第6話 ミステリH ⑥
ミステリH⑥
二文字を足した
4+2=6
真新しいランドセル
マジックテープの靴
天高く突き上げた右手と横断歩道
"よくできたわね、算数"
'ママー'
"ヨンたすニはロク"
'ちがうよ、ママ'
'4足す2は'
'だいすきママ'
母は毛布となり
息子をくるんで
"ありがとう"
・・・・・・
ハミルは思い出していた
ランドセルの匂いと初心
黒は赤に四も六も伝えられなかった
2でよかったのに
・・
ママには素直な思いを伝えられたのに
ママどうして
・・・・
音
ハミルの恋は"伝えられず"で終わることが多かった
どんなに相手を愛しても、音にできなかった
響かせなかった恋は、嫌われて、嫌い返す、デコボコ恋の末、行き場を失い、置いてきた
・・・
チナナの音を奏でる
決意を新たにした
・・・
"好きです"の主の心境はいかほどか
想いを認めた恋文は、ハミルの眠れる感情を引き起こして
"だいすきです"を誘発した
ハミルの受は、明後日の方向へ走り出してしまった
名有りだったとしたら
・・・
5/29(水)
タスイはマンバと会っていた
役所勤務を終え、シュークリームを携えて18:30にマンバの家に来た
「おじゃまします」
「どうぞ」
ほぼ親友の二人
「ごめんな、急に」
「大丈夫、うれしいうれしい」
マンバはノーメイクだった
「すっぴんやな」
「今日ずっと家」
「うん、素顔もいいで」
「うん、知ってる」
いつもと返答が違い、キョトンとしたタスイ
「山姥、山を降りようかな」
「えっ」
「タスイみたいなナチュラルメイクにしてみようかな」
「ホンマに?」
「うん」
「なんで?」
「仕事、OLみたいな」
「そうなんや」
マンバはチラシのポスティングや内職でボールペンの組立てなどの仕事をしていたことがあったが、今はしていなかった
+-×÷☁️
特別な状況下の人間たち
ナツコ、マンバ、チナナ
ハシメが恋妄想した3女
タスイも含め4女
この4女は、ハミルENの女だった
そこはカネの繋がりを家族とするEN 縁円園苑だった
成人40人の合計月収を成人40人で均等に分割する
最近は
無職でも40万円の収入が約束されていた
役所勤めのタスイも無職のマンバも
月40万円の手取りがあった (仮想社会、税務関係等省略)
+-×÷
「私も貢献しないと」
「うん」
「みんなに頼ってばかりじゃ」
「まあな」
「妖怪じゃ難しいでしょ」
「普通の仕事は、どうやろ」
「私も31だし、そろそろ」
「うん、OLするんや?」
「そう」
「ホンマにいいんやな」
・・・
+-×÷
ハミルはタクシードライバーだが、ハミルENの傘には入っておらず一般の生活を送っていた。
ハミルENは結婚を認めていない。結婚を決めた場合はハミルENを退ENして、ごく全うな家族を築く。
金で家族を築くか、あの薄紫の書面で家族を築くか
もし、ハミルの恋が成就し、彼が婚姻を求めた場合は
①女はハミルENを出ていき結婚を選択する
②結婚できない旨を伝え交際のみを続ける
③結婚できない旨を伝え破局する
④内縁関係
+-×÷
タスイは厳しい表情でマンバを見つめた。
「ホンマって?」
「あの夢は、いいんやな」
「それは、私だって」
「立派な夢だと思うで」
「でも」
「年齢的にもラストチャンスやで」
「そうだけど」
素顔のマンバは弱い
「一度、みんなに相談したらどうやろ」
「えっ」
「マンバがその気なら、みんな応援すると思うけどな」
「そうかな」
「私、みんなに話してみるで」
「えっ」
見つめあう、女2人
頼りない承諾
「じゃあ、一応」
「あっそうそう、マンバ日記つけてたよな」
「うん」
「5月21日(火)何してた?」
「えっなんで」
「ちょっとな、嫌ならええけど」
「その日、ガルオの誕生日だからお祝いしてたよ」
「ガルオ?そうなんや」
「うん、お兄ちゃんだし」
「そうやな」
「うん」
「1日中?」
「ううん、昼過ぎからケーキ作ってガルオ兄さん家行って、お祝い、33歳、年子だし」
「そうか」
・・・
ハミルは母に電話をしていた
あの六文字を文字って
チナナに毛布を請う
・・・
タスイはハミルに
マンバの線は薄いことをメッセージし
直ぐ
アロヤにメッセージを送った
(マンバの夢 ヤマンバの世界進出を叶えてあげたい)
#ハミル
#タスイ
#マンバ
#ミステリH
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