆっくり見て回ることができた。

リコリス・リコイルというアニメの「サカナーチンアナゴー」のポーズで写真を撮り(誰かに撮ってもらうのは恥ずかしいので合成で)、あまりのシュールさに爆笑した。



6/6(Thu)

障害が少なく、繁忙期を過ぎたこともあり、社内ニートというほどではないけど単調な仕事を淡々と熟す。しかし、その仕事も今日終えてしまったので明日から空いた時間に何をするか、考えるなり聞くなりしないといけない。



6/7(Fri)

自分が受け持っていた仕事がほとんど片付いてしまい、マジで社内ニートになりかけている。直属の上司にキッティングなどの仕事を与えてもらったが、それも終わって「他にやることありますか?」と聞くと困り顔にさせてしまう始末。

「それじゃあ、マニュアルでも作りましょうか」と言って、この日はひたすらパワポやらExcelやらでマニュアル作りに勤しむ。

何をやってるんだろうと思わないでもないが、これもいつか誰かの役に立つかもしれないと思って頑張る。それにしても肩凝るし画面を凝視し過ぎて目が痛いしオフィスワークもなかなかしんどい。



6/8(Sat)

お休み。7時頃に起きて部屋を掃除し、十一時くらいに近所の大好きなケーキ屋さんにケーキを買いに行く。この日は絶対にこの店のケーキを食べると決めていた。

しかし、店を訪れる時間が早過ぎたのか、苺系のケーキが出てなくてちょっと残念だった。フルーツタルトとかショコラオランジュ?みたいなのとで迷ったけど、結局モンブランタルトと、いつも買うガトーショコラに決めた。安定に美味しい。店構えも可愛くて好き。近所に好きなお店が一件でもあるのは幸せなことだ。

その後、家で少し小説を書いたり読んだりアニメや映画を観たりしてダラダラ過ごした。小説はモームの「人間の絆」の下を読み始めたけど、マジのマジでフィリップに苛々し過ぎて心の中で何回も舌打ちしてる。

映画は「べいびーわるきゅーれ」の1と、ずっと観たいと思っていた「プラダを着た悪魔」を観る。女の子がコンビで戦うプリキュア的な話が大好きだから(リコリコも然り)「べいびーわるきゅーれ」も好きな話だったけど、何の罪も無い善人が痛い目に遭う系のシーンは辛い部分があってちょっとしんどかった。



6/9(Sun)

今は亡き愛犬の誕生日で少ししんみりとする。日曜日らしく(?)家から一歩も出ずにダラダラ過ごす。10月に取得したい資格の試験があり、そろそろ勉強始めないとな〜と思いつつ、結局やらなかった。

通勤電車内で過去問を解いたりはしているけど、全然わからないのでちょっとずつ本気を出していかなきゃな、と思う。



6/10(Mon)

通勤ラッシュの時間帯に駅中を歩いているとたまに思うんだけれど、構内アナウンスで「スマホ歩きやめてください」的なことを言っているのに堂々とスマホ歩きをしている人は何なんだろう。

そういう人たちが操作しているスマホの画面をちらっと見ると、大体インスタとかYouTubeとかで、そこまでして見たいものか?と、腹が立つとかではなく単純に不思議に思う。



6/13(Thu)

口内炎が痛すぎる。

口内炎は少なくとも2〜3ヶ月に1回は必ずと言っていいほど出来るので辛い。自炊して野菜もそれなりに食べていると思うし、特に思い当たるストレスも無いので、原因がわからないことがより辛い。特に歯磨きの時が一番痛い。唇の裏にある口内炎にブラシが少しでも当たると激痛で泣きそうになる。

夜寝る前に口内炎に薬を塗付して就寝したら、翌朝口の中が薬まみれになっててそれも悲しい。

まあでも、面皰などとは違ってまだ他人から見えない所に出来てくれているだけマシかもしれない。



6/15(Sat)

午前中から皮膚科と消化器内科をハシゴする。皮膚科では痒み止めを貰うついでに口内炎の薬も処方してもらった。

消化器内科には半年ぶりくらいに行ったけど、慢性的な吐き気と気持ち悪さの原因はわからず、やはり胃カメラするしかないのか……

ご飯はしっかり食べられているので身体に異常はないと思うんだけれど、特に思い当たるストレスも無いので精神的な原因から来るものだとは思えないんだよな……

私がこの原因不明の吐き気を感じる時、サルトルの「嘔吐」をいつも思い出す。

全ての診療を終えて薬局を出た後には13時近くになっていた。1時間ほどヒトカラをして、いつも通りLiSAメドレーを繰り広げる。

その後図書館へ行った。「人間の絆」は読み終わらなかったので延長した。

「ブラウン神父の無心」「やし酒飲み」「注文の多い料理店」を借りる。「やし酒飲み」「注文の多い料理店」は有名どころだけど、内容は全然知らないので読んでみたくなった。「ブラウン神父の無心」が一番読むのが楽しみだ。



6/16(Sun)

日曜日らしく家から一歩も出なかった。

今の職に転職して以降、土曜日に買い物したり友達と会ったりなど外での活動をして、日曜日は引きこもって本を読んだり勉強したりするというフレームワークが自分の中で出来上がっている。

結婚したり子を産んだりすると絶対にこんな生活は出来ないんだろうなぁと思うと、ずっと独身でいたい気がする。守りたい、この生活。

でも結婚もしたい。子を産まなきゃいいかと思うんだけど、結婚するなら子供も欲しい。

なんなんだ、私は。



6/17(Mon)

お仕事。……は表向きの活動で、実際は怪物のようなアフタ性口内炎との凄絶な闘い。今のところ私がボロ負けの状態で、退勤時間にはHPがレッドゾーンにまで擦り減った。

この日記も口内炎の闘病日記になりそうなんだけど……

痛過ぎて喋るのも食べるのも辛い。サクサクしたものは口内炎に刺さってめちゃくちゃ痛いし、ここ数日の晩ご飯はうどんとかばっかり食べてる。痩せそう。

とか思いつつも、今も痛みに耐えながら貰ったクッキーを食べてこれを書いている。



6/20(Thu)

普段はオフィス内でひたすらPCと向かい合って仕事をしているが、今日はお客様先に訪問する上司に同行することに。

客先までは車で1時間ほどなのだが、その間のお喋りが面白く、これで勤務時間を2時間消化してもいいのか……?と思うくらいだった。

上司の新しい趣味についてのことや、FateやFGO、マッチングアプリなど、他にも色々なことが話題に上がり、仕事中にこんなに笑ったのは随分と久々な気がする。

今の職場は優しい人ばかりで、普段は世間話こそあまりしないが、仕事上の連絡事項などは比較的言いやすい環境で有り難い。



6/22(Sat)

やーっと土曜日。と少し前に思ったばかりのはずが、もう土曜日終わり……哀しい。

今日は土曜日にしては珍しく(?)引きこもっていた。

七時頃起床→掃除→読書→資格試験の過去問ポチポチ→アニメ観ながら朝兼昼ご飯→読書→小説書く→アニメ→過去問ポチポチ→読書……という感じで、合間にゲームやYouTubeがちょくちょく入るのだけれど、まあそれほど時間を無駄にせずに過ごせたので優秀な方。

アニメは「その着せ替え人形は恋をする」を見始め、本は「ブラウン神父の無心」を読んでいる。Amazonで数冊本を購入した。



6/26(Wed)

バタバタとしていて平日はなかなか小説を書けないけれど、仕事以外で何かしらの文章を一日一回は書くようにしたい。

そう思ってこの日記を書き始めたのに、早くも疎かになり始めている……

ところで、最近ずっと考えていた悩み(というほどのことでもないけど)があるので書く。

それは、年を重ねる度に「他人と何かを共有したい」という感覚が薄れていくことだ。

それは物を共有──貸し借りをすることもそうだし、アーティストのライブの感想を言い合ったり、SNSでのやり取りであったり、そういうことが煩わしい。

20歳くらいまでは(たったの5年前のことだが)SNSで頻繁に投稿をしていたけれど、それは他人とコミュニケーションを取る為ではなく、自分の自己顕示欲求を満たす為の作業だと気付いた。そんな自分自身がみっともなくてたまらなく嫌で、SNSで投稿することをやめた。

小説もそうだ。「見てほしい」という欲求を満たす為に書くのはやめた。

「見てほしい」から書くのではなくて、「書きたい」から書く。そうすることで本当に書きたいものだけを書くことが出来るようになった。

自分の幸せを他人に委ねていては、きっといつまでも満たされないままだ。

孤独=可哀想みたいなイメージは未だ根強いけれど、孤独の大切さを解っているからこそ気付くことの出来る幸福もある。

私はその「幸福」を知っている人とだけ、時々他愛ない話ができればそれでいいと考えてしまうのだ。



6/28(Thu)

朝から障害ラッシュな上、一人欠勤が出たこともあり忙しかった……

帰宅して夕食を食べ、ベッドの上でまったり江國香織の「神様のボート」を読んでいたら、カーペットの上をスタスタと動くGを発見。

口コミ・評価が抜群に高いスプレーを買って対策していたから、「今年は見てないなー」と思っていたのに!油断した頃に現れる……

家は1Kなのだが、ヤツはキッチンの方へ行ったので即座に寝室のドアを締め切ってスプレーを噴射しまくる。

すると玄関扉の前で悶え苦しんでいた。何度も何度もスプレーをかけるがピクピクしててなかなかしぶとい奴。

ほうきでチリトリの中に掃き込み、0時前まで馬鹿騒ぎしてる隣人の部屋の扉の前にそっと置いておいた(^^)

なんだか森見さんの小説を思い出すわ……(仕返しはマジで勘弁してほしい)



6/29(Sat)

今朝、ちょっと嫌な夢を見た。

私は5年間働いたかつてのバイト先でまた働くことになって、そこには以前一緒に働いていた主婦さんやフリーターの人がいて「おかえりー!」と言って喜んでくれる。

最近、現実でそのバイト先の同僚とご飯に行った際、私が勤めていた頃にいた社員さんは転勤してしまって、代わりに来た社員さんはみんなから「軍曹」と呼ばれ恐れられているらしいのだと聞いた。

夢の中で私は「軍曹」の下で働くことになって絶望するという、そんな夢。

夢の中でまで働きたくない!!










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姫甘草日記 白井なみ @swanboats

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ