第51話 回想イベント
レオナルド、セレナリーゼ、フェーリスの三人は、それぞれ大満足といった様子で買い物を終え、屋敷に戻った。
母妹と別れ、自室に向かう途中、レオナルドはフォルステッドの執務室から出てくるミレーネを見かけた。
「それでは失礼致します」
お
(まさか今日がその日だったのか!?)
当たってほしくはないが、その考えを否定できず、心がザワザワとして落ち着かなくなる。
『確かめてみるしかないでしょう』
そこにステラの声が
(……そうだよな)
声に
ミレーネも一つ大きく息を
「お帰りなさいませ、レオナルド様。お買い物はいかがでしたか?」
先に口を開いたのはミレーネで、レオナルドは
「あ、ああ。楽しかったよ」
「それは何よりでございます。それでは私は仕事中ですので申し訳ございませんがここで失礼致します」
「うん…って、あ、ちょ、ちょっと待った、ミレーネ」
流れに乗ってしまいそうだったレオナルドは
「はい?」
「……今さ、
レオナルドは一つ気持ちを
レオナルドの言葉にミレーネは息を
「……いえ、
レオナルドに余計な心配はかけたくなくて、ミレーネは否定しようとした。だが、何もない、と言えばよかっただけなのに
「大したことじゃない、ってことは何かあったんだよね?……もしかしてだけど、買い出しに行って何かあった?」
レオナルドは、なんでそんなピンポイントで訊いてくるのかと言われたら答えられないというのに、自分から
「っ……
だが、結果としてミレーネがそんな
「そんなことはいいんだ。それで何があったの?」
「……買い出しの途中で貴族の方と少し
「そっか。ミレーネは
「はい、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「うん、わかった。
「いえ、こちらこそご心配をおかけしてしまい申し訳ございません。それでは失礼致します」
ミレーネと別れたレオナルドは真剣な表情で自室に向かっていたが、
(間違いない。ミレーネの
心の中は
『落ち着いてください、レオ。ゲーム通りなら解決されるものなのでしょう?』
だが、そこで再びステラの落ち着いた声が響く。
(っ、……ああ、そうだな。その通りだ。ありがとう、ステラ。ちょっと焦り過ぎてたみたいだ。……前に話したけど、たぶん近いうちにこの件に第一王子が関わってくる。第一王子とミレーネが直接会う
『先ほどの確認でゲーム通りの流れが発生していることはわかりました。でも解決されるのならなぜそんなに焦っているのですか?』
(……たぶん
『ゲームの知識が信用できない、と?』
(わからない。ただ
『そうですか。私には……いえ、今は不確定なことを言うのはやめておきましょう。ではこれからどうしますか?』
(時間も金も足りてないから、とりあえず必要な金を一気に稼ぐ。……ワイバーンが居る場所に心当たりがあるんだ。ワイバーンなら一体で
自分の必要な金額と売値を考え、レオナルドはそう結論付けた。
『ワイバーンというのも魔物ですか?』
(ああ、竜だよ)
『竜?竜と魔物は別物ですよ?』
ステラから予想外の
(え?そうなの?)
『ええ。竜は私と同じように霊力の
(マジかよ……。………いや、でも違う。ワイバーンはやっぱ魔物だ。ちゃんと
レオナルドはゲームで買えた武器や防具、ワイバーンの設定などを思い出しながら語った。
『なるほど、竜になろうとした魔物、ということですか』
(ステラの知ってる本物の竜のことを考えればそうなんだろうな)
レオナルドの表情が少し
『ワイバーンのことはわかりました。
(そうだな。早い方がいい。明日にでも行こう。こういうときイベントの具体的な日時がわからないってのは本当
『そうですね』
(けど、ステラの言う竜ってのにはいずれ会ってみたいなぁ。なんだか
ゲームにステラが言うような竜は出てこなかった。だからレオナルドにとって竜は未知の存在なのだ。この世界でもどれだけの人が竜の存在を知っているか。
『……空を飛べるレオなら行けるでしょうし、居場所が変わっていなければいずれ案内しますよ。話は通じるはずですが、戦闘になる可能性が高いので、もっとレオが強くなってからですけどね』
(話は通じるのに戦闘になる可能性が高いのかよ……)
レオナルドは一気にげんなりしてしまう。
『竜は強き者が好きですからね』
(そうなんだ。ちょっと会いたい気持ちが減ったかも……。まあ、でもわかった。仮に竜に会いに行くとしても、もっともっと強くならなきゃだな。自分のためにもなることだし!)
『はい。その通りですね』
そうして、レオナルドはやるべきことが
―――――あとがき――――――
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