第72話 冒険者パーティーに勧誘された




 俺は冒険者パーティーに気に入られたようで、彼らに色々話し込まれていた。


 特に弓使いのユーリナは動けない体で絶望と恐怖に怯えながら大蛇を睨んでいたら、突然現れた俺が一瞬で大蛇を倒してしまったと嬉しそうに語る。


 彼女は巨乳を強調したタンクトップ服で金髪をポニーテールしている。


 そんな彼女曰く致命傷を全回復してくれたことも感謝していて、そういうノリで俺に凄い凄いと言いながらよく育った胸を俺の腕に押し当て抱き着いてくる。……ビッチだ。


「ゴロウさんは何歳のぉ?」


「17だけど」


「ええー!?私より3個も下なんだぁ~。可愛い~!」


「わたしより1つ下ですね」

 と慎ましい胸の女僧侶も話に入ってくる。


「あはははは、馴れ馴れしくてすみません。そいつ俺の妹なんですよぉー」

 とリーダーの男戦士。


「じゃ、俺帰りますんで、ジャイアントコブラサーペントは差し上げます。好きにしてください。それでは……」


「嫌っ、ゴロウさん、もっと一緒にいようよぉー」

 と俺の腕に胸をバインバインさせる女弓使いビッチ

 リーダーも驚いて俺を呼び止める。


「そうですよ!ちょっと待ってください!ジャイアントコブラサーペントはS級モンスターですよ?町で人を雇って運搬すれば回収できるのに! 売れば庶民なら10年は遊んで暮らせる大金になります!いくらなんでも命の恩人にこんな高価な魔物を貰えないですよぉ……!」


「いや、金に興味ないし魔石もいらないから貰ってくれ。それじゃ俺達は帰るから」


 と女を振り解いて帰ろうとするが……。


「ちょ、ちょっと、待ってくださーいッ!ゴロウさんはどうやって町まで帰るのですか?見たところ食料がないようですが……。あっ、俺達も帰りの食料が尽きて、山の物を食いつないで何とか帰る予定です。慎重に行っても2、3日で帰れると思いますので、よかったら一緒に帰りませんか?ゴロウさんや子供達の護衛もさせてください!皆ぁ、いいよなッ!?」

「当然だぜ!」

「私も賛成!」

「あたしが子供達の面倒を見るわ」

「是非やらせてください」


 もうカブト虫は取れてたから子供達に帰ると言ってある。フォンはもっと虫取りしたそうだったが、この後予定があるから納得してもらった。

 この人達、話が長いし俺を無理矢理会話に入れようとしてくるんだよな……。


 するとリーダーが改まって。


「それでゴロウさんが良かったらでいいんですけど……、俺達のパーティーに入りませんかッ!!?というか是非入ってくださいッ!!皆ぁ、いいよなッ!?」

「歓迎するぜ!」

「私、ゴロウさんと一緒にいたい!」

「あたしにゴロウさんの面倒を見させてくださいッ!!」

「俺にもゴロウさんのお世話させてくださいッ!」


「お断ります!」


 すると「えー」とか「そこを何とか」とか色々言っている。


 やけに仲良くしてくると思ったら俺の体(勧誘)が目的だったか……!面倒くさいな。助けなきゃよかった……。

 早く帰りたいから、こいつ等を序でに町まで送って、おさらばしよう。


 俺は転移魔法を発動させ、最寄り町の冒険者ギルド前に転移した。

 冒険者パーティーとジャイアントコブラサーペントを一緒に連れて。


「「「「「 えっ!? 」」」」」


 町中に巨大な蛇の死体が出現し、付近にいた町人はパニックを起こした。


「よし、フォン、タマ、ココノ帰るぞ」


「「「 うん! 」」」


「それじゃ、さよなら~」


 呆然としている冒険者諸君にそう言うと、俺は再び転移魔法を発動させてセブンランド大陸の家に戻る。




 旅館の玄関前に転移いた。

 はぁー、やっと解放された。


「ニャーやっぱり家が一番好き!あの人たち、話長かったね!」

「うん。アッチ暇だから虫探してた。にひひひ」

「ゴロウ、女の人に抱きつかれてたの!!」


 俺はココノの肩に手を置き笑顔で言う。


「ウィスタシアには内緒な」


「うん。ココノん内緒にするの!」


 ココノは賢いから分かってくれるだろう。


 今日は土曜日で授業は休み。

 土日が休みで、休日は皆、適当に遊ぶか自主練をしている。最近ピアノや楽器を買って音楽で遊ぶ子もいる。


 今日は祭り。

 玄関前の広場でゴロウズやうちの女子達がテントの準備をしていた。


 ここで、たこ焼き屋やお好み焼き、焼きそば、チョコバナナを作って皆で食べるのだ。


 俺達の帰還に気付いたウィスタシアとモモが話し掛けてきた。


「ゴロウ、早かったな。で、ココノどうだった?虫は捕れたか?」


 するとココノが両手で口を塞ぐ。


「ココノん、何も話せなの!ゴロウ浮気してないの!」


 めっちゃバラしてるぅー!


「うわき?」


「うわー木にいるって、虫を見付けたんだよな!」


「ゴロウ必死なの!」


 するとフォンが虫籠をかざして。


「ウィスタシア見て!捕れたよ!」


 ウィスタシアが中を覗き込む。


「綺麗だ。けっこう大きい虫なんだな」


「えっへん!ニャーが捕まえたんだよ!」


 するとモモが。

「へぇー、タマ凄じゃないか!大したもんだよ。あたし虫取りなんてしたことないからな……」


「アッチ、今度はモモとも一緒に行きたい!」


「ああ、次は行きたい子全員連れて行こう」


 そろそろ屋台の準備が終わりそうだな。

 俺は皆に声を掛ける。


「皆、食堂に集まってくれ。これから浴衣に着替えるから着方を教えるよ」


 ガイアベルテも入れて13人分の浴衣を用意した。

 尻尾の穴加工は昨日ゴロウズ達がやってくれた。後は着せるだけなんだけど、女子に浴衣を着せたことないし、流石に13人はできないから今日は応援を呼んでいる。




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