第28話 地下水路
地面に設置されている、
「うおぇっ!!?」
そこでレオナルドは
(くっさ!ここくっさ!これ、めちゃくちゃきついぞ!?)
レオナルドの緊張感が一気に
何の気なしに鼻で呼吸してしまったレオナルドは想像以上の臭いにやられてしまったようだ。
何とか
思考が変な方向に進んでいく。
(マジかよ……。ゲームに臭いなんてないからわからなかったけど、よくシャルロッテ様はこんなところ来れたな!?)
王女であるシャルロッテがこんなところを歩き回っていたと思うとシュール過ぎる。ゲームで誰も臭いに
ゲームのシナリオにツッコミを入れても仕方がないが、他にもっといいクエストがあっただろうにと思ってしまう。臭いのことを
将来、ゲーム通りシャルロッテが主人公に依頼したら、自分は絶対参加しない、とレオナルドは
実際のところ、このクエストはゲームのシナリオ的にレオナルドと精霊の始まりという側面が強いのも事実のため、将来このクエストが現実のものとなるのか、今はまだ誰にもわからない。
(あ~、でもここって王族にとっては重要な場所だから解決しておきたかったのか?)
こんな真っ暗の中、
けれど今のレオナルドはそんなことにも気づかない。一度変な方向に進んでしまった思考はまだ戻らないようだ。
この地下水路、公には重要な施設ではないが、実はこの水路に
ゲームでは他国との戦争で攻め込まれた際、主人公達が王城から王都外へと脱出するために、その経路を使うことになるのだ。
(ま、今の俺には関係ないな!そんなことより集中、集中!)
ここまで思考が
それからレオナルドは購入したばかりの
レオナルドは、頭の中で隠し部屋の場所を思い出す。迷路のようになっている水路に
「ん?これは……?」
そんな中、レオナルドは
(確かゲームでレオナルドは違和感を
集中し始めたレオナルドは、重苦しい圧のようなものを感じ、ゲームでレオナルドが言ったセリフの意味が気になったのだ。
ただ、この劣悪な環境下で、迷路のようなところを記憶だけを頼りに歩いている緊張感を圧のように感じているだけ、と
(……今気にしてもしょうがないか。どのみち先へ進むしかないんだから)
レオナルドは首を振って
どれくらい歩いてきただろうか。
感覚的には半分くらい進んできたところで、レオナルドはピタっとその足を止めた。
(何だ!?)
松明の
(まさか、魔物が!?)
その結論に行きついたレオナルドの緊張感が一気に
「誰かいるのか!?」
レオナルドはいつ攻撃が来てもすぐに
「…………」
レオナルドはしばらく剣を構えた
そこでようやくレオナルドは構えを解いた。ふぅっと一つ深い息を
「見
レオナルドは実際に口に出しながら考えを
「……とりあえず、もっと
レオナルドは結論を保留し、剣を右手に持ったまま一層慎重に先へ進むことにした。万が一の可能性だが、すでに魔物が住み着いているとしたら危険度が
慎重すぎるくらいで
警戒するレオナルドに反し、それからの道のりは順調だった。しかし、隠し部屋まであと少しというところでそれは起こった。一度影のようなものを見て以降は何も起きなかったし、もうすぐ目的地ということで少し気が
レオナルドが何の気なしに角を曲がった瞬間――――、
「ギャッ!?」
「うわっ!?」
レオナルドより少し小さい背、腰には布を巻いていて、右手には
目を見開き、驚きの声を上げるレオナルド。心臓が
レオナルドは
しかし、相手の方が速かった。ゴブリンはレオナルドに攻撃を仕掛ける―――、なんてことはなく、なんと回れ右をして全力で
「なっ!?」
何が起こったのか一瞬理解が追いつかなかった。
その間に当のゴブリンは完全に見えなくなってしまった。
「……何だったんだ……今の……」
何とも言えない時間が流れる。そしてレオナルドは徐に剣の構えを
「まさか本当にもうゴブリンがいるなんて……。すぐに逃げ出すのはゲームと同じってことか……。だけど……」
エンカウントしても逃げられる、ゲームでは面倒としか思わなかったことだが、実際に体験すると全然違った。
魔物とは森で何度も戦っているが、人間を見て逃げ出す魔物なんて一度も遭遇したことはない。皆、闘争本能むき出しで、殺意高く
(今のゴブリンは異常だ……)
これがゲームの強制力で、ここにいる魔物は皆逃げるようになっているのか、それともここにいる魔物は何か
「そもそもこれから何年もゴブリンはこんなところに住み続けるのか?他のもっといい環境のところに行くでもなく?誰にも見つからずに?」
ゲームでは、シャルロッテの情報
「むしろなんで将来見つかるんだ?」
何年も潜むことができていたのに急に見つかるものだろうか?ただの偶然なのか?考えても答えは出ない。ゲームの展開を知っていてもわからないことだらけだ。かなりやり込んでいた
(……このまま放っておいて大丈夫か?それとも調べるか?)
現状王都に住む人々に被害は出ていない。出ていればとっくに国か冒険者ギルドが動いているはずだ。ゲーム通りなら今後も被害は出ないのだろう。それに、今のレオナルドにはやるべきことがあるし、一人で調査することも
(できることはない、か……)
レオナルドは自分の無力さを痛感した。
「……先を急ごう」
結局、レオナルドは今回のことを心に
それから気を引き締め直したレオナルドは、再びゴブリンと遭遇することもなく突き進み、周囲と何ら変わらないように見える壁の前で立ち止まった。
「ようやく着いた……」
ここがレオナルドの目的地、
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