第29話 軍議

「海岸線が違うということは未知の島か大陸が見つかったと?」



参謀長がそうさっきの空軍の人に質問した。



「それはまだわかりません。しかし調査は必須でしょう」


「それはそうだな、ルミナ嬢、色々とリスト化できるか?」



参謀長がこっちに向かって話しかけてきた。この人は知ってる筈なんだけど?ああ、他の人たちにも知らせたいのかな?



「可能ですよ。チェス盤、オートでリスト化開始」



私がそう答えるとチェス盤が3方向にリストを表示した。しかしまぁ見づらかったのでチェス盤を4つほど机の端に起き同じものを小型で表示させた。



「ふむ、助かる。では・・・」



そんなこんなで30分ほど会議?軍議?が続き、やることと優先順位は大体決まった。

政府にも連絡を取り方針を送ったら5分で「とりあえずそれでいいから情報早く」と返答が来たのでさっさと動く。やりやすくていいね。


大雑把に言えば、


守護結界の修復と起動

日本近海の未知の領域の陸地に航空偵察後艦隊派遣して調査

既知の他国と通信できないか調査

日本軍の海外基地と通信できないか調査

日本の領海から排他的経済水域、その先の未知の領域の順番で航空偵察後調査

政府とその後の対応を協議

魔法やら異界やらそういうのは異界対策軍に全投げ

宇宙の衛生とかと通信できないか調査

宇宙空間の調査


これら全部同時進行するらしい。戦力足りるのかな?まぁやるって言ったんだし足りるんでしょ多分。

軍議が終わってさぁ仕事だと思っていたらドアがバタンと開き、人が入ってきたと思ったらとんでもない追加報告が来た。



「北北西でイギリス本土を発見しました!」


「イギリス!?」


「南で世界樹を発見しました!」


「なにぃ!?」



今本部に入ってきた男性によってイギリス本土発見の報告が大声で入り、その1秒後続けて入ってきた男性が世界樹の発見を報告した。

...世界樹???



「...チェス盤、情報きたら表示」



私が世界樹発見の報告で固まってる間にアリスがそうチェス盤に指示を出していた。

そしてその1秒後に赤色で世界樹が沖縄と小笠原諸島の中間に、イギリス本土は北海道の左上に大雑把な場所が円形で表示された。


それと同時に席を立って移動しようとした将校達がさっきの席に戻り軍議の続きが始まった。



「経緯は」



参謀長が短く聞くと、先ずイギリス発見の報告をしてきた軍人さんが答えた。



「はい、千歳基地から飛び立ち飛行していた戦闘機をイギリス本土のレーダーが捉えたようでして、パイロットによれば向こうから通信をしてきたそうで、所属を答えると向こうも困惑し上に判断を仰ぐと言っていたそうで、現在返答待ちです」


「そうか、こっちも政府に対応を聞いてくれ、それとその戦闘機は?」


「はい。戦闘機は既に千歳基地に帰還しており、近くにいた早期警戒機が通信が繋がったあたりで待機中です」


「わかった。佐藤空将、どうする?」


「はい、早期警戒機は燃料を気にしつつその場待機で戦闘機を3機つけておきましょう」


「よし、それでいこう。君、連絡入れておいてくれ」


「はい!」



いい返事をした軍人さんは直ぐに近くにあった電話を1つ借りて電話をかけ始めた。

そしてそれを確認してから世界樹発見の報告をした軍人さんが話しはじめた。



「はい、こちらは硫黄島基地から沖縄方面を飛行中パイロットが雲にも届きそうな大きな木を発見し接近したところテレパシーでこの木が世界樹であることと、日本との交渉を求めていることを伝えてきたそうです」


「ん???...その報告は確かか?」


「はい...」



参謀長含めみんなが困惑顔でどうしろってんだそれ....みたいな雰囲気になった。私含め。

ん???...あ!あの空白地帯ね!納得。



「統合参謀長官、疑問は多いですが交渉できる相手なら外務省の仕事でしょう。そちらに投げるのはどうでしょうか」



美空海将...海軍のお偉いさんがそう提案した。パッと名前覚えるの難しい。

たしかにそれがいいかもね、軍部は今大忙しでそっちまで割ける人手も少なくなるし外務省なら今はイギリスしか他国が見つかってないしそこそこ暇だろうからね。

あと魔法関連だろうし異界対策軍も出るかな?



「しかし護衛と送り迎えはせねばならぬだろう?どうする」


「では横浜軍港に停泊中のイージス艦を使いましょう。あれならヘリ運用も可能です。護衛は...適当に海軍から5人くらい出せばいいでしょう」


「あ、私行っていい?と、いうかどう考えても異界対策軍も関わる案件だろうし」



私の突然の発言に参謀長含め少しざわついた。落ち着いてるのは隣のアリスくらいだ。

まぁそりゃそうなるけども。



「途中までイージス艦で送ってくれればあとは私が連れて飛べばいいし帰りも同じ、だからあんまり艦は近づかなくて済むし、ついでにあっちの方の早期警戒網の再構築と点検したい」



これくらい理由があれば納得してくれないかなぁと思いながらみんなの特に参謀長の様子を見る。即否定しないあたり行けそうかな?



「参謀長、私は反対です。移動はヘリで十分でしょうし護衛の海軍も船員とは言え陸上戦の訓練もある程度は積んでいます。それから相手は交渉を求めてはいますが謎が多すぎる場所に貴重な上位戦力を送るのは危険です」



海軍の偉い人は反対らしい。まぁ確かにそう言えばそうなんだけど多分それじゃ足りなくなる。危険は少ないけど予定な手間が増えそうなのよね。



「参謀長!私も反対です。理由は大佐と同じく。さらに言えば本土防衛戦力が低下します。特に異界及びダンジョンに関しての。軍上層部と関わりのある上位戦力は少ないのですから」



陸軍の偉い人も反対らしい。

私達2人の戦力を思うと本土防衛戦力の低下はまぁごもっともではあるけどまだ他にもそこそこいるじゃん?だから少しの時間なら行けると思うんだけどなぁ...



◇◇◇◇◇


解説13

軍内部の通信は独自の通信回線を引いていたため転移しても無事です。

民間は...まぁ...はい。新しい通信規格が必要ですね。多分すぐできますが。


あ、あと今の政府はまだマシな政府です。めっちゃ良いわけじゃないけど終わってもいない感じです。対応しきれるのかな?...いや官僚達が頑張るか。多分。


それから最近聞いたんですがザイム真理教でしたっけ?日本の今の政治は財務省がめちゃくちゃ権力持ってるって感じらしいですけど、

この世界だと強いけどそこまでって感じですね、なんなら危ないことに軍部がそれなりに権力持ってるのでそっちのほうがヤバイかな?まぁ今の所軍部上層部はまともですよ。


追加情報。

緊急時(戦時や大災害時やその他国家存続に関わる事態)にはダンジョン協会は軍部の傘下に入ることになります。ようは参謀本部が国内のほぼ全ての暴力を握る形になります。

とんでもない暴力装置ですね。流石地球軍事力ランキング2位。

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