花仰望天-かこうもうてん

サラサ

1章 暁光再会

1始まり

 遥か昔、この土地は広大な邪森であり、恐ろしい異類異形が蔓延っていた。

 中でも獰猛な牙を持つ、妖魔王暴嵐パオランが人々を酷く虐げ、圧倒的な恐怖で支配をしていた。

 逃げること決して許さず、蹂躙の限りを尽くしていた中で、ある時一人の男が立った。

 姓はホン、名をインと言う。

 武勇に優れ、双眸炯炯として刀を構えれば身の毛がよだつまでの畏怖を感じさせた。まさに勇猛果敢にして豪勇無双。彼に勝るものは無し。三夜闘い続けた後に紅英が見事悪獣を打ち倒したのだった。

 その後、邪森を切り開いて大きな国を作り、榮耀永劫を願い、国の名を紅榮国こうえいこくと名付けた。そして紅英は始まりの王となり、国の中心に王都彤花とうかを置き、朱稜城しゅりょうじょうと名の宮殿を構えた。

 彼が亡くなりし後もその存在の威は強く、彤花だけではなく、全国津々浦々と彼を祀る王廟が建てられ永劫崇められている。

 

 かくして、偉大なる紅英王が築き紅王族の治世は千年続いている。

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