蛍の光

Rotten flower

第1話

放課後、西日が教室に差す。オレンジ色の光で色がわからなくなる。教室には僕一人しかいない。なんなら、学校の中にも僕一人しかいない。

足の踏み場もないほどに床が汚れている。掃除しようにも一人では無理なくらいだ。とりあえず、自分の通っている教室だけでも掃除して帰ろうか。


朝、学校に来た。机に落書きがされていた。僕に浴びせられた暴言、そっくりそのまま返してやろうか。

昼休みが終わった。社会の教科書が、ノートが無かった。手を挙げて律儀に言った。笑い声が教室を包んだ。


みんな、僕からすれば黒に染まった人間だった。隣の席の子も隣の教室の子も、自分の担任も、校長先生も。

だから、僕はこうしてしまった。


「あ。」

上履きが汚れてしまった。家で洗ってもきっと落ちないだろう。鞄を持って教室を出る。どうでもいいやと僕は上履きを教室に向けて投げた。ごんと誰かの頭に当たる。もういいや。蛍の光が流れる。特定の時間になると自動で再生されるらしい。

外から見るいつもの学校だ。中には山積みの遺体があるのにそれを隠しているなんて。これまでの僕とそっくりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蛍の光 Rotten flower @Rotten_flower

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ