リトライ~過去に戻った鍛治師は幼馴染みと家族を死なせないため、めちゃくちゃ強くなります!~

@gurenn1950

第一章

プロローグ

 激しい雨が降る中、一人の少年は必死な表情で走っていた。

 

「ハァハァハァ!」


 口から荒い息を漏らしながら、走り続ける少年。

 走っている途中で石につまづき、地面に転び、泥だらけになっても彼はすぐに起き上がり、走り出す。

 走って、走って、走り続けた。

 それからしばらく走っていた少年は足を止める。

 そして……大きく目を見開いた。


「あ…ああ……」


 今、少年の目に映っていたのは、崩壊した街。

 倒壊したいくつもの建物。

 炎上している車。

 そしてそこら中に倒れている人。


「父ちゃん…母ちゃん……せいちゃん!」


 少年は再び走り出した。

 足が痛くなっても、呼吸が辛くなっても彼は走る。

 数分後、少年は……皹が走った地面の上に倒れていた赤い髪の少女を見つける。


「聖ちゃん!」


 少年は少女に近付き、抱き起こす。

 そして身体を揺らしながら、声を掛けた。


「聖ちゃん!起きて、聖ちゃん!」


 声を掛け続けるが、反応がなかった。

 嫌な予感を感じた少年は、少女の胸に耳を当てた。


「心臓が……」


 鼓動が…聞こえなかった。

 少年は顔を歪めて、涙を零す。


「お願いだ…聖ちゃん。目を……覚ましてくれ」


 少年は涙声で声を掛けるが、少女は目を覚まさない。


「なんで……なんでだよ、聖ちゃん。お前は…俺と違って叶えたい夢があるんだろう?友達がたくさんいるんだろう?……好きな人がいて、その人に告白するんだろう?なぁ…聖ちゃん……頼むから……起きてくれよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


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「ハッ!」


 ベットの上で寝ていた男—――創造誠也そうぞうせいやは目を覚まし、起き上がった。

 口からハァハァと荒い息を漏らしており、身体中から大量の汗を流していた。


「クソ…またあの夢か……何度見ても、慣れないな」


 顔に手を当てて、ハァとため息を吐く誠也。

 彼は昔の頃を思い出し、顔を歪めた。


 時々、苦しみと悲しみを思い出させる過去の記憶。

 その記憶を夢で見るせいで、誠也は寝不足状態。


「顔を洗って、飯にするか」


 誠也は洗面所に向かい、水で顔を洗った。

 冷たい水が彼の眠気を飛ばす。


「……いつ見ても冴えない陰キャ顔だな」


 洗面所の鏡に映っている自分の顔を見て、誠也は苦笑する。

 ボサボサの黒髪。締まりのない顔。たるんだ目元。

 ブサイクではないが、イケメンでもない顔をしていた誠也。

 彼はタオルで顔を拭き、台所に移動する。

 そして冷蔵庫からコンビニ弁当を取り出し、レンジで温める。

 温め終わった後は弁当を持って、リビングに向かう。

 リビングの机の上に弁当を置き、椅子に座って手を合わせる。


「いただきます」


 誠也は弁当を食べながら、リモコンのボタンを押してテレビをつけた。

 テレビには今日のニュースの映像が流れる。


『では次のニュースです。守護騎士アナ・フェーリアルがニューヨークで多くの一般市民を大量虐殺しました』

「朝から最悪なニュースだな」


 白米を食べながら、誠也は愚痴る。

 朝食を食べ終わった後、彼は歯磨きをして、服を着替える。

 そしてスマホや財布が入ったバックを持って、家を出た。


「行ってきま~す」


 外に出た誠也は車に乗って、エンジンをかける。


「線香と花……買わないとな」

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