第27話 小説を書く 実践編

これまで色々書いて来ましたが、ここからはより実践的な事を書いて行きます。


今回は私の未公開作品の中から、それを実践します。


この作品は現代ファンタジーの作品です。


1 主人公は男

2 前世は魔法世界の賢者

3 現代には使われていないが魔素は存在する

4 魔素が使われないからどんどん濃くなって何れ魔物が出現する

5 それをどう防ぐか? もし間に合わなかったらどうするか?


最初に決めたのはこんな感じです。


次に第一話のタイトル


「知らない天井だ」


そして第一話が


 僕は元賢者の田中実みのるといいます。年齢は多分0歳?


 ここが何処だか解りませんが、物凄くふかふかのベットに寝ています。ただ体中に沢山の紐のようなものが付いています。これは一体なんでしょう? 僕が目覚めたのは、凄く息苦しと思ったら、思いっきりお尻を叩かれた。その時?


 いや、これ逆かな? この時の記憶はもやもやしていてはっきりしません。兎に角、僕が僕だと認識したのがその時です。


 それから何日経ったのでしょう? 少し起きてると思ったらまた寝ていますから、日にちの感覚がありません。


 はじめは目も見えませんでしたが、暫くして見えるように成った時、初めて目に入ったのが知らない天井でした。物凄く明るい天井でビックリしました。あんな明るい魔道具見たことがないです。


 今はこうして冷静ですが、始めは何が何だか解らず混乱していました。だって僕には賢者として生きた記憶があるんです。そして死んだという記憶も……。


 少し落ち着いてからは兎に角、状況を把握することから始めました。そして、一番に確信が持てたのが、田中実という名前です。


 僕は初めから周りで話してる人の言葉が理解出来ましたし、文字も読めたんです。普通赤ちゃんは成長と共に言葉を理解し、文字も学ぶものです。それが生まれて直ぐに理解出来るって異常ですよね。


 田中実が僕の名前だというのはベットの所に書いてあるのと、綺麗な白い服を着た女性がいつも「みのるちゃん」と呼ぶから間違いないと思います。


 それに毎日のように来てくれる男女もそう呼んでくれています。


 恐らくですが、この二人が僕の両親ですね。僕は体中に紐のようなものが付いているので、抱いて貰ったことはありませんが、いつも手に触ったり、頬を撫でてくれます。


 そしていつも悲しそうにしています。何故なんでしょう?


 それから数日後、両親が悲しい顔をしてる理由が解りました。それは、僕は生まれて直ぐに心臓に欠陥がある事が解って、そう長く生きられないと言う事でした。


 死んで生まれ変わったのに、もう死ぬのか? そんなの嫌だ。その日から僕の生きる為の足掻あがきが始まりました。だって僕は元賢者ですよ。僕にやって出来ない事は無い!


 生まれてからずっと、この世界をベットの上からという狭い範囲でですが、観察してきた僕の考察では、この世界に魔法は存在しないし、魔道具も無いという事でした。


 でも僕には解るんです。魔力はあると……。



 結論としては魔力があるのに魔法の無い世界ということですね。それなら僕にも希望はあります。だって僕には魔法の知識がありますから、魔法さえ使えれば僕の病気も治せます。


 しかし、そう簡単ではなかったのです。この世界の人間には魔力がないんです。


 そう僕の身体にも当然魔力がありません。ではどうするか? 魔力がないなら外部から取り込めばいいのです。この世界には物凄く濃密な魔力が存在しますからね。


 これは僕が魔法のある世界で生きた経験があるから解る事なのか、また別の理由があるのか解りませんが……。


 それからの僕の日課は魔力を取り込むように精神を集中させて、前世で魔力を感じる丹田辺りに意識を集中していたら、数日後、そこより少し外れたところに違和感があるのに気づきました。


 この世界の人間にも魔力を貯めるものがある事は確かなようです。作り出す事が出来るかはまだ不明ですが。


 それから約1月が経った時には、僕は魔力を全身に巡らせることまで出来るようになっていました。次はこの魔力を魔法として発動させる行為です。これは元賢者ですからそんなに時間は掛かりません。


 前世では呪文で魔法を発動するのが基本でしたが、賢者ともなるとイメージだけでも発動できました。それを無詠唱といいます。


 発動できるように成ったら、今は兎に角、心臓の病気を治すのが先決です。前世の僕ならこんな未知の世界で魔法を一から研究出来るなんて分かったら、それに没頭していたでしょうが、今はそんな事より生きることが最優先です。


 僕の心臓は先天性の疾患で欠落してる物があるのと、もう一つは正常に働いていない物の二つが同時にあるそうです。だからどうする事も出来ないらしい。


 これが片方だけならまだ望みはあったみたいですが……。


 それはいいとして、僕は元賢者ですから、当然回復系の魔法も使えます。だから僕の病気は治せる。ここだけは運が本当に良かったんです。僕の病気が欠落と機能不全ですから回復魔法で治せるからです。


 これが体に害をなす別の物が原因だったら、欠落は治せても機能不全は無理だったでしょう。


 欠落は言い変えれば生まれる時にただ作り損ねただけですから、これを正常に戻すだけです。これは回復魔法で出来ます。以前の僕だったらこんな病気、一度の魔法で完治出来たでしょうが、今はまだ赤ん坊で、使える魔力もそう多くありませんから、回数でカバーするしかありませんでした。


 それでもそこからはみるみる病状は良くなって行き、病院中で奇跡が起きたと話題に成る程でした。


 そしてそれを一番喜んでくれたのが両親です。


 僕の身体にはもう紐は付いていません。そして今は母親の腕の中にいます。生まれて初めての母のぬくもりです。


 母と父は笑っているのか泣いているのか分からない表情で僕を抱きしめながら、


「神様、私たちの実を助けて下さり感謝します。本当にありがとうございます」


 僕も第二の人生を与えてくれた神様には感謝しているが、出来ればもっと楽な生まれ方にして欲しかったな。


 元賢者が魔力があっても魔法の無い世界でこれからどんな人生を歩むのか?


 まぁ普通には生きれないよね。波乱万丈は確定の人生ですが、僕は頑張ってこの世界を楽しみます。


 目標、今度こそ結婚して〇〇は捨てるぞ!   〇〇は聞くな!



**************************************

こんな感じで一話を書きましたが、一話で特に重視したのが生まれ方です。健康な状態で生まれても良いのですが、ここで個性を出そうと、病気の状態で生まれる。そしてそれを前世賢者が魔法で治すでした。


そしてその中でこの世界に魔力=魔素が存在するという事を書きました。まして濃密であるという事も。ここまでで、最初に決めた、1~3までは書いています。そして4の伏線も書かれています。




では第二話はどう書くか? それは次回……。


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