第2話碁石の゙重み

今日から、囲碁クラブに通うことにした。

趣味の囲碁が500円のコーヒー代だけで、何時間も打てる。

初めは、見学していたが、よぼよぼの90歳近くのおじいちゃんが、打ちませんか?と言うので平手で打った。

僕は黒番。

碁石が人差し指と中指から滑る滑る。

囲碁を対人と打つのは、10数年ぶり。

おじいちゃんは、嫌らしく打ち込んでくる。

僕は、殺し屋なので、おじいちゃんの大石を殺そうと打った。

しかし、シチョウが絡みおじいちゃんの大石は、生きてしまった。

キズの多い僕の石は、たちまち崩壊。

やむなく、投了した。

おじいちゃんは、嬉しそうに、

「君は、元々初段だから慣れて行けば感覚を取り戻すから」

と、言って4局も打った。

3局投げた。

4局目は、4子置いてハンデをもらい打つ。

4子置くのは70目くらい有利なのだ。

これは、もらったと打っていると、勝っているのに、簡単な打って返しにあい、僕の大石は死んだ。

それでも、勉強だから作り碁をして整地すると、30目も負けていた。


「君の筋は良い。1年間打てば5目は強くなれる。本で反復学習しなさい」

と、言われて、

「明日、本買って勉強します」

と、言って20時に囲碁クラブを後にした。

思ったより、弱くなっている。打ち込みに対処出来ない。

明日から勉強して、おじいちゃん、おばあちゃんに勝ちたい。

その後、21時まで蛸ん壺でビールを飲んでいたが、この店と正反対側にある囲碁クラブの人々が見える。

まだ、帰らないのは恐らくは、この囲碁クラブがお年寄りの居場所なんだなと思った。

僕に勝ったおじいちゃんは、嬉しそうに囲碁を教えてくれた。

負けたけど、楽しかった。

弱いクセに相手の石を殺そうとするのは辞めよう。

あと、手拍子で打ってしまう。これも、改善の余地がある。

布石の段階で負けているので、定石や、流れを思い出すのには時間が掛かるだろう。

3回投了して、4局目は30目差。

年齢に関係ないゲームは大好き。

喫茶店のママがいて、500円のコーヒーを飲んだが、ホントはビールが飲みたいんだよね。

来週は、取り敢えず1勝を目指したい。

酸素マスクしながら、打ってるおじいちゃんもいた。

独居老人なのだろうか?

今日は、久々の碁石の重みに懐かしさが湧いた。

先ずは、序盤、中盤の打ち方を勉強し直そう。

趙治勲や、マイケル・レドモンドの本を読んでいた学生時代を思い出した。

囲碁って、ホントに楽しい。

来週も、行こう。

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