第36話 腕の使い道

:リッチ様、なにしてんの?????

フラン:リッチ?解体で切り落とした部位はそれ以上の損傷を与えて回復しても戻らないんだぞ!?(ドイツ語)

:なに~~~

:博打失敗ってこと???

詩織:師匠せんせい!!!!?

海堂:いや、違うんじゃねぇか?

:えっ?

レファ:そうね。くそリッチは回復魔法なんかかけていないわね。


俺が自らの左腕となっている骨……面倒だから腕でいいよな?……を引きちぎった瞬間からスマホが震えまくりなんだが……。


きっと詩織だろうけど、驚かせたなら悪いな。説明は後だ。

面白いからスマホは浮かべたままだが……。


いかんいかん。

とっととやらないと、この骨がこのまま消えたりしたら引っこ抜き損だ。


 

俺は右腕で引っこ抜いた左腕を掲げる。

それは黒い魔力で覆われていて、さらに少しずつ魔力に変わっていく。

その魔力を吸収する……。


:あの左腕、魔力になって消えていくぞ?いいのか?

:どういうこと?リッチ様なにを?

フラン:いや、取り込んでるな……?まさか!?

:なになに?なにかわかった?解説ください!

詩織:あの魔力を使って魔法を撃つのでしょうか?

:えぇ???

海堂:自分自身から切り離した部位が勝手に魔力になるのを利用するのか……やべぇな……

皇ちゃん:モンスターだからできる裏技みたいなもんだろうな。人間だと腕を引きちぎっても魔力になってくれないからな

:会長乙

:会長かっこよかったっす!

皇ちゃん:無事避難完了だ。あとはあのエルダードラゴンを倒してもらえれば、残党狩りして終わる予定だ。

:最後のが一番ヤバそうなのになんか安心して見られるのはなんでだろうな

:リッチ様への絶大な信頼感www


 

詩織や海堂たちはわかってるな。その通りだ。

この魔力を俺はイメージした魔法を使うための構造式に注入する。


その先にいるエルダードラゴンは停止している。

くっくっく。


畏れ慄いたか?

まぁそうだよな。突然目の前で戦っていたやつの放つ魔力が10倍とかになったら固まるよな。


:エルダードラゴンが恐怖で固まってるように見えるの気のせいかな?

:恐怖かどうかはわからんが、動かないな……

レファ:くそリッチのあの魔法……きっとあの場にいたら立っていられないレベルの畏怖とかまき散らしてそうね



これは俺の魔力を使った特殊魔法だ。

魔改造しまくったやつだな。

意識を取り戻して暴れられても困るから、オプションで金縛りでもつけておくか。いや……固定して持ち上げて……。



グギャアァァァア!


ふん、今さら暴れようとしてももう遅いわ。


エルダードラゴンは俺の魔力による拘束を嫌って動こうとするが、傷を増やすだけだった。


:なんか吠えだしたぞ?

:リッチ様の前ではエルダードラゴンですら子猫ちゃんみたいなもんなんだな(トオイメ)

皇ちゃん;普段だったら深層で倒しまくってるんだろうしな。新宿を守ろうとしてるのと、左腕がちゃんとあれば全く問題なく倒せるだろ。

フラン:大変申し訳ないことをしてしまった……(ドイツ語)

:こんなことになるなんて誰も思ってなかったし仕方ないよ

:悪いのは全部ゴミクズだ!

:そうそう。フランさんも、ダンジョン協会でランドドラゴン倒してくれてるんだしさ!

:むしろフランさんがリッチ様と戦って新宿のダンジョン協会の施設に1泊してなかったらもっと被害ヤバかったと思うぞ


コメント欄が穏やかで良かった。

目の前でエルダードラゴンが暴れてるのにな。


まぁ、この戦いは終わりだ。

前に誰かにも言ったが、俺を倒すなら俺に魔法を使わせてはいけない。


放つときにはもう終わってるんだ。


ということで行くぞ。


「★◇△◆※☆(メルドマギア)」



展開していた黒い濃密な魔力がゆっくりとエルダードラゴンの方へ移動して、やつを包み込む。

捕らえられた状態でなんとか抜け出そうと両手両足しっぽ頭をジタバタさせているが、その姿は滑稽なおもちゃのように見える。


そして黒い魔力が完全にエルダードラゴンを包み込むと球体となり、その中で無数の黒い電撃が走り回る。

エルダードラゴンはその電撃が走るたびに四肢を焼かれ、少しずつ少しずつ消えていった。



:なんというか、檻の中の小鳥を電子レンジに入れて燃やし尽くしたような……

:衝撃的なグロ動画だったけど、さすがリッチ様だと思った

:勝ったのか……?

レファ:勝ったようね。新宿に充満してた魔力が薄れていくわ

海堂:エルダードラゴンがスタンピードのボスになってたってことだろうな。お疲れ

:リッチ様ありがとう!俺、新宿に妹がいて気が気じゃなかったんだ

:リッチ様ありがとうございます!私は両親が近くに住んでいて……本当にありがとうございました。

:リッチ様さいこー!

皇ちゃん:塔ちゃん。ありがとうな。ダンジョン協会会長として感謝する。

塔ちゃん:友人としての感謝なら受け取るが、それはいらんな。

皇ちゃん:そう言うなよ。今、官邸も大騒ぎだろうしな。


世界初のスタンピードによる大破壊だから当然か。

新宿はこの程度で終わらせられたが、深層モンスターなんて解き放たれたら崩壊する都市も出てくるだろう。

対策は大変だ。

 


塔ちゃん:ふむ……亡くなったものは多いのか?

:あっ……どうなんだろう

:新宿駅周辺と都庁とダンジョン協会はぐちゃぐちゃだもんな……

皇ちゃん:避難はなんとか進めていたし、建物の被害も少ないから亡くなった人は少ないとは思う。でも、けが人は多いだろうな。全貌がわかるまでには時間がかかる。

塔ちゃん:ふむ……。

詩織:なっ、師匠せんせい、なにを????






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