お役立ち・校正以外の編集者用語
校正以外の役立つ編集者用語
1:ISBN
ISBNってのはInternational Standard Book Numberの略の事だ。1970年に制定されたが日本では意外なことに1973年頃までISBNが無い本も多い。よって終戦直後からあるわけじゃないんだ。要注意だ。
日本は必ず「4」になる。日本で出版された本は全文英語だろうが絶対に「4」だ。国番号という。英語圏からの出版物は必ず0か1になる。よく見てね。
978-4-(出版者番号)-(書籍タイトル)-チェックデジット だ。
これ知らないと間違いなくモグリ。つまり偽編集者です。特に4の部分の意味と自分が勤めている出版社の出版者番号。なお個人出版や同人出版もあるので「出版者」なんだ。この部分を「出版社番号」とか言ったらもうその時点で偽編集者だ。
2007年以前は10桁ISBNでかならず4から始まる番号だ。これも知らないとモグリだ。つまり編集者は納本する時は「978-4-(出版者番号)」までを暗記してないともう偽物確定だ。ぜひISBNのしくみを聞いてみよう。ボロが出るはずだ。なお979になることもある。要注意だ。978は「絶対」じゃないんだ。
次にISBNチェックデジットの求め方を教えよう。
1:左から奇数桁の数字を合計×1
2:左から偶数桁の数字を合計×3
3:1と2の和の下1桁の数字を10から引く
これで完了だ。この計算式を「モジュラス10ウェイト3」という。今はソフトウエアが勝手に計算するのかもしれないが「仕組み」は知ってないとヤバイことには変わらないですからね。
要注意なのは10になった数字は「Ⅹ」になる事だ。これ「エックス」じゃないんだ。ローマ数字の10なんだよ。ここで「エックス」とか言ったらモグリ編集者ですね。
これ知らないと「納本できない」って意味ですからね。ちなみに著者は知らないです。とはいえ奥付や裏面に記載してある番号を気にしないお前もたいがいだけどな。
雑誌はISSNだぞ。これも知らないと偽編集者だ。厳密には逐次刊行物だ。ISSNは絶対に4桁+4桁の8桁だ。ここでもチェックデジットで10になると「Ⅹ」だ。でも4桁の数字に意味は無く実は7桁+チェックデジットになっている。完結を予定しない本はISSNになるからな。これも重要です。そう、ISBNで取得した番号は絶対にいつか完結しますよって本なんだよ。雑誌だけがISSN対象じゃないんだ。ISSNチェックデジットの場合は重みを一つ一つ減らした数を掛けて最後に11で余りを求める。これで8番目の数字がチェックデジットになる。
チェックデジット計算式とは偽造防止のための番号なため非公表だがISBN・ISSNの場合は納本義務を履行するために計算式を公表されているんだ。ここも要注意だ。「チェックデジットなんて非公表に決まっている」という奴が居たらそいつは100%偽編集者です。チェックデジットの機能はもう一つあって誤入力を防止する機能もあるんだ。だからISBN・ISSNの場合はチェックデジット計算式を公開しているんだ。
図書館のOPACでISBN欄がちゃんとあるのは「9784(出版者番号)」か「9794(出版者番号)」と打つだけで出版社を絞り込めるからだ。本当はこの技を学校図書館で教えるべきなんだけど悲しいかな、日本の学校教育はアホなので本の探し方すら教えない。
さらに役立つことも教えよう。本も含め商品というものはJANコードもあるんだ。ゆえに本屋では2回バーコードを読み取る。日本で売る商品の場合は必ず先頭の筋が「45」か「49」だ。JANコードの場合は流通システム開発センターに番号登録を申請する。もう分かっただろ? どちらも日本国に与えられた番号は「4」だ。その次に企業名が入る。その次が商品名で最後がチェックデジットだ。JANコードのチェックデジットも「モジュラス10ウェイト3」で計算する。編集者ってここまで仕事しているわけだよ。ここが校正員との違いなんだよね。もうここでこの情報が役に立ったでしょ。君も明日から自作商品を売り込めるぞ。
ん!? 書籍の裏を見たら2段目のバーコードの下についている最初の数字は「4」じゃなくて「1」から始まってるぞと気が付いた方。鋭いですね。書籍だけ「書籍JANコード」と言って別物なんだよ。Cコードの番号使っているわけ。Cコードは次の項で教えよう。192から始まってる番号の後にCコードが使われる。またここでトラップが出来たね。JANコードには書籍用があるんだ。1997年から書籍には絶対に国番号「192」から始まっている。本の裏をよく見て!? これこそが編集者の仕事だしだから本ってどのジャンルが売れてるのかが分かるんだぞ?
つまり編集者は2種類の番号を作る人なんだね。
「何で図書・雑誌だけ2つも番号があるんだ?」と君は思わないか? 答えは「図書・雑誌というのは全世界共通で書誌コントロールする必要があるため」だ。だから2つ番号があるんだ。それだけ納本制度って制度は大事なんだ。図書は特に人類の遺産として後世にどんな本でも残す義務があるからだ。そこが書籍用JANコードとの決定的な違いだ。書籍用JANコードの目的は「何のジャンルの本が売れているか」の把握でしかない。しかもCコードには「ラノベ」というジャンル区分すら無い。したがって大事な番号は間違いなくISBN番号の方なんだよ。なお雑誌は1つしかバーコードがない。
2:Cコード
日本図書コードの事だ。ここでまた要注意な部分がある。図書館の分類と全く異なる点だ。これも知らないと編集者失格だ。なおラノベは絶対にC0から始まる。
C
0→一般書
0→単行本 1→文庫 2→新書(ノベルス含む)
93→小説
ということは「C0093」か「C0193」か「C0293」しかラノベの場合ありえない番号なんだ。
なお児童書の小説は
C
8→児童書
0→一般書
0→単行本 1→文庫
93→小説
だ。つまりC8から始まる番号はラノベ扱いじゃないから気を付けろ。ということで書籍用JANコードってこうなっています。
192-(Cを除いた日本図書コード)-税抜本体価格(5桁)-チェックデジット
だから本の
E表記は税抜きって意味だ。だからよー~~~く見てみよう。1989年以前にはE表記がないはずだ。もちろん消費税抜って意味だ。1989年以前には日本国に消費税という物は存在していなかった。もちろん書籍用JANコードでは「¥」や「E」表記を抜く。
さぁ君も作ってみよう。533円税抜きのラノベ文庫本の場合の書籍JANコードは「1920193005532」だ。気が付いた? もちろん書籍JANコードのチェックデジットも「モジュラス10ウェイト3」で計算する。書籍JANコードチェックデジットは一般JANコードチェックデジットやISBNチェックデジットと同じ計算方法なんだ。
本に書かれているものには全部意味があるんだ。いいか、君が仮にだぞ書籍化してこのことを知らなかったら恥だから多少は覚えような。裏面のデザインとの打ち合わせに関係するから。その時この知識を多少出せば編集者側も少しはまともな目で君を見てくれると思うよ。
3:日本十進分類法
ラノベは必ず913.6なんだ。「きゅうひゃくじゅうさんてんろく」じゃねえからな。読み方は「きゅういちさんてんろく」だからな。ここも要注意だぞ。ここでも「貴方は編集者ですか?」と見抜く基本のきだよ。
9→文学
91→日本文学
913→日本文学・小説
913.6→現代日本文学・小説
だ。ラノベは絶対に913.6なんだよ。ただし公共図書館によってはヤングアダルトコーナーを持っていて「Y」分類とする館もあるから「絶対じゃない」という部分にも要注意だし文庫本の場合は「B913.6」としたり単に「B」となってる公共図書館も多いからそこも要注意。やさしい出版社はちゃんと奥付に日本十進分類法を記載してくれる。
4:後付け
あとがき、索引、注釈、奥付の事を後付けという。
5:奥付に記載される事
基本書籍名、著者名、出版社名(個人で出版するわけないから出版者にならない)、印刷社名、ISBN、発行年月日、版数、刷数、税抜き定価、著作権表記だ。基本はこれだね。
6:刷と版
刷は同じ文章をいくら刷った回数の事だ。版はたとえ1文字でも変更すると版が第2版、第3版と版数が増えていく。
もう分かるよね。ダメラノベは「初版 第1刷」しかない。 これは君が大学受験をするときにも聞いたことがあるかもしれない。ダメな学習参考書は初版つまりなにも変更を加えてないまま世に消えていく本で「使えない」という意味だと。なお初版が貴重と言われるのは初版本には作家のサインが書かれている可能性があるからだ。
「初版 第1刷」で世から消えていくラノベ本。これがダメラノベの基本。
7:重版出来
お次はこちら。最近見ませんよね。この言葉。わざとルビを振っていません。「じゅうばんでき」とか言う人。これ高確率で偽編集者です。「じゅうはんしゅったい」だよ。ただし『少年ジャンプ』ではわざと初版の発行部数を上回って更に発行する場合は「じゅうはんでき」と言うらしい。要注意だ!
そしてこの言葉の本当の意味は初版本をわざと流通数を少なくすると著者と打ち合わせして無事第2版を流通させることが真の狙いだ。この意味を分かってない著者いますからね。「重版出来!」ってなって喜んでるラノベ作家を見てたぶん編集者は「バカだなあ」って心の中で高確率で思っているはずですよ。もっとも顔に出る編集者はプロ失格ですけどね。そうやって「この本は売れています」風に醸し出すわけ。そんなわけないから。
この方法、お客様にばれたので最近やりません。現に帯に『重版出来!』って最近書かれないでしょ? というか書店側からも「いい加減にしろ」って言われているのが現実です。そう、アリバイ作りでしかないんだよ。『重版出来!』とあるのは本当に売れてるもの以外基本地雷です。
というかお客様は「重版出来!」を「じゅうばんでき!」と言ってしまうほどこの言葉の本当の読み方を知りません。ということは出版業界の自己満足用語って事にもなるわけです。
なお大半の作家ですら「重版出来!」を「じゅうはんでき!」と読むぐらいですから完全に出版社用語つまり業界用語に落ちたということです。
とりあえず7項目作ってみました。全部トラップ用語ですし一般人が知っても損はしないトリビアですから覚えてくださいね。
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