第7話 ミステリH ⑦

ミステリH ⑦

2024/5/31(金)


ナツコは名古屋駅に隣接している

ある百貨店を訪れていた


隣には弁護士のタケーがいた


ナツコの仕事はアパレルデザイナーだった

新作のデザインをした商品の販売状況の確認が目的であった


タケーは仕事には関係なく、友人としての同行だった


ナツコは主に男性用の洋服のデザインをしていた

夏に向けて新作を発売していた


向日葵のネクタイ


ひまわり柄のネクタイだった


ナツコのデザインは奇抜だった

35歳のナツコは9年前からデザイナーをしている

新人に近い頃にナロータイに蛍光色を施した商品を3塁打させたことがあるが、それ以来はヒットか凡退である

2割7分

本塁打はまだない、が

見逃し三振もまだない


空振り三振は多々あるが

やはりホームランを打ちたいから。

前向きな三振だった


ショップの店長に話を聞いた

セカンドゴロだった


この日は5月の最終日であり、

水無月には2打席目

文月には3打席目

葉月には四


あと3打席あるから

販売プロモーションなどをこさえて、出塁を狙う


ひとまず

父の日のディスプレイを店長とバッテリーした


タケーは7,000円は高いと思ったが

言わなかった


ふと、今抱えている案件の依頼人の顔がよぎった


タケーはノーネクタイだった


・・・


ハミルはチナナに夢中になった

マンバ、ククラと3人の女に絞ったはずだが

妄想を重ねることで、本心の答えを導いてきた


マグロ、サーモン、エビの三色丼は浮気心が過ぎる、のかな


お魚くん達が男子ならば

'おいおい誰が好きなんだよ'

"三股ですかね"

'"俺一番に食べられた、やっぱりこの俺マグロ様だ'"

'馬花、一番好きなのは最後に食されたエビのオイラだ'

"おいおい尻尾残されてんじゃねーかよ"



ハミルは好物のマグロとエビを自重し

大好物サーモン一色の一途を決めた

さーもんチナナにいつ想いを告げようか

少々犯人には残酷だが、チナナに舌を占拠されていた


ハミルは気づいていた

"好きです"のラブレターだ

これと3人の自筆、合わせて知合いの女などの文字も獲得できてしまえば、筆跡鑑定でも出して犯人の目星がつくのではないか


やめた

ネット検索で高額だったこと、と

何より

犯人がわかってしまえば、チナナへの想いが揺れる。

奇妙だ、恋文犯人を知りたくなかった


決戦はいつにしようか

チナナの誕生日はいつだったかな


DREAMS COME TRUEが脳内に巡った

三色だった


・・・


2024/5/29(水)


アロヤは震えた

(マンバの夢 ヤマンバの世界進出を叶えてやりたい)

タスイからのメッセージだった


「バブル!これ見てくれ」

「アロヤ、どうしたッチャ」

ルームメイトの2人だ



「マンバ、やりやがった!」

「山姥、世界進出?」

恋仲ではない男女、哀愛

アロヤ35歳

バブル50歳、宮崎の出身だ、都城だ


「叶えてやろう!」

「いいけど、どうすればいいっチャ?」

天真爛漫。とりわけ女性に使われることが多い四字だが、アロヤはその言葉が都合よく当てはまる無邪気さがあった。

「応援だ!」

「応援っちゃか?」 



「よし、マンバに会おう!」


・・・


2024/5/30(木)


マンバは兄ガルオに会っていた


「マンバ、許さんぞ!俺は反対だ!」

「お兄ちゃん、私世界に出てみたいの。

私に勇気と自信を与えてくれた山姥を世界のヤマンバにしたい」

「何を言ってるんだ、このメイクは俺たちに明るさを与えてくれたさ。それでいいじゃないか。それだけだ。わざわざ世界に恥を晒すな!」

「恥って、私はそんな風には考えない!山姥に感謝してるし、これが私の姿だし!」

「お前・・・世界っていうのは具体的になんだ」

「パリコレ」

「馬鹿野郎!!」


ガルオもマンバと同じく薄顔だった。

山姥に変身してから日に日に陽気になっていく妹に一種の憧れを抱き、ガルオもギャル男に色変した。

ガルオのオレンジ髪は自身に太陽を、少し与えてくれるだけで良かった。見せたくてその姿になっているわけではなかった。"生きるために必要な姿だった"


わざわざ

世界にその姿で挑もうとする妹が許せなかった


「いいでしょ!夢くらい見たって」

「お前、想像してみろ!」

「なによ!」

「パリに山姥が現れてみろ!」


エッフェル塔が傾くぞ



巴里に満花と日の丸さ

暑い夏になりそうだ


#ナツコ

#タケー

#ハミル

#アロヤ

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#マンバ

#ガルオ

#ミステリH

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