この世界が謎部活で美少女たちとイチャイチャする王道ラブコメであることを、俺はぜっっっっっっったいに認めません!
薬味たひち
プロローグ 真の陰キャはラブコメなどできない
『ラブコメとは、陰キャの都合の良い妄想である』
高校入学からの1年で、相田翼が達した結論だ。
……だってさぁ、ラブコメ主人公って陰キャぶってるだけで、実際はボッチでもコミュ障でもないじゃん。
真の陰キャは初対面の女子とまともに会話できません。俺たちはオタクに優しいギャルにさえ、「あぁ」とか「うぅ」しか言えないんだから。
とはいえ、陰キャだって女子に絡まれることが無いわけじゃない。
でも気づいたのよ。数多くいる男の中で、わざわざボッチに時間を割くような女子が、まともなはずがないって。
実際、俺が入学式で初めて話しかけられ、好きになりかけてた沙織ちゃんは、裏で俺の悪口を嬉々として語っていたし。
毎日俺を「キモ」「クズ」と罵っていた佐藤さんは、ただストレス発散してるだけのデレ抜きツンデレだったし。
最後の望みとばかりに、校門でチラシ配ってた謎部活に行ってみたら、危うく変な宗教に入れられそうになったし。
すなわち、男女の甘酸っぱい青春ラブ&コメディなんて幻想であり、陰キャにとって恋愛は単なる黒歴史生成機なのだ。
そもそもの話、貴重な高校時代を恋愛に使うのって非生産的じゃないか? 一説では、高校生で付き合ったカップルが、結婚する可能性は10%以下らしい。つまり9割以上の恋愛は時間の無駄。そんなものに一喜一憂してなんになる。
それならば俺は、恋愛に現をぬかさない、孤高のかっこいい陰キャを目指したい。
ボッチだろうと、独り身だろうと、人に嫌われようと構わない。陰キャとしての運命をこの身に背負い、受け入れる。そんな陰キャに。
そう心に決め、俺は昨日古本屋で購入したニーチェの名言集を開く。最初のページにはこう書かれていた。
──
参考文献
森一郎訳,2017『愉しい学問』講談社
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