第41話 奴隷を傷付けた賊組織を壊滅させた



 俺はこの世界に友達は1人もいないし家族も12年前に死んでいない。当然恋人もいない。

 クズで溢れかえっていても、俺は孤独だから、この世界に関わろうとは思わなかった。

 だが、今回は別だ。

 俺の奴隷を傷付けた。

 あそこにいる人身売買組織の連中は全員根絶やしにする。


 再び転移すると家があった場所は更地になっていて、周囲に瓦礫が散らばっていた。

 巨木に引っかかっていた二人は木から降りて、どこかへ行ったようだ。


 俺は目を瞑り探知魔法を発動させ半径10キロ圏内いる人間を特定する。

 次に無限記憶書庫アカシックレコードの超演算で全員の素性を調べる。


 人身売買に関与している賊構成員は234人……。結構多いな。レベッカとトムは族の本拠地に向かって移動しいる。

 出荷待ち奴隷は124人。内、子供は7人か……子供の親は全員生きているな。


「さて、やるか」


 俺は探知魔法を発動させながら作業をおこなう。

 先ず、奴隷124人の奴隷紋を同時に解除。……結果を確認。

 よし成功、全員解除完了。


 次に合計358人の転移魔法を同時に発動させる。


 奴隷達は出身地に送る。

 賊一味はヴォグマン城だ。


 更に賊の財産を転移魔法で没収。

 捕まっている奴隷達の財産は彼らに返してやる。

 それ以外は俺の家に。

 かなり大金だ。後で確認しよう。


 探知魔法で全ての結果を確認する。

 ……オールライト、完璧だ!


「俺も飛ぶか」


 俺は転移魔法でヴォグマン城のアルベルトの寝室へ飛んだ。



「アルベルトさん、アルベルトさん、起きてください」


 俺は寝ているアルベルトの頬を軽く叩く。

 彼は大六天魔卿の一人ヴォグマン卿。ウィスタシアとシャルロットのお父さんだ。


「むにゃむにゃ……ヨハンナ……あと5分……。ほえ?え?え?え?ゴロウ君?何君?どういうこと?」


 慌てて起き上がるアルベルト。黄色いパジャマで先端にポンポンが付いた三角帽子を被っている。

 流石に深夜だから寝ていたか。


「城の中庭にドクバック配下の人身売買組織構成員234人を置いておきますので、農地開拓に使ってください。今、ゴロウズが逃げないよう、全員に奴隷紋を貼っています」


「……に、234人!?そ、そんなにたくさん連れてきたの!?こんな時間に!?」


「火急の案件でしたので。ほぼ全員が重犯罪者ですから開拓が終わったら死刑かシベリアン送りでいいですよ。犯罪証拠記憶は明日ゴロウズを通して送ります」


「それは助かるね……言われた通りにするよ。 ところでウィスタとシャルは元気にしてるかい?」


 い、一緒にAV見たとは言えないな……。


「凄く元気ですよ。昨日は二人でうちの畑を見に行ったようです」


「そうか……二人をよろしく頼むね」


「もちろんです。では、俺は賊共に挨拶したら帰ります」



 城の中庭に行くとむさ苦しい賊共が一か所に固められていて、その周りにをゴロウズが囲っていた。何人か抵抗しようと暴れて、ゴロウズに殴られたから伸びている。


 俺は城壁の上から奴隷紋を貼り終えた賊共に言う。


「お前たちこれから労働奴隷として死ぬまで働いてもらう。ここでの作業が終わったらシベリアン送りだ」


 奴隷紋を貼られた以上、逃げることも嘘を吐くこともできない。

 彼らは一生オーナーの言いなりになるのだ。


「シベリアンに行ったら1年生きられねーよぉ!」

「頼む……シベリアンだけは嫌だぁああああ!」

「そもそも何で俺達ここにいるんだよ!?」

「そうだ!お前誰だよっ!?シベリアンなんて行ったら死んじまう!」


 大魔帝国で重罪を犯した者はシベリアン領に送られ開拓作業させられる。

 そこは極寒の地、殆どの者が過酷な環境下に耐えられず数年で死んでしまう。


「黙れッ!奴隷紋を貼られたお前たちに選択肢はない!」


 コイツ等は今まで何人も罪のない人に奴隷紋を貼り、他人の人生や家族を奪ってきた。

 自業自得だ。


 俺はココノの育ての母親に視線を向ける。

 まだ服を着ていないようだ。

 レベッカ・トリル27歳、子供への虐待、傷害多数。殺人は3件か……彼女もシベリアン送りだな。


 これでいいだろう。

 俺は転移魔法を発動させて自宅に戻った。

 




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