帝国呪草英雄譚

暗黒神ゼブラ

第一話祝いと訃報

この物語はのちに救国の英雄と呼ばれることになるラウルたちが英雄になるまでの物語である!!


 第一話祝いと訃報


 俺の名前はラウル。今までこの村から出たことがない。

 この村では十六歳になった時にする成人の儀式をしないと村の外には出られない、しかし例外はある命の危険の時は出ても良いという、まあ当然だよね。

 よく父ちゃんが村の外に出た時の話をしてくれる。いつもそれを楽しみに生きていた。父ちゃんの話に出てくる村の外は

 人が優しく楽しい話ばかりだったから、

 明日が楽しみで仕方ない、なぜなら明日俺の成人の儀式の日だから!

 やっと村の外に出られる!

 今日は興奮して眠れないかもしれない


 次の日……ぐっすり眠れました。

 そして中央広場で行われた儀式が終わり

 家に帰ろうとすると、突然幼馴染のクロエが慌てて広場まで来てこう言った


「はあ……はあ、ラ、ラウルのお父さんが村の外で殺されたの! 近くに鎧を着た騎士みたいな人達がいて、その人たちとラウルのお父さんが何か話してて、内容は聞こえなかったんだけど、話してる途中に騎士みたいな人が剣を抜いて斬ったのを畑を耕した帰りに見たの! あと肩に向かい合う左右対称のケルベロス、中央に三叉槍の紋章が入ってたの」


すると村長が


「何だとっ……あのゲオルグが殺されたのか! しかしそれはヴァルスピア帝国の紋章……はっまさか帝国は呪草を戦争に使うつもりか!だが呪いを解く方法はまだないはずじゃが……見つけたというのか、呪いを解く方法を!」


 昔、そのヴァルスピア帝国で騎士長補佐をしていたんだと父ちゃんが誇らしげに言っていた。

 その父ちゃん殺された……驚きはしたがこの村では呪草という人を呪う気持ちが集まって生まれた植物がある。触れた人は呪われて四日後に死んでしまう。

 そして見た目は見た人が一番美しく見える花に見えるらしい。

 なぜそう思っているかは、死ぬ前の人が言っていた花の見た目がその人が一番好きな花だったからだ。

 俺の友達のモニカも去年に死んでしまった。この村で呪草で亡くなった人の数はこの三年だけで三百二十四人、村の約半分の数が亡くなっている。いつ誰が、死んでもおかしくない

 俺はどうにかしてこの呪いを解く方法を俺は探している。その為に外に出たい

 この村で死は最も近い存在である。

 中央広場成人の儀式にて俺は村のみんなに宣言した

「みんな今日俺はこの村を出て呪いを解く方法を探しに行く! もう誰も死なせたくない……だから出来れば誰か一緒に旅に出て欲しい俺一人だったら解く方法を見つける前に殺されちまう。本当は一人で戦えるぐらい俺が強ければ良かったんだけど」


「じゃあ私がついて行ってあげる。

 あんただけじゃ心配だしね」


「俺も行くからなラウル。俺たちいつも一緒って小さい頃に約束したからな」


「僕も行くよ。村から出てみたいって思ってたから、こんないい機会逃す訳にはいかないからね」


「まっ当然俺も行くからな!俺は今年こそ外でかわいい彼女を作るんだから。

 俺だけ置いていくなよ」


「俺も行くぞ! お前たちが大人になったとはいえ、俺からすればお前たちはまだ子供だからな。それからテッド、村から出なくともお前のこと好きになってくれる女の子はいるぞ」


「ゲッ親父も来るのかよ……それで誰なんだよ……その俺のこと好きになってくれる女の子って?」


「お前がこの旅から帰ったら教えてやる。それまでは気になるのなら誰か考えておけ案外当たるかもしれんぞ」


「よーし絶対呪いを解いてやる! そんで、その俺のこと好きになってくれる女の子と絶対に付き合う!」


「ありがとうみんな! 帝都を目指す前に、俺たちはまず隣の村に行って少しでも一緒に旅をしてくれる人を探そうと思う。今の人数だったら戦いになった時負けてしまうから」

 今俺と一緒に旅をすることになったのは

 クロエ、クリス、ケント、テッド、

 テッドのお父さんのケルヴィンさん

 の五人と俺

 俺たちはまだ弱い。帝国には父ちゃんを殺せる程の騎士がいる。少しでも仲間を増やし俺たち自身が強くならないと全滅してしまう。

 俺は死んだっていい。けど大事なみんなやこれから一緒に旅をしてくれるかもしれない人には元気に生きて帰って欲しい

 でもこんな生半可な覚悟だったら負けてしまう。

 そして俺たちは村のみんなに挨拶をし、出発した。

 隣の村に向かっている途中で叫び声が聞こえたので向かうことにした。

「みんな助けに行こう!」

 俺たちはその叫び声をあげた人を助けに行った。

「いたぞ! 無事だ」


「山賊に襲われそうになってたのね。大丈夫よ今助けるから」


「あっありがとうございます。わっ私も戦います……助けてもらったのに何もしないのは嫌なんです」


「でもあなたは……」


「私が助けてもらったせいであなたたちが危険な目に遭っていることに変わりはないのですから……せめて協力させてください!」


「……分かったわ。あなたがそこまで言うなら、私たちと一緒に戦って!」


「……ありがとうございます! 私は攻撃魔法と回復魔法が使えますので、攻撃、回復どちらも任せてください」


 そして俺たちはこの山賊団と戦うことにした!

 まずは山賊頭を倒して山賊たちの士気を下げることにした。

 ここで父ちゃんの教えを使うことになるなんてな……本当はもっといろいろ教えてほしかったな……本当に俺に出来るんだろうか……今までみんなに守られるだけだった俺がみんなを守れるのか…………ダメだダメだ!

 今はみんなの命がかかってるんだ弱気になるな俺!

「行くぞみんな!!」

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