なことマコトのダメなコト
来栖みら
第1話 トウトツナコト
––––「マコトくん今日の放課後一緒に帰らない?」
それがたった今言われた言葉だった。脈絡の無い会話、それが話したこともない彼女から始まった。
名前は確か……そう、灘さん。
今年5年生になってからうちの学校に転校してきた転校生。成績優秀で、勉強も運動も出来て凄いなと思ってた子。
綺麗な黒髪に青い瞳が特徴的。いつもツインテールでオシャレ、それでいてクラスの中心人物。
そんな灘さんが何故か自分に話しかけてきた。それも急に。
友達かと言われたらそんなことはなく……。かと言ってクラスメイトだとしても話したことは一度も無い。
つまりクラスが一緒の同級生というだけの関係。
そもそも畑が全く違う。僕、
いつも輝いてて、誰かと一緒に居て、誰にでも好かれてて、必要とされてる。
そんな人気者が灘さんだ。
僕とは真反対の存在で、勾玉の黒と白で、陰と陽。そんな風に分けられる存在。
同じなのは黒髪なことと年齢とクラスぐらい……。
なのに、そんな話しかけたことも話したこともない彼女から急に話かけられた。
本を読んでるお昼休みに。
小学5年生にもなって未だに誰とも話せなくて、いつも教室で一人な僕に。
そんな事実に驚いて、脈絡の無いクラスメイトからのコンタクトに戸惑いフリーズしていると、彼女が急かすような形でまた話しかけてきた。
「おーーい。マコトくん? 聞こえてる??」
自分が聞こえてないと思って再度話しかけてくる彼女は、呆れたような表情と不安そうな表情を織り交ぜたような顔をしている。
その綺麗な青い瞳を見開いて、首を傾げるような動作でどうして反応しないんだろうという態度を取って、こちらの様子を伺ってくる。
そんな姿を見て、流石に自分も冷静になってきたのでとりあえず返事を返してみる。
「き、聞こえてるよ......。うん。それで、灘さんどうしたの?」
「もぅ、聞いてなかったの? じゃあもう一回聞くね? ––––
––––今日の放課後一緒に帰らない??」
少しムスッとした表情をした後、灘さんはまた先ほどと同じことを聞いてきた。
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