第76話 サポーターとプロディガル
村神
「今の神通力はもしかしてテレポーテーションと違う? こんな事が出来るのは神様しかおらんでありんす。もはやマザーは、神の領域の人でありんす。」
「ありがたや~、ありがたや~・・・。」
講師
「今の操作は、神がやった事でもマザーの能力でもありません。人類が開発した科学の力です。」
「大気圏上にある人工衛星(Co8739te)の中に、意図的に物体をテレポートさせる事の出来る衛星が有ります。その衛星とマザーが使っているコンピューター(キャプテン・モニター)がリンクしており、これを使ってプロディガルをテレポートさせているのです。」
「この衛星を使用できる人は極、限られている方となりマザーはその内の一人なのです。」
利乃
「マザーは凄い人って事だな。」
「勉さん、うち等も勉強した後にこの衛星を使うのでしょう? ここにいる全員が使える許可なんてもらえるの?」
講師
「そこです。この衛星を使える人はS・F・Cの中でもマザーと古化社長と何を隠そう私だけとなります。」
全員
「マジっすかー? 勉さんも凄ぇー!」
講師
「ここにいる全員が衛星を使用出来る様に申請をするには、あなた方がプロディガルを確実にサポート出来る『カーム・サポーター』になることが、何よりの条件です。」
「是非皆さんが古化社長とマザーから『お墨付き』を頂ける様に気を引き締めて頑張って頂きたいのです。」
「お墨付きを頂いた方は、申請をした後に国(NASU)から使用許可の開放措置が行われます。」
キャプテン・モニター上での緊急的なマークは無くなった。火ロシが要請場所に送られ、直ぐに怪物を撃退する事が出来たからだ。
マザー
「終わったか? 買い物途中に呼び出してしまって悪かったのー。怪物の死体は回収班に頼んでおくから安心せい。戻ったら奥さんとゆっくり食事をしてくれ。今回の活躍は古化に良く言っとくでな。」
火ロシ
「マザー、ありがとうございます。またいつでも呼んで下さい。風人さんも気を付けて。」
マザー
「風人よ、お前さんも怪我は無いか? 早い対応が出来て良かったわい。」
風人
「はい問題無いっす。マザーのお陰で助かりましたよ。全くのスキル違いだったので、俺一人ではどうにもやり様が無かったっすから。ありがとうございました。」
「では、失礼します。火ロシさんもありがとう。」
マザーは火ロシを丸で囲み、元居た買い物をしていた奥様の元へ机上をタップして送ったのだ。
マザー
「受講者達よ。お前等少しだが俺の仕事を見ていて何となくやり方が解かったか?」
天空
「私はもうコツを掴んだかもな。こんな感じであれば何回かやってればマスター出来そうだぜ。」
「あたいの天才ぶりを見せてやんよ。 フフフフフフ・・・。」
講師
「その意気込みが重要です。是非早く覚えて活躍が出来る様に精進してください。」
「あなた方は、マザーがやっていた仕事とプロディガルのメンタルケアを2~3戦分同時に行う事になると思いますが、一つ一つ整理しながら進めて行けば大丈夫です。」
天空
「えっ、2~3戦を同時に? しかも、メンタルケアまで? それは中々無理でしょう。」
講師
「ですね。最初は無理かもしれませんが、慣れて行く内に自然と出来る様になると思います。」
「マザーはあの作業を少ない時で5戦、多い時で約20戦近くを一人で同時に行っていますから。」
全員: 空いた口が塞がらないとはこういう事である。
講師
「マザーありがとうございました。受講者達には良い刺激になったと思います。」
「必ずや、私が鍛え上げ立派な『カーム・サポーター』になれる様に育てたいと思います。お一人で大変だとは思いますが、今しばらくお待ちください。」
マザー
「期待しておるで、早めに頼むぞ。俺にはあまり時間が無いからよ。」
講師
「皆さん、マザーにお礼を言って失礼しますよ。」
全員
「ありがとうございました。」
— マザーの年齢 —
風海
「それにしても、あのお方(マザー)の年齢はいくつなのじゃ? 顔を見ても良く分らんし、手の甲に年齢が出やすいとも言うのじゃがワラワが見た限りでは、とうに100歳は超えている様にしか思えんのじゃが・・・。」
「しかし、彼女が『何歳』でもよい。やっている事は『天才』じゃからな。あの程度の仕事なら、お茶の子『さいさい』じゃろ。」
「つまらん洒落を言ってしもうたぞ。白菜、山菜、ごめんなさい。クククククク・・・。」
小守
「イチイチくだらないおやじギャグ入れて来るなー!聞かされてるこっちが大変じゃー!」
土崎
「俺の予想では77歳(喜寿)だと思うよ。風海さんの予測とはかなり離れているけど、薬のせいで歳の取り方に影響があるのかもね。」
講師
「マザーの年齢が知りたいのですか? 知った所であなた方がただ驚くだけですが、お教えしましょうか?」
風海
「言っても構わぬのなら、教えてくれてもよいぞ。」
講師
「では、その前に。私はいくつ位に見えますか? 私も女ですからお肌のお手入れとかは、それなりにやっているつもりですが、自分でも周りから見ていくつ位に見えているのか気になる所ですね。」
風海「48歳じゃろ。」 土崎「45歳かな。」 夜見「40歳くらいですわ。」
利乃「50くらいかな。」 城「49歳だと思ぜい。」 小守「42歳ではないですかー。」
講師
「私の年齢は47歳です。あなた方の予想は大体合っていますね。そして、気になるマザーの年齢は・・・私よりも一回りも年下の39歳です。」
全員
「ええええええええー!嘘でしょう? どう見ても3桁は行ってる様にしか思えませんけどー!年の取り方がおかしく無いですか?」
講師
「先ほどもご説明しましたが、マザーがあの様なお姿になられたのは『リセ』の副作用によるものです。」
「マザーに投与したリセは未完成状態の物を使用しました。その副作用が原因とされています。ですが、使用しなければマザーはこの世にはいなかったでしょうけど・・・。」
「でも、あのようなお姿になり毎日お一人で激務をこなし、ご自分の好きなこともせず、ただS・F・Cの為に生きているお姿を日々見ていて『本当に生きていて良かったのか』と、私には思えてなりません。」
「マザーの年の進み方は普通の人の4倍の速さです。あの交通事故から既に10年が経っています。事故当時の年齢は三十路手前の29歳でしたので、現在は39歳になられています。しかし、4倍で年齢が進んでいるので29歳にプラス40歳を足して69歳ほどに体の老化現象が起こっている事になります。」
「ですから、一日でも早くこの激務から解放させてあげたいのです。皆さんが独り立ちをして2~3戦の対応が出来る様になれば、マザーの手を借りなくても済む事になります。その為にも、どうか気を引き締めて任務に向かい早く覚えて頂きたいのです。」
全員
「・・・・・・・・・。」
あまりにも衝撃的なマザーの過去を聞かされた受講者達は、自分の置かれている状況と、マザーの置かれている状況の差にとんでもない程の開きを感じたのだった。自分達もとりあえず覚悟を決めS・F・Cに来たつもりだが「動機が落胆過ぎる。」と感じ、このままではマザーに顔向け出来たものでは無いと、全員が思った瞬間であったのだ。
古化
「ゴホン。たまたま通り掛かったのですが、話を聞かせて頂きましたよ。」
「勉さん、ちょっと違うところがあったのでご説明したいのですがよろしいですか?」
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