第7話 ロキの後悔。割れた皿は戻らない。
ボクの名前はロキ。生意気なリアーネに言われて、砦のある港町ボークリュールに来ている。と、言っても無断で屋敷の屋上からマネとリラの二人を見張っている。その二人の後ろにフードを深く被った怪しい奴がずっと張り付いている。マネとリラは鈍いのか、気にしている雰囲気すらない。今も露店の宝石店で、物色しているぐらいだからな。
おっ、何か買ったな。アレは首飾りか。ふぅー。やっと帰り道に向かったか。フードの怪しい奴も動き出したな。なるほど、ずっと見ているわけじゃなく、定期的に見て、怪しまれないように見張っていたのか。まあ、なかなかやるじゃないか。ボクの部下も。
ボークリュールを出て、森の街道へ入って行く。仕掛けるならそろそろか。フードの怪しい奴の動きが早くなった。二人を追い越して正面から襲うつもりだな。まあ、修道女たった二人だもんな。それで十分だ。ボクに気づいていないのは、なんとも言えないけど。
「荷物を置いて行け。それとも命を取られたいか」と、フードの怪しい奴はただ脅している。おいおい、フード被ったままじゃダメだろ。ちゃんとフードを外して・・・。茶色の髪がマネだったか。何だ荷物を置いて、剣の構え???いや、剣なんて持ってないはず。白く輝く剣。女神の奴と同じ剣じゃねぇか。おいおい、冗談だろ。アイツら強かったのか。金髪の髪、リラも剣の構え。どうなってんだ?
「ふん。光る剣か。」と、フードを始めて外す。一本角の
「き、貴様」と、マネに言われる。「ま、魔王様」と、鬼人に言われる。こいつの名前・・・・・・わるいな。覚えてない。
「いいから止まれーーー」と、ボクは叫ぶ。
マネとリラはバックステップで距離を取る。鬼人はそのまま動かない。いや、動けよ。ボクは頭を掻きながら「あーリアーネに頼まれてやって来た。ボクはマネとリラの護衛だ・・・鬼人、悪いけど一緒に護衛してくれないか。お前を倒したく無いし。魔物イコール悪って言うのもどうかと思うしさ」と、ボクは話してみる。
マネとリラは光る剣を降ろしてくれない。構えたままだ。このままだとボクもまとめて攻撃して来そうだ。どうするんだ、これ。「あの、魔王様。オレはジャックと言います。そ、その女神の作った世界を壊すんじゃなかったんですか?どうして女神の手先たちを助けているんです?」と、鬼人ジャックはボクに聞いてくる。
「これこれ。額と右手の甲・・・なっ?わかるだろ?従属の契約。ボクはもう魔王じゃ無いの。リアーネの召使、ロキなの。わかってくれる?」と、鬼人ジャックに説明する。
「ま、魔王様ほどのお方が・・・そのリアーネ様は女神よりも強いという事になりますけど。それなら仕方ないですね。そんな化物がいたなんて。それで女神の手先たちは化物とどういう関係なんですか?」と、鬼人ジャックは聞いてくる。
「リアーネはお姉様と呼んでいた。つまり、そう言う事だ。それからなジャック、お前が普通に受け止めようとしていた光る剣。あれ、受け止めたりできないから。光る剣出されたら逃げろ!迷わずな。普通の鉄の剣の千倍強いからな。本来なら女神本人しか扱えない剣だから・・・まあ、それを彼女たちが使用できているのはさっぱり分からないが・・・」と、ボクはそこでマネとリラを見る。
「リアーネに教えてもらったの。白蛇さまを信仰し、内なる神として
「私もリアーネに教えてもらった。」と、リラも剣を消してくれた。
「じゃあ、行きましょ」と、マネとリラは荷物を持ち直して歩き出す。ボクはジャックの肩を叩き、ついて来いと促す。やっぱりアイツだ。リアーネ。何なんだ?どう言う事なんだ?女神が強くなったのもきっとそうだ。ボクの方が剣は得意だったはず。
いや、そもそもボクはロキの前は何て名前だった?まだ分からない。魔王だった事は何となく理解できたけど。やれやれ。途中、ジャックから何度か話しかけられたが、内容はよく覚えていない。マネとリラの「着いたわよ」と言われてラクス修道院の両開きの扉を眺めた。
今思えば、この扉さえ開けなければ・・・リアーネという化物に出会う事も・・・。
まあ、もうどうしようも無いな。
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