尾内甲太郎

椋鳥はさわがしくなり夕空のうかんむり から人の降り立つ

バイクからのばすてのひら碧翅をつかめたときはしんにょうだった

二秒前の雲を青田は映すのみきがまえだけで面接へゆく

湯上がりはどんな音楽でも着れるしたごころにはLo-Fiだろう

きのうからかねへんがなく世界とはだいぶなかよくなった気がする

さかなへん すぎさってゆく追憶に尾鰭がついてふるさとの灘

にんべんのどこまでがヒトどこからがアンドロイドかたとえば偶は

揺るぎないりっしんべんを建てたのでみなみが吹けば南へなびく

わが部首になりたいという枼が来てやっぱやめたとかえっていった

まちをゆく人々はみなとらがしらひとの顔では生きていけない

おんなへんだけでは君を言えないねぐうのあしへとからめとられて

けものへんむじなへんとが争えば敗者へいのこ一年分を

むしへんの夜に知り合えていたのなら互いの星を置き去りにして

部首になれそうでなれない字もあってサイゼリヤならアロスティチーニ

対岸のやくが聴こえるえいえんは音にするならこんな温度か

生き方におつにょうなんてあったのにひかりの底をもとめてしまう

かばねへんのとおりすぎるを見送った鼓膜はつよくはりつめていて

廃の字へかぶせてみたいやまいだれ 青夕闇はやまなしの花

さんづくり きみの前髪そろっても銀河はなかば滅んだひかり

しょうへんかたへんがまたもとどおり木となり根張り葉の繁るまで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

尾内甲太郎 @onaikotaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画