ピースラグナロク
刈谷夏音
プロローグ
青い空はどこまでも、どこまでも続いている。雲が無数に空を舞っている、ふわふわしている雲である
太陽はいつも明るくて眩しい、目がくらみそうな眩しさでみんなを照らしている。透き通るような心地よいそよ風も吹いていて、大変気持ちいい
自分に羽がはえていたら、この青空をずーっと、飛んでいきたいぐらいにとても良い青空だ!
そんな当たり前で平和な空が広く、広く、まるで自分らを見て微笑んでいるかのように
ただひたすらに広く、広く、どこまでも広く・・・
たとえ、どんな場所であろうともこの平和な空はどこまでも続く
「そう、たとえ、ここが見たことのない大変危険な場所でも・・・」
そういって青年は口をまげ、天を仰ぎ、涙目にそうつぶやいた
そこは平和とかけ離れた無残な光景だった
草木は枯れ・・木々も無数に倒され・・塵の山に匹敵するほどのたくさんの人間であった残骸・・まるでこの世の地獄である光景だった
そして遠くには、見たことのない四足歩行の怪物の群れ。その数、とても数えきれないほどの軍勢なのである!
遠くにいるので小さく手よくわからないけど、おそらく身長は人間の2、3倍あるんじゃないかと
そんな怪物の群れが今にもこちらに襲い掛かってくるかのように見える
「なんで俺はこんな危ないところにいるんだろう・・・俺の平和な日常は一体どこに」
次に青年は口をまげて涙目でそうつぶやいた
本当なら自分の家で父と母、妹と食卓を囲み、何気ない平和な日常を過ごしていたのに・・・と青年は思った
「すべてはアイツのせいだ、アイツがこんな世界におくったから!」
青年は拳をギュッと握りしめ、空に向かい周りに聞こえるかのような、大きな声で愚痴を叫んだ!
その声に反応したかのように無数の怪物の群れは一斉に押しかけてきた!
「GRAAAAAAAAAAAAAAAA」「GRAAAAAAAAAAAAAAAA」「GRAAAAAAAAAAAAAAAA」「GRAAAAAAAAAAAAAAAA」
無数の怪物の群れは吠えながら、青年に向かって襲ってくる
遠くではわからなかったが、近くに接近してくるにつれて鋭い角に牙、そして腕にはいかに何人かを切り裂いたであろう血の付いた爪が目でわかるようになる
きっと、それで沢山の人を残骸にしたのであろう
「ああ、うるさいなあ、人がせっかく大声で愚痴をいっていたのに」
迫ってくる怪物に青年は恐怖も驚きもせずに目を細めながら、怪物のほうに体を向けた
その態度はまるで、この光景をたくさん見てきたかのような落ち着きであった
「…まあ、本当は戦いたくなかったんだけど…仕方がない」と、青年はそういい迫りくる怪物の群れに手をかざした
「△△△△△○○○○○」
青年はぎりぎり周りに聞き取れない感じで謎の言葉をいった瞬間
ドゴーン!!!
大きな爆発音とともに無数だった怪物の群れが一匹残らず一瞬にして塵と化した!
「はあ、相変わらずすごい威力なんだけど、放ったら大きな音が響きわたって周りに迷惑が掛かるから、この魔法はあんまり使いたくなかったんだよなあ・・・」
と青年は腰に片手を当て、頭をかき、塵芥となった怪物の群れのほうにため息を吐きながらつぶやいた
そしたら、後ろに隠れていた小さな子供が青年に向けて
「お兄ちゃん、助けてくれてありがとう。おかげで僕は無事だったよ!」
と嬉しそうな顔でお辞儀をしてお礼をした
それに対し、青年は小さな子供の頭をやさしく撫でて
「なーに、俺は人として当たり前なことをしたまでだよ」
とニッコリと優しそうな表情でそういった
(うん、やっぱりうれしそうな顔を見ると、助けたこちらも自然とうれしくなって平和を感じるなあ~)と青年は満面の笑顔でそう思った
その光景を遠くのところで見ていた少女が笑みを浮かべていた
美しい銀色の長い髪をなびかせ、翡翠のように輝く透き通った瞳を持ち、誰もが目を奪われるような姿をしていて、まるで女神のような可憐な少女だった
「イーヒッヒッヒ、やはり私の目に狂いはなかった!あんなレベルの魔法を詠唱もなしで実に素晴らしい」
天使のような美しい姿の少女からあり得ないぐらい狂ったような笑い声があたりに響き渡る
「この青年を選んでよかったぞ、あれほどのレベルの人間を召喚が出来た私はとても幸運だわ!」
狂ったような笑いを止めて少女は続けざまに
「この青年なら、どの召喚されたものよりも早く世界を救える」
「イーヒッヒッヒ、見てなさい。このゲーム、勝利するのは私なんだから」
「そう、世界を救うゲーム【ピースラグナロク】にな、イーヒッヒッヒ!」
少女はそういい、狂ったように笑いながらその場から姿を消した
これは世界を救うゲームに勝利したい一人の少女と召喚された平和が好きな青年の物語である!
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