第16話 修行に明け暮れる 1
三下が、左へ動きつつゴブリンの右腕を捉えようと手を伸ばす。
が
その手は、空を切る。
しまった!
疲労で遅くなっていることを考慮し、早目に動いたつもりが、焦って早すぎたのだ。
何とか腕を捕まえようと、手を伸ばすが、届かない
体が伸び切り、脇ががら空きに。
ゴブリンは、その伸びきった姿勢の三下の脇に向かって、腕を振り下ろす。
このっ!
見ることもなく、ゴブリンの行動を予想した三下は、転倒覚悟で身体を左へ倒しこんだ。
三下は、一層目のボスゴブリンを無傷で倒し、二回目の一層目ボスゴブリンに挑んでいた。
ボスゴブリンがリポップするまでの時間をどうするか考えたが、なるべく実際に近い方がいいだろう、と、二層目のボスの手前まで行って、戻るのを選択していた。
ゴブリンの爪は、三下の脇には当たらなかったものの、逃げきれていない腰をかすめる軌道。
だが、かすめるその時、ゴブリンの爪が、三下のベルトに引っかかる。
倒れこもうとしている三下と、ゴブリンの振り下ろした腕の勢いが釣り合い、お互いが停止する。そこへ、すぐさま三下を引き倒そうと、ゴブリンが力を込める。
三下は、ゴブリンの方へ引かれた瞬間に、逆らわず、そちらに身体を回転させ、右の裏拳でゴブリンの後頭部を狙う。
当たれ!
だが、近すぎたらしく、前腕の真ん中辺りがゴブリンの後頭部へ当たる。それでも、三下を引き倒す為に前のめりになっていたゴブリンは、バランスを崩して顔から倒れそうになり、手をつこうとする。
三下がしりもちをつき、同時に、ゴブリンが両手をつく。
腰の重みが消えたことで、爪の引っかかりがとれたことに気が付く三下。
すぐに、三下は、左に回転しながら立ち上がり、ゴブリンは、両腕で押し上げるように体を起こした。
「シャァァァ。」
ゴブリンは、間を置くことなく走り出す。
が。
立ち上がりと同時に右足を蹴り出していた三下の足が顔にきまり、後ずさり。
三下は、下がるゴブリンに合わせて下がり、構えなおした。
焦るな。
走りくるゴブリンに、三下は、今度は慎重にタイミングをあわせて逆関節をきめるが、やはり離れるのが遅く、袖口が破れ、手首に痛みが走る。
しかし、ゴブリンの後ろに回り込むようにして離れた為、体をひねりきれなかった攻撃は、先日よりかは弱く、姿勢から、すぐに走り出せなかったこともあり、追撃なく離れることには成功する。
やっぱり、離れるのが遅いぜ。
間に合わない追撃は何とかしたが、避けれない遅さが変わらないことに苛立ちながら、左も逆関節をきめ、離れないように拳で追い打ちをかける三下。
そして、とにかく、十は、余裕で超える拳があたったときに、ゴブリンは、消えていった。
ふらふら座り込み、荒い息をつきながら動かない三下。
遅いのと、殴る回数か、、、。
課題を思い浮かべながら、落ち着くのを待って、クリスタルを拾った三下の頭には、既にバールはなかった。
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