第12話 暗躍開始っ(※早乙女視点)
東雲撫子はあたしの大切な友人だ。あたしは親友だとも思っている。
あたしが一目ぼれして話しかけんだけど......あ、別にレズとかじゃないよ?普通に可愛くて気になっただけ。
で、関わっていくうちにどんどんいい子だって分かった。
あたしには友達は割といるほうだと思うけど、たまにめんどくさいなぁって思うこともある。
でも撫子の前だと素の自分でいられるの。あたしの全てを包み込んでくれる感じ。
ちょっとしたことでも心配してくれるしお世話も焼いてくれるし家事も完璧。まじ女神。
まぁちょっと天然なとこあるけど。そこも可愛い。嫁に欲しい。
そんな撫子だけど、今まで彼氏どころか好きな人すら出来たことがなかったらしい。
最初は信じられなかったけど、どうやら男の視線が少し怖いとのこと。
まぁ無理もないか。撫子は少し幼さを残した美人といった顔立ちだ。しかも普段はほとんど化粧をしていない。それであの綺麗さは反則だってば。
それに加えてあの胸。あれはもう暴力でしょ。あたしにも半分くらい分けろ。
そのせいで男どもの視線を集めてしまう。下心丸見えの視線ばかりだと怖がるのは仕方ない。一緒にいるあたしでもその視線に嫌悪感あるし。
だからあたしはなるべく大学では撫子と一緒に行動して男子どもをけん制してる。あたしがにらみつけると慌てて目を逸らしやがんの。笑える。
でもここ最近の撫子がやけに機嫌が良くて問い詰めたら、気になる人が出来たかもしれないって答えた。
ビックリしたよね。まさか撫子の口からそんな言葉が出るなんて。
隣の部屋に住むサラリーマン?年上かぁ。
で、初対面で食事を奢られて家に泊められた。それはいい。いや良くないけど。
撫子がそんな軽い子では無いのは分かってる。
でもあの日、あたしの車の中に家の鍵を落として、更にはスマホは家の中という状況では仕方ないだろう。だから5万歩譲ってそれは良しとしよう。
だけど、あたしが気になったのは、無防備に寝落ちした撫子に対して何もしなかったということだ。
あんな美人巨乳女子大生が無防備でいるのに何もしない男がいるなんて信じられない。
しかも翌朝には連絡先を聞くことも見返りを求めることも無く帰されたという。
そんなことある?大学の男どもが同じ状況なら身体中まさぐって写真を撮って脅すとかするかもしれない。あたしが男だったら理性を抑えられる自信ないもん。
あたしは化けの皮を剥がしてやろうと、撫子にお返しも兼ねて料理を振舞ったらどうかと提案した。
それから毎日振舞ってるとはさすがに思わなかったけど。
それでも料理自体は毎日すごくおいしそうに食べて絶賛してくれるけどそれだけ?
しかも食材手間光熱費分としてお金渡されて申し訳ないってなんじゃいそりゃ。いやたしかに撫子の料理はお金払ってでも食べたいくらいめちゃうまだけども!
そこはお金じゃなくて、お礼と言ってデートに連れて行ったりするとこでしょうが。
なに、草食超えて絶食系なわけ?
なんとも思ってない相手に毎日料理なんか作るかっつーの!あの撫子が頑張ってアプローチかけてんだからちっとは反応しろや。
こうなったらあたしが直接どんな奴なのか見てやろうじゃないか。
というわけでやってまいりました。in撫子家!相変わらず綺麗にしてんね~。
「なでしこ~。今日のお献立は~?」
キッチンに立つ撫子の背後からそーっと近寄って後ろからたわわな部分を揉む。
おー、相変わらずやわらかいのう。ぐひひ。
「もう!今からお料理すんだからふざけたら危ないでしょ!......今日はブリの照り焼きと煮物だよ」
おっと、怒られてしまった。反省はしている。だが後悔はしてない(キリッ。
「お~、和食いいね~」
「私もだけど、西成さんも和食好きみたいだから......」
「お?もう新婚さん気分ですか~?」
「もう!そんなんじゃないってば!揶揄うならあっち行ってて!」
仕方なく離れて1人寂しくスマホで時間を潰すことにする。
時間になり、撫子がメッセージを送るとするに例の人はやってきて撫子が迎え入れる。
だけど2人で玄関先で話していてなかなかこっちへ来ない。
「撫子~!イチャイチャしてないでさっさと連れてこ~い」
少し大きめの声で言うと顔を赤くした撫子が慌てて戻ってきた。
「友梨!変なこと言わないでよ!」
「だって全然こないんだも~ん。あたし早く食べた~い」
撫子の後ろからおずおずと男の人が付いてくる。
「ちゃーっす。あたし
「初めまして。西成優太です。よろしくお願いします」
「ははは、聞いてたとおりお堅い感じだね~。もっと気楽にすればいいのに」
見た目は悪くない。
撫子と同じく少し顔を赤くしているし絶食系ということもなさそう。ただの超紳士ってこと?
3人一緒に手を合わせてようやくご飯を食べ始める。
やっぱ撫子の料理やばいわぁ。もう蕩けちゃいそう。
西成さんもめっちゃいい顔で美味しそうに食べている。「うまっ」って声漏れ出てるし。
それを見つめる撫子もニコニコだ。何この空間。もう新婚夫婦じゃん。
「ふぅ。ごちそうさまでした。この照り焼きソースの絶妙な甘辛さは癖になりますね。いつもながら煮物は崩れてないのに味はしみ込んでるし最高でした」
うわ、べた褒めじゃん。わたしなんか美味しい美味しいくらいしか言わないよ?
食べ終わって、撫子と西成さんが2人で片付けているのを眺めていた。
もてあそんでいるようには見えないし、超鈍感なの?そんなの流行らないよ?
よし、決めた。なにがなんでも落としてやるぞ。
撫子も元々奥手だし、これじゃいつまでたっても進展なんかしない。
さて、まずはどんな手を打とうか......。覚悟しとけよ~、西成優太!
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