エピソード10:解き放たれた財宝
【襲撃】
部屋は薄暗く、壁にはルネサンス期の宗教画や意味不明の文字が刻まれており、時間が止まったかのような静寂が漂う。
「宝の入った壺だ!」
「早く開けようぜ!」
「ちょっと怖いな...」
しかし、その喜びも束の間、突如として部屋の扉が勢いよく開かれた。
タイプとその手下たちが、冷たい笑みを浮かべながら入って来た。
「おーっと、残念だったな。
その壺はいただこうか!」
タイプは冷酷に命じる。
「渡さないよ!」
緊張感が部屋に充満し、一触即発の雰囲気になった。
タイプの手下たちが先に動き、
その間、彼の仲間たちも敵を撃退しようと奮闘する。
しかし、悪党たちの襲撃に対し、激しく抵抗する
「マジかよ!せっかく見つけたのにさ...」
彼は厚く積もった埃を払うと、木箱の隙間から光彩が漏れてきた。そして板を開けると、中からは見事な色彩の壺が現れ、彼の顔が驚きで明るく輝く。
「おい、待ってよ。これすごい壺だぞ!」
「あの『華南三彩貼花唐草文五耳壷』(かなんさんさいちょうかからくさもんごじつぼ)ってやつだろ!」
壺は鮮やかな色彩で、花や葉が見事に描かれており、その美しさに二人はしばし言葉を失う。
その後、二人の表情が徐々にニヤリと変わる。
「あいつら、普通の壺を奪って来たと思ってるんじゃないかな。
後悔してるはずだよ、今頃」
「まじで?ラッキーじゃん!」
喜びを爆発さる。
彼は壺を軽く抱え、
「でも、次に会った時の顔、見てみたいよな!」
【ジレンマ】
コレジオ遺跡で壺を手に入れた
そして
「もし、中に本当に金や銀の財宝があったらどうしよう?
俺たちが持ってても...すごいことになるな...」
「ヤバいぞ!金持ちになっちまうぞ!
どう使う?何に使う?億万長者の俺たち!」
「
手に入れても、どう使うかは後から考えるべきだろう」
と、
「そうだよね、リスクとリターンっていつもセットだもんね。
ちょっとおばあちゃんに相談してみない?」
彼らは洞窟に行き、
「隠された財宝かもしれんが、今開けると、歴史が狂ってしまう、開けてはならぬ。
また、意図があって隠したんじゃろ。
ましてや、お前たちが巨万の富など持っても、ろくな事はないはずじゃ」
そして、過去の歴史を改変することによって生じる逆説の危険を教えたのだ。
「お前たちの時代で開けろ。必ずじゃ」
【最終対決】
「叙事詩:大天使ジュエルが加勢し、神の民の勝利の章」
(ヨハネの黙示録12・7~12
天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、龍に戦いを挑んだのである。龍とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。
この巨大な龍、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。=後略=)
そして彼の声が響き渡る。
「くそっ!よくも俺たちに偽物の壷を渡しやがったな!
そこにある宝の入った壷を渡せ!さもなくば・・・」
「は?そっちが勝手に盗んだくせに、何言ってんの?」
「つべこべ言わずに宝を渡せ!
おう、久しぶりじゃないか裏切り者のデラ。
随分と仲良さそうじゃないか。
そんなお前には冥土の土産に良いことを教えてやろう。
お前の家に放火したのはこの俺だ!」
「い、今、何て言った?!」
「俺が放火したと言ってんだ!」
「何だと!!」
デラは耳を疑った。
「お前は俺に魂を売らなかった。
だからお前から守るべきものを奪い、闇に落としてやった。
心置きなく俺に忠誠心を捧げるようにな」
デラはあまりの衝撃に声も出せず、膝から崩れ落ちた。
タイプは不遜な笑いを浮かべて「ふふふ」と笑っている。
「俺を裏切ったバチが当たったな。
裏切らなければ、知らずに済んだのに」
「お、お前がやったのか...。
貴様ってやつは、どこまで畜生なんだ...」
その瞬間、デラからあふれんばかりの涙が込み上げてきた。
「そ、そんなことが...。
何て奴だよ!許せない!」
「デラ...」
「デラから大切なものを奪ったお前を絶対に許さない!今ここで決着をつけてやる!」
タイプはさらに嘲笑し、構えを取る。
「やってみろ、きさまらもデラのガキと同じ墓に葬ってやる」
激しい感情がぶつかり合う中、
「俺たちも一緒だ、デラ!」
「そうだよ、デラ!私たちがついてる!」
その場の緊張感は頂点に達し、戦いの火蓋が切って落とされた。
「ざめくな!え〜い、最終戦争だ!」
(呪文)
「邪悪の守護者、現れ
タイプの使う
その言葉と共に、空から轟音が響き渡り、一つの巨大な影が現れる。
空が赤く染まり、7つの恐ろしい頭を持つ巨大な赤龍(悪魔)が地上に降り立つ。
その姿は壮絶で、各頭からは火炎と噴煙が噴き出し、その怒りが天地を揺るがし、
天から火球が次々に降り注ぐ。
周囲の人々はこの突然の天変地異に恐怖し、逃げ惑う。
地域一帯はまさに混乱の極みに達した。
しかし、
(呪文)
「邪念を去り、悪想を払い、凝固を解け!
生死を離れて、永遠の生命に
来たれよ!大天使ジュエル様!」
彼の声が響くと、天から光が降り注ぎ、大天使ジュエルと無数の天使たちが現れた。
今富村の山頂の
彼らは美しく、しかし戦う準備が整った勇ましい姿で現れ出でて、
ジュエルはその光り輝く槍を持ち、赤龍の中央の頭目に向かって一直線に飛んだ。
空中での戦いは激しく、ジュエルの槍が赤龍の頭を突き刺す。
一方、他の天使たちは弓矢や剣で赤龍の他の頭を攻撃し、熾烈な戦闘が展開された。
地上では、
彼らは各自の力を最大限に発揮し、魔法や武器を駆使して敵に立ち向かった。
戦いの最中、地上では地面が割れ、重力が逆転するかのように岩や小石が宙に舞い上がる。
さらに、天からは無数の火球が降り注ぎ、赤龍を焼き尽くすように襲い掛かった。
最終的に、大天使ジュエルと天使たちの助けを借りて、
戦いが終わると、天は再び静けさを取り戻し、地上の傷も癒え始める。
「マジで地球の終わりかと思った」
「めっちゃ怖くてもう無理かと思った」
そして彼らは壺を守り抜いたことに満足し、未来への希望を新たにする。
その光景は、英雄的で、感動的なものであり、
【結束と成長】
戦いの後、勝利と平和が訪れた。
静けさが戻ったコレジオ遺跡で、
また、その場にはトレジャーハンターから転向したデラの姿もあった。
彼は
「タイプをやつけて、やっと俺の気持ちも晴れたよ。
放火した犯人も分かったし、亡くなった息子へ報告ができる...」
デラは嗚咽を堪えきれずに泣いていた。
そして、彼らの表情には疲れと同時に、大きな安堵感が広がっていた。彼らは一人ひとりが自分の思いを語り始め、共に困難を乗り越えたことで絆がさらに深まる。
「もうだめかと思ったよ。
本当にみんな、ありがとう。一緒に戦ってくれて...」
彼らもまた、感謝の気持ちを述べ、お互いを認め合う言葉を交わす。
この経験が彼らをただの友達から、まるで家族のような存在へと変えたのだった。
「みんなでセルフィーしようよ!」
「いいね!勝利の記念に」
「この瞬間を、記憶を忘れないように!」
「オッケー!」と言って、
その後、
そして優しい微笑みで迎え、一人ひとりを抱きしめた。
「おまえたちが無事で本当に良かった」
目に涙を浮かべながら言う。
「おまえたちはこれからも多くの困難に直面するかもしれないけれど、今のおまえたちならきっと乗り越えられる」
と、語りかける。
彼女の言葉には深い信頼と愛情が込められており、
「おばあちゃん、俺はおばあちゃんから学んだことを忘れないよ。
これからも、仲間と一緒に財宝を守って、正しいことに使うからね」
と、
「わしの時間はもう長くないけれど、おまえたちの未来は明るい。
わしは心からおまえたたちを信じている」
洞窟で
彼らの背中には夕日が優しく降り注ぎ、現代に帰還する新たな旅立ちを暗示していた。
「さあ、行こう。これからも、一緒に!」
彼らはそれぞれの成長を感じながら、未来に向かって歩き出した。
この瞬間、
(次回予告)
コレジオの遺跡と、金銀財宝を発見した
「宝を開けてみよう!」
「オーケー、行くよー!」
(続く)
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