永倉君の4人の恋人!
崔 梨遙(再)
第1話 前編
永倉新太郎君の家はお金持ちだった。だが、両親は仕事で忙しく海外にばかり行っていた。広い屋敷に独りぼっち、いや、家政婦の麻子さんを含めると2人暮らしだ。
そのせいか、永倉君は母性に飢えて育った。かなり年上の女性に恋愛感情を抱いくようになっていた。
最初に、永倉君が“恋”をしたのは、12歳の時。相手は沖田幸子。同級生の和夫君のお母さんが。幸子は15歳で和夫を生んでいる。永倉君が12歳の時、幸子は27歳だった。“お母さん”というより、“お姉さんといた”雰囲気だった。しかも、歳よりも若く見える。美人というよりもカワイイ系だ。小柄で守ってあげたくなる。永倉君は、“この人と結婚したい!”と思った。
それが、永倉君の初恋だった。
そして、同じく12歳、同級生の原田珉(はらだ みん)を初めて見て電流が走ったかのような衝撃を受けた。背は高い。スタイルが良い。なんと表現すればいいのか、妖しい色気の漂う女性だった。永倉君は、女性を見て初めて1箇所立った。そして、“この女性を嫁にしたいと”思った。珉は19歳年上、永倉君が12歳、民が31歳の時だった。珉の娘は志郎という。
更に出会いはあった。文化祭の時、文芸部の出し物を見に現れた女性だった。その女性は斎藤若葉。僕よりも16歳年上だった。息子は文芸部1年の万字君。2年生がいないので、次期文芸部長だ。若葉の第一印象は、“美しい!”だった。目鼻立ちがくっきりしている。永倉は、“この人とも結婚したい!”と思った。
そして、家では13歳年上バツ1子持ちの家政婦、かわいい松原塔子(まつばら とうこ)と一緒にいる。塔子も永倉君のストライクゾーンのど真ん中に入っている。
要するに、永倉君には4人の“花嫁候補”がいたのだ。親からの愛情不足で歪んでしまった永倉君に、幸せな結婚は出来るのだろうか?
中学に入ると、永倉君は行動を起こした。沖田君、原田君、斎藤君の家に遊びに行き続けたのだ。
「今日は、息子は塾でいないけど、良かったら入って。コーヒー淹れるわ」
「永倉君は、息子がいてもいなくても来るね」
「だって、幸子ちゃんと話してると楽しいもん」
「まあ、若い頃は年上に憧れるんかもしれへんけど」
「ねえ、和夫君も一緒に、ウチの別荘に来ませんか? プールがあって遊べるし。あ、プールと言っても屋内プールやから日焼けの心配は無いですよ」
「行ってもええの?」
「勿論です。ただし条件があります」
「何? 私に出来ること?」
「水着姿を写真に撮らせてください」
「もう、H!」
「ダメですか?」
「ええよ、そのくらいなら」
「当日はビキニでお願いします」
同じ様な誘い方で、珉、若葉、そして塔子を順番に別荘に誘った。3人は子供を連れてバラバラで来るが、家政婦の塔子はずっとメイド役をそつなくこなしてくれた。
永倉君はというと、幸子の黄色いビキニ姿、珉の青い水着姿、若葉の白いビキニ写真を部屋で堪能していた。そこで、ノックの音がした。
「新太郎様」
「なんだい? 塔子さん」
「今年のお客様は、これで終わりですよね? 何も無ければ掃除して来たく準備をしますが」
「アカンよ、もう1組いるやんか、ゲストが」
「まだ、どなたか来るんですか?」
「塔子さんと息子さんの大志や。遊んで行ってや。せっかく来たんやから」
「いいんですか? ありがとうございます」
塔子もピンクのビキニ姿を永倉君に写真に撮られて恥ずかしがっていたが、次第に気にしないようになったようだ。
そして、大志のお昼寝の時間に塔子とテニスをして遊んだ。初心者の塔子に、永倉君が時々テニスを教えることになった。
こんな感じで、“永倉君がいて当然”という雰囲気を、永倉君は中学の間に作り上げることに成功した。これは、大きな第1歩だった。
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